➖閑話 〜ルーカス・シュテルネンの暗躍〜➖
本日2話目です。
私には少し変わっているが可愛い姪がいます。
姪のミーナはまだ2歳ですが、6歳になった次男のアルノーよりも大人びていますね。
それだけでは無く、鳥籠の中で外界から隔離状態にあるにも関わらず、情報に敏い貴族である私でも知らない事を知っています。
最近では‘ぬいぐるみ’なる物を妻のアマンダに話していましたね。
その詳細をアマンダから聞いてみれば、子女に人気が出そうな物です。
ミーナ自身はスクスクと成長し、後1ヶ月程で3歳を迎えます。
そんな折、弟のシルバからミーナの3歳の誕生日会をするとの報せが届きました。
早速、誰が何のプレゼントをするかの家族会議を行います。
なにせ、ミーナは我が血族ではあまり居ない女の子ですし、大人の事情で窮屈な思いをさせてしまっているので、全員ミーナに甘いのです。
家族会議の結果、私は以前ミーナの話していた‘ぬいぐるみ’をプレゼントする事になりました。
全員が服飾関係のプレゼントをする事になったので、我が家が贔屓にしているコナー服飾店を自宅に呼びました。
それぞれが注文をしていく中、私はコナー服飾店のオーナーと針子の女性に‘ぬいぐるみ’の詳細を話、再現出来るか確認をします。
オーナーも針子の女性も、真新しい物に目を輝かせています。
針子の女性は父上のドレスの依頼の内容を聞きに移動したので、オーナーからは製作した後の利権についての意見がでます。流石大手の商会のオーナーですね。確かな商才をお持ちのようです。
私はこの‘ぬいぐるみ’をミーナの今後の為に活かしたいのです。
ミーナは特殊な容姿をしている為に、国家機密扱いになり今のままでは容易に生きていく事も出来ないでしょう。
ハンスやマーガレット、私達夫婦も確実にミーナよりも先に亡くなります。その時が来た時に、国に囚われずに生きていける様に、自立する事が重要です。
勿論、私の息子達も甥達もミーナを支えてくれるでしょう。しかし、甥達はそれぞれ騎士と魔法士に成るつもりですし、息子達は貴族です。
戦争が起これば命の保証はありません。
だからこそ、今の内に自立に向けて、少しずつでも進めていかなけらばなりません。
この‘ぬいぐるみ’の利権はミーナの自立の為に使いましょう。
「オーナー、‘ぬいぐるみ’は私の姪が考案した物でしてね、今後‘ぬいぐるみ’をコナー服飾店で販売をするなら、利益の3割を姪に取得させたいのですよ。」
「伯爵様、利益の3割はご勘弁ください。我々も商売です。」
「それであれば、コナー服飾店の針子3名と見習い2人と販売員3名を我が家で雇わせて下さい。我が家で雇うのでその者達の給金から諸経費は私が持ちましょう。
‘ぬいぐるみ’の製作と販売の専属スタッフにしたいと思います。」
「そんなに人数を取られるとうちも製作に支障が出ますので困ります。」
「‘ぬいぐるみ’製作が無い時はそちらの仕事をして頂いても構いませんよ。
‘ぬいぐるみ’の利益の3割で7名分の給金等を支払わなくて済むのです。
悪い話では無いと思いますよ。」
「……、お返事はご依頼の‘ぬいぐるみ’の納品の時にでも宜しいでしょうか?」
「構いませんよ。」
ゆくゆくはその者達には独立してもらい、ミーナの為の商会を支えて貰いますがね。
商会の設立費用は、利益3割の内2割を貯蓄して当てます。残りの1割はミーナのおこずかいにして、新しい何かを作るきっかけにでもなればいいですね。
そうそう結果として、オーナーは私の提示した条件を呑んでもらえました。
ミーナの誕生日会から2週間後、ミーナの今後を左右する魔法系統と魔力値の測定が行われましたが、現状維持のままになりますね。
それではミーナに窮屈を与えたいる陛下や宰相たちに、ミーナの商会の許可をもらわなけらばなりませんね。
その為の下準備として、商品予定の資料でも渡しましょうか。
その資料を取りに帰るのに、トラブルに見舞われた父上に変わってミーナを送って行きましょうか。
まさか屋敷に帰る馬車の中で、新しい商品予定になるドライフルーツに出会えるとは思いませんでした。
定期的にミーナに果物を差し入れして数を増やしてもらいましょう。
それと屋敷の料理人にも作らせましょう。
一粒食べただけで、虜になってしまいました。
食べると仄かに甘くて、男でも食べ易いですしね。
それに、疲労していた目や肩などが楽になっています。
これもミーナの為の商会の商品にしないといけないですね。
あぁ、準備が忙しいです。
お読み頂きありがとうございます。
これにて第1章は終了になります。
次回からは第2章になります。
本日19時にもう1話更新します。




