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12話

本日2話目です。

お祖父様の執務室を出て、階段を下り地下にあるという個人訓練室に向かいます。

隊舎なのに、誰にも会いません。何故でしょう?


「ヘレンしゃん、誰もいましぇんね?」

「そうね、まず魔法士団の構成を知っている?」

「知らないでしゅ。」

「魔法士団は5つの部隊で構成されてるの。

まずは、王宮警備をしている第1魔法隊と王都警備をしている第2魔法隊。

この2つの部隊は、隊舎とは別にある騎士団と合同の詰所に居るの。

だから、勤務時間中はそれぞれの詰所に居て、基本的には緊急時と勤務時間外、後は訓練の時間にしか来ないの。

次に、第3魔法隊は研究部隊。

要は研究好きの集まりだから、それぞれの研究室に篭って部屋から出て来ないの。部屋から出る時は、ご飯の時か、研究に区切りが付いた時か、問題を起こした時ね。

更に、第4魔法隊は王国内の各地の警備に散っているから、緊急事態が起きない限り、向こうから報告に来るか、こちらから視察に行く以外で会わないわ。

最後に、第5魔法隊は【電魔力】の維持と生産をする部隊で、別の場所で仕事をしてるの。

だから第1と第2と同じような時にしか来ないわ。」

「じゃあ、隊舎は第3魔法隊が問題を起こさなければしじゅかなんでしゅね。」

「…第3魔法隊は常に誰かが問題起こしてるから、隊舎は賑やかね。」

「ミーナちゃん、騎士団の構成も教えてやる。」


えっ?リッツさん、突然どうしたのですか?魔法士団の構成を聞いたからついでですか?

ヘレンさんの顔を見ると苦笑いをして、私にだけ聞こえる小声で教えてくれました。


「ルダート副団長って、子供好きなんだけど顔が強面でいつも泣かれてしまうの。

だから、初対面で泣かずに自己紹介が出来たミーナちゃんのことを構いたくて仕方ないんじゃないかしら。」


なるほどです。確かにあの強面顔は小さな子供には泣く程怖いでしょうね。前世の記憶がある私も怖いと思いましたから。


「リッツさん、よろしくお願いしましゅ。」

「おう。

まず、騎士団は近衛隊と第1~第5部隊がある。

近衛騎士は王族・国賓・重要人物の護衛をする部隊になる。

次にミーナちゃんの親父が指揮を執っている第1騎士隊は、王宮の警備を主にする。時々他の部隊の応援に出張する事もある。実力的には近衛と変わらないか、若干上だな。

と言うのも、近衛は貴族階級の実力者で第1は準貴族と平民出身の実力者の部隊だからな。ミーナちゃんの親父は貴族出身の平民身分てややこしい事情があるから、近衛じゃなく第1に所属させたがな。

第2騎士隊は王都の警備部隊で、第3騎士隊は情報部隊、第4騎士隊は王国内各地で警部だ。

最後の第5部隊は特殊部隊になる。ミーナちゃんの親父も入隊から5~6年はこの部隊にいたな。その後に第2に移動になって、結婚を期に第1に移って、順当に出世して、今じゃ第1の隊長になってるがな。」


部隊の説明は簡潔なのに、父様が絡んだ部分だけ詳しく教えてくれました。話のネタになるからでしょうね。


「リッツしゃん、説明ありがとうごじゃいましゅ。

とうしゃまは3つの部隊を経験してるんでしゅね。リッツしゃんは副団長になる前はどの部隊にいたんでしゅか?」

「俺は第2と第4だ。

この顔で王宮警備や近衛をやってみろ。貴族のご婦人・ご令嬢から抗議が殺到するじゃねーか。」

「ルダート副団長、突っ込み難い事をわざわざ言う必要は無いと思いますが…。

ミーナちゃんが、どうしようという顔をしたじゃないですか。

それにその顔で、その話口調だと余計に子供に怖がられるだけだと思いますよ。」

「すまない、ミーナちゃん。おじさんを嫌わないでくれ。」

「こちらこしょ、変な顔してごめんなしゃい。」

「天使だ~!!」


ヘタレの強面のおじさんは誰得になるのでしょうか?そして、近衛隊にも所属出来るニュアンスなので、貴族出身なんですね。


「ルダート、儂のミーナは確かに天使だが、貴様に言われる筋合いはない。

ミーナ、個人訓練室に着いたから中に入ろうか。」


どうやら、魔法士団と騎士団の構成を聞いているうちに、目的の部屋に着いたようです。



訓練室に入るとる部屋の中心に【陣】描かれていました。


「ミーナ、あの【陣】の中心に行って来れ。

大丈夫じゃ、体に害になる事は無い。魔力の性質や魔力値を調べる為の物じゃ。

中心に行ったら、楽な体勢でおるんじゃぞ」

「ミーナ、昔父様もあの中に入って魔力の性質と魔力値を調べてる。

怖がる必要は無い。」


少し怖がっていた事を父様は気付いたようで、声を掛けてくれました。

私は父様に頷き、陣の中心へ行き、お祖父様に言われた様に体の力を抜きました。


お祖父様とヘレンさん、そして父様が【陣】の三編に同じ距離になる様に移動し、床に手をつきました。

暫くすると、陣から淡い銀色の光が立ち上り、その光が私の周りを漂います。

その光景はとても幻想的です。

陣から立ち上る淡い銀色の光が無くなった頃、光が私の中に収束していきました。


「うーむ、これは……。」

「団長、どういうことでしょうか?」

「父上…。」


えっと、どうだったのでしょうか?

取り敢えずこのままでここに立って居ればいいのでしょうか?

お読み頂きありがとうございます。

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