13話
お祖父様達が困惑しているのが会話や表情からも伺えます。
何か予想外の事が起こったのでしょうか?その様子に、オルデンさんとリッツさんも困惑している様です。
「シュテルネン団長、私は初めて魔法の系統や魔力値の測定に携わったのですが、何か問題があったのでしょうか?」
「うーむ…、この陣はな、魔法の系統や魔力値を測定したい者を陣の中心に置き、陣の外側の一定間隔の位置で三方から魔力を流し陣を起動させるんじゃ。
陣から立ち上がる光の色が、中心に居る者の魔法の系統を表しとる。
火系統だと赤・水系統だと青・風系統だと緑・土系統だと茶・肉体系統だと黄・空間系統だと金となるんじゃ。しかも色は濃い色になる。
因みに、氷は水系統で雷は風系統に分類される。
つまりじゃ、ミーナの様な淡い色で尚且つ、今迄の歴史の中で確認された事がない銀は何の魔法系統に当たるのか、皆目見当がつかんのじゃ。
仮説として、魔法にならない魔力である為に、淡い色でどの魔法系統にも当てはまらない色になったのじゃないかと…。」
オルデンさんが、直ぐに立直りお祖父様に質問しています。
その問に、お祖父様は冴えない表情で、自分の考えが合っているのか、ヘレンさんに目配せしながら話しています。
「それが今の考えられる一番有力な説になりますが、色々試して見ないと確定は難しいですね。」
「淡い色だから魔力値も低かったのか?」
「それだったら淡い色の説明は付く様に思いますが、魔力値は光が立ち上る時間に関係するので、違います。
要は、時間が長ければ長いだけ魔力値が高いという事になります。
ミーナちゃんの場合は、年齢を考えると高いですね。」
「魔力値は年齢で変わるのですか?」
「団長、魔力値は20歳頃までは伸び続けます。その後は訓練や体質によって伸びる事も有りますが、基本的にはそこで安定して50歳過ぎから落ち始めます。」
「ハンスは5歳の時に初めて計らせたが、その時は今のミーナより少なかったな。
まぁなんだ、伸び率も個人差があるから一概に魔力値が安定する時に、大量の魔力を持ってる事になるとも限らんがな。」
「そうなんですか。
そうすると、定期的にミーナちゃんの魔力値を計りながら、魔法の系統を試していく事になりそうですね。」
大人達で話がどんどん進んで行きます。
私の魔力値だけは、現段階ではチートという事ですね。但し、使える魔法が現段階では無いという事です。
魔力が有っても魔法が使えなかったら楽しくないです。
そう言えば、先程のお祖父様の魔法系統の中に、ラノベ世界ではお馴染みの、治癒魔法や神聖魔法は無かったのですが、その色は何色だったのでしょうか?
「おじいしゃま、魔法の系統は先程おじいしゃまが言ってたので全部でしゅか?」
「あぁ、そうじゃ。
なにか気になったのか?」
どうしましょう。治癒魔法とか神聖魔法とか説明したら、おかしな子になってしまいますよね。
ここは一杯合ってビックリという風にしておきましょう。ただ少し反応は見てみたいですね。
「ううん、一杯魔法の系統が合ってしゅごいと思ったの。
でも、お怪我とか魔法でシュッて治せたらしゅごいからあるのかなって思っただけでしゅ。」
「怪我が魔法で治るなんて、お伽話で出てきてもビックリしてしまいますね。
私達騎士団からしたら、有ればとても有り難い魔法ですがね。」
皆さん微笑ましそうに私を見ていますね。
治癒魔法は考えた事も無いという事ですね。そもそも過去に1人も使い手が居らず、お伽話にもならないのなら当たり前ですね。
確かに絵本を読んでいても、その様な話は有りませんでした。
「陛下や宰相には、今回の結果と今後の測定や各魔法の実地をしてみて様子見と伝えるしかないな。
ミーナ、各魔法の実地は儂やハンスが休みの日に見てやるからの。
魔法値の計測は3ヶ月に1回行う。」
「はい、おじいしゃま。」
「ミーナ、そこから出てきていいぞ。
今日の所はこれでおしまいだ。
帰りはお祖父様が送ってくれるからな。」
父様に頷きながら、【陣】からでてお祖父様の側に行きました。
あっ、リッツさんがしょんぼりしてますね。
強面おじさんのヘタレわんこは本当に誰得になるのでしょうか?
お読み頂きありがとうございます。
次回は閑話になります。




