14話
本日3話目です。
個人訓練室を出て、お祖父様の執務室に戻って来ました。
そこで、父様を含めた騎士団の面子は、お祖父様とヘレンさんに挨拶をして退出しました。騎士団のお仕事に戻るそうです。
帰りはお祖父様と帰る予定でしたが、第3魔法隊でトラブルが起こった様で、暫く待機する事になりました。
ソファに座って、ヘレンさんが淹れてくれたお茶を飲みながら待っていると、第1騎士隊の副隊長のケインさんと第1魔法士隊の隊長さんが私の護衛の為にやって来ました。
「久しぶりだね、ミーナちゃん。
そう言えば、この間3歳になったんだったね。おめでとう。」
「ありがとうございましゅ、ケインしゃん。」
ケインさんは父様の部下で、私の事を知っている数少ない人で、抹茶色の髪と小豆色の瞳で美味しそうな色合いです。
父様が家に何度か招いているので、面識があります。
ケインさんは我が家に来ると、シルバ兄様の相手をしたり、父様とお酒を飲んで過ごします。
私にも絵本を読んでくれたり、娘さんの服のお下がりをくれたりします。
私は街に中々出る事が出来ないので、家族以外のセンスの洋服を見れるのは、数少ない楽しみのひとつです。
「初めまして、私は第1魔法士隊の隊長のルイ・ネイルソンです。
宜しくお願いします。」
「よろしくお願いしましゅ、ネイルソン隊長。」
ネイルソン隊長さんは鈍色の髪と瞳です。
ネイルソン隊長は、挨拶の後は静かに佇んでいました。
ただ後ろから観察されているので、落ち着かなくなります。
お祖父様早く戻って来てください。
ケインさんと雑談をしていると、グッタリしたお祖父様が戻って来ました。
どうやら、まだ収集が付かないようで、伯父様が1時間程したら書類を取りに屋敷に戻るので、その時一緒にシュテルネンの屋敷に行く事になりました。
そこからまた、ケインさんと雑談をして過ごていると、予定より早く伯父様がお迎えに来ました。
「ミーナ、お待たせしました。
さぁ、屋敷に行きましょうか。忘れ物はありませんか?」
私は伯父様に頷き、差し出された手をとりました。
「ケインしゃん、ネイルソン隊長ありがとうございました。」
ケインさんとネイルソン隊長にお礼を行って、伯父様と魔法士団の隊舎を後にしました。
伯父様に手を引かれて、王宮の前に有る馬車寄せで、シュテルネン家の家紋付きの馬車に乗込みました。
城門の所で、朝に居た騎士様がいました。
「シュテルネン伯爵お帰りですか?」
「イヤ、書類を取りに帰るのと、姪を屋敷に送って行く所ですよ。」
「おつかれしゃまでしゅ。
通行証はどうしたらいいでしゅか?」
「こちらで破棄するので、頂けますか。」
「はい、どうじょ。
さようなら。」
通行証を騎士様に渡すと、馬車は走り出しました。
暫くは、走る馬車の窓から街並みを見ていましたが、お腹が鳴ってしまい顔が赤くなります。
「お昼時を少し過ぎましたから、お腹が空きますよね。もう後数分で屋敷に着くので、それまで我慢して下さいね。」
「ルーカスおじしゃまはご飯食べる時間ありましゅか?」
屋敷に書類を取りに帰るので、ゆっくりご飯とはいかないですよね。
それに、書類を取りに行くって言ってたのは、私を送る為の程のいい理由ですよね?
申し訳なく思います。
「王宮に戻って、一仕事した後に食べるから気にしないで下さいね。」
「それなら、ルーカスおじしゃまこれ食べてくだしゃい。」
私は瓶に少しだけ入れてきた、完成間近のドライフルーツをポシェットから出して渡しました。
本当はあと4〜5日程干して完成だったのですが、今日のお出掛けの際に小腹が空いた時用に持って来てしまいました。
「ミーナこれは何ですか?見たことがない食べ物ですが。」
「これはコーゼの実を干したドライフルーツでしゅ。
本当は後4〜5日干して完成でしゅが、今食べても美味しいでしゅよ。」
「ミーナが作ったのですか?
何処で作り方を知ったのか気になりますが、折角なので頂きましょう。
……美味しいですね。コーゼの実より甘く感じます。」
「良かったでしゅ。
作り方は簡単でしゅよ。果物の皮をむいて、ちいしゃい果物以外はちいしゃめに切って、あしゃい籠にかしゃならない様に並べて、お日様の出てる時間に天日干しを2〜3週間しゅればかんせいでしゅ。」
「今度、料理人に作ってもらいますかね。」
ちょうど、シュテルネン家のお屋敷に到着しました。
漸くご飯ですね、お腹が空きました。
お読み頂きありがとうございます。




