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➖閑話 〜アーノルド・シュテルネンの困惑〜➖

本日3話目です。


5/7誤字修正しました。

ルプスの3月18日の午前中に自宅の屋敷から文が届いた。

どうやら次男の嫁マーガレットが産気付いた様だ。

マーガレット自身は3回目の出産だからそこまで慌てる事も無いだろうと思いながら、副団長のヘレンに声を掛けた。


「ヘレン、儂これが片付いたから屋敷に帰るから後は頼んだ。」

「はっ?団長突然どうされたんですか?」

「もう直ぐ孫が産まれるから、会いに行くんじゃ。

じゃあな。」

「ちょっ、団長ー」


ヘレンに仕事を押し付けてさっさと帰ろう。

本当だったら、爵位を長男に譲った時に団長も辞任して、領地で気儘な隠居生活をしたかったのにな。


今回は男と女どっちじゃろうか。

まぁ、男系の家で滅多に女は産まれないから、また男じゃろ。

孫娘がいたらウンと可愛がるのに。


馬車で屋敷に帰って、着替えていたら産まれたとの報せが届いた。

なんと産まれたのは女だった様だ。

これは良い報せじゃ。

長男夫妻と馬車で次男一家の家に向かった。


家に着いて見た次男のハンスの顔は喜びと困惑が同居した顔をしていた。

疑問に思っていると、直ぐに孫娘に会わされた。


そしてハンスからとんでも無い言葉を言われ驚愕した。


「ミーナの髪は見ての通り、マーガレット譲りの亜麻色だが、瞳の色が俺と同じ烏羽色だった。」


そんな事は聞いた事も無い。

抱っこしていた孫娘ミーナの顔を見るが、スヤスヤ眠っていて瞳を見る事が出来ない。


もし本当だったら、いや、ハンスがワザワザ嘘付く意味が分からない。

ルーカスもアマンダも困惑していた。


お腹が空いて目覚めたミーナの瞳を覗くと、確かに烏羽色の瞳じゃった。


それから直ぐに、陛下と宰相・各大臣にミーナの事を話した。

国としては、まだ力の有無が分からん乳幼児を面倒を見る気は無いようじゃ。しかも他国に知られるなときたもんだ。家に軟禁しろと言っとるな。まぁ、帝国の動きがキナ臭いから、下手に知られて面倒が起きるのを避ける為じゃろうから仕方ないがな。

可愛い孫娘が国取られんでよかったわ。



日々成長するミーナは可愛らしい。やはり、自分の血の繋がりがあるからか、嫁達とは可愛らしさが断然違う。

しかしミーナ自身は極端に甘えたり、我儘を言う事をしない。

そして、自身をしっかりと律することをしている。

3歳も満たない子供のする事では無い。やはり特別な何かがあるのだろうか。


ミーナの3歳の誕生日がきて、ハンスの家で身内でのパーティに参加した。

ミーナは儂の送ったプレゼントをドレスを可愛らしく着こなしていた。

うむ、孫娘はいいな。


昼食を摂るのにダイニングに移動する際に、ハンスが儂とルーカスに目配せをしてきた。

何事かと思い近づくとハンスから提案がされた。


「ミーナの鍛錬を始めようと思う。

本人が希望してきた。」

「ハンス、流石にミーナ本人の希望でも早すぎませんか?

体格に恵まれてたシルバ以外は5歳になってからでしたよ。」

「理由はなんじゃ。」

「ミーナの精神面は随分と安定していて、物事の分別も付く。」

「そうか、わかった。陛下と宰相達には儂から言っとく。

いいな、ルーカス。」

「しかし…わかりました。」


儂が一睨みすれば、ルーカスは従った。

儂が思っていた事は当然ハンスも思っていたようじゃ。それでの判断なら良かろう。

これからミーナは大変になるじゃろう。儂がしっかりと愛情を注がねばなるまい。


「魔法の使用出来るかの有無はルプスの3月30日に魔法士団の隊舎で行うぞ。」


父親ハンスが決めた事じゃが、もう少し大きくなってからでもいい気がしてくるの。

お読み頂きありがとうございます。

おじいちゃんはミーナにデレデレです。


本日19時に本編を投稿します。

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