1話
初投稿です。
授業が終わり帰りのHRも終了して、帰り支度をしていたら、隣のクラスにいる親友の優奈が来ていた。
「茜、チビちゃん達のお迎えと遊びに付き合うから、勉強教えて下さいなっ。」
「優奈、今日部活ないの?」
「…監督とコーチに定期試験2週間前になったから勉強しろって。赤点取って補習になると大事な大会に被るからね…。」
「あぁ、なるほどね。
図書室寄って本返してから帰るから図書室付き合ってもらってもいい?それとも下駄箱で待ってる?」
「付き合う。何の本借りたの?」
「チビ達との遊びに役立つかと思って、草花の本と工作の本。」
「で、役立ったの?」
「まあまあかなぁ。」
優奈はバスケ部のエースで運動神経は抜群だが、勉強面はイマイチなのだ。毎回定期試験の時期が近づくと、バスケ部の監督・コーチから勉強しろと、部活の参加禁止が言い渡され、私に勉強を教わりにやって来る。
優奈とは小学校が一緒で高校で再会した友人で、そして私の家庭の事情を知っている貴重な存在だ。
私の実父は、私が産まれる少し前に交通事故で亡くなり、母が女手ひとつで育ててくれていた。
そんな私の家庭環境が変わりだしたのは、小5の夏頃になってから。
母の仕事からの帰りが遅くなり、1人で過ごす時間が長くなった。
優奈はその時、遅くまで遊んでくれる友人だった。
小6になってもそんな日々が続き、冬休みも近づく12月に、母から紹介したい人が居ると言われ会うことになった。
母とその人に会って、結婚すると聞かされてビックリしたのも束の間、私に弟か妹が出来ると言われ、さらに冬休み中に引越す事も決定していて、言葉が出ないほど驚いた。
引越し先は、5駅程離れた場所になると言われ、転校する様に言われたが、あと3ヶ月で卒業だからと母と義父と学校にお願いして電車通学をさせてもらった。
小学校の友人とは、中学に上がる時に別れてから、優奈以外は自然と連絡を取ることはなかった。
優奈は私にとって親友であり、何を置いても助けたい大切な人である。
雑談しつつ図書室に着いたので、本の返却手続きをしていたら、図書室の前が騒がしくなって顔を向けると、学年で1番モテると噂の榊君と榊君と仲の良い倉本君とその彼女の栗林さんが入って来るところだった。
「あー、また騒がしい人達が来たな。
…芝原、返却手続き終わったから、学生証返すね。」
「ありがとう、和田君。」
「茜と和田って仲良いの?同じクラスになった事ないよね?」
「同中だからね。中学の時も和田君図書委員してて、私が図書室常連だったから。」
驚き顏をした後、ニヤニヤ顏に変化して私と和田君の顔を交互にみだしていたから、何か感ずいたのかな。私の片思いだけどね。
「ふーん。」
「なんだよ、そのニヤニヤ顔は。俺からしたら原田と芝原が一緒にいる方が驚きの組み合わせだ。」
「ふふん。あたしと茜は小学校の時から親友だからね。
それより、また来たって榊達が図書室によく来るの?イメージ合わないわ。」
「まぁ、俺達も高3だから来てても不思議じゃないだろ。ただ、栗林が注意しても注意しても煩くてかなわん。出禁にしたいくらいだ。」
「倉本君と栗原さんって付き合いだしたの最近だから、勉強よりも倉本君に構ってもらいたいんじゃないかな?他の図書室利用者と図書委員からしたら教室で勉強してもらいたいだろうけどね。
それじゃあ、和田君またね。」
「おう、またな。」
「っふ、またね和田。」
歩き出して優奈の顔をみれば、相変わらずニヤニヤ顏をしている。これは先に白状した方が後々楽だな。取り敢えず、図書室から出てからじゃないと話題には出さないけど。
入り口まで移動したら、そこにはまだ図書室に入らずに何やら揉めている榊君達がいた。
「ごめん。出たいから退いてもらえない?」
「よっ芝原、って原田も一緒か。珍しい組み合わせだな。」
「そうかな?小「あぁ、クラス一緒なった事あったのか?テストで補習組にギリギリ入らない原田と毎回トップ10入りしてる芝原だとな。仲よかったらテスト前に勉強教えて貰えばいいのに。」
退いて欲しいのに、退かずに話始めないで欲しいんだけどな。しかも話被せてくるし、優奈の事貶めるし、こっちの事情知らないのに。
腕時計をチラッとみると、15:40になる。双子の弟と妹の保育園のお迎え時間になっちゃうから、話込めないんだけどな。
優奈もお迎えの時間の事知ってるし、私がちょっとイラっとしたのに気付いて、話を切り上げる為に話に入ってくれた。
「榊、あんた本人目の前で何てこと言うのよ。毎回教えてもらってあの成績なの、あたしは脳筋だからね。
あと、あたし達この後用事があるから退いてもーーー」
優奈が話している途中で周りが眩く光出した。怖くなり、優奈とどちらからともなく抱き合い足が動かなくなってしまった。優奈の顔を見ても、目を見張って呆然としてる。助けを求めようと周りを見回すと、皆呆然として固まっていた。ただ一人受付カウンターからこちらに向かって走ってくる和田君以外は。
私は無意識に優奈を強く抱き締め、和田君に手を伸ばした。和田君の手と繋がる瞬間に目を開けていられないくらい眩しくなり、目を瞑ってしまった。そして、手を掴めずに体に激痛が走った。意識がブラックアウトする直前に、鈴を転がすような澄んだ声が聞こえた。
『貴女は要らないから弾くわ。さようなら。』
稚拙な文章をお読み頂きありがとうございます。