3話 主人公、嫌な予感を見事当てる。
暑いですなぁ
「ファラミリアっ!!無事か!?無事なら返事をしておくれ!!」
......え?何事?
「ええ!お父様!ファラミリアはここにいますわ!」
すると、バンっ!!と勢いよく扉が開いた。
お父様って言ったよね?え........。すると扉から入ってきたのは、金髪でエメラルド色が特徴の男前な顔つきをした男性が入ってきた。
「おぉっ....!良かった。無事だったんだな。私は、ファラミリアが変な子供を連れてきたと家の従者達が言っていたのでな、まさか私の美しい自慢の娘が汚されてしまったのかと思い、心臓が止まるのかと思ったのだ。いきなり大声を上げてすまなかった」
変な子供......!?ちょっと、それ酷くない!?そりゃ、着ている服も汚れて汚いし、どこの家なのか身元も分からないし、道路で大の字になって寝そべって居たけれどさ?その言い方はなくない❓私まだ5歳?なんですけど。
「私はこの通り無事ですわ。それよりお父様。この娘、名前も言わなくて、鏡で自分の姿を確認したり......お父様この娘、何処の家の娘かご存知ないかしら?」
そうそう!!知らないですか!えっとー...エスカルドさん!この迷子の私を!私今、色々な事がありすぎて頭がパンクしそうなんです!
「......知らないな。見たことはない」
「じゃあ、平民?」
「ファラミリアは、何処でこの子を見つけ連れてきたんだ?」
「あぁ....この娘、実は道端に大の字になって寝そべっていたのですわ。」
「道端.....?大の字.....?」
ファラミリアさーん。余計なことは言わなくて良いんだよー。
「そうですわ。私が散歩している時に偶然、道端で大の字になって寝そべっているこの娘を連れてきたのですわ。服も、かなり汚れていて、意識があるのかないのか分からないぐらい弱り果てていた様子でしたから、屋敷に連れてきたのですわ」
「そうだったのか......。私が居ない間にそんなことが起きていたのだな...。だが、ファラミリア。何処の家の娘か知らないのに勝手に連れてきたのでは駄目じゃないか」
「ごめんなさい。お父様。でもこの娘、弱り果ててあんなとこに転がって.....お父様。もしかしたらこの娘、捨て子かも知れませんわ」
.......捨て子?.....凄い困るんですけど。
「それに、この娘。私が散歩、つまり家の周りを散歩していたわ。そこで、私の家の近くの道端に寝そべっていて.....。やっぱりお父様!この娘は捨て子だと私は思いますわ!」
「うーん.......。でも何故私の屋敷に?」
「それは.....う、運命というものですわ!」
いやいや、絶対違うから。っていうか私はファラミリア公爵家の前の道路?いや、道端って言った方がいいな。に、寝そべっていたっていうこと...でいいのかな?全然気付かなかった....。よくファラミリアさんは5歳のくせにペラペラ喋れるよね。
.....これがレベルの差なのか?
「......。君に少し聞きたいんだかいいかな?」
「え?あ、はい。大変けっこうです」
ん?何か今のちょっと変だな。
「君は、記憶というものがあるかね?」
「.......はい?」
きれいなエメラルドの瞳が私をきちんと捉えている。 それにしても、綺麗な顔してるなー。ファラミリアには似てはいないがどこか雰囲気が似てる気がする。ということは、ファラミリアはお母さん似か.....。美形な両親の元で生まれ、金にも困る事のない家に生まれたファラミリア令嬢は、さぞかし薔薇色の人生を歩むだろう。
.....ま、性格が残念なせいで薔薇色とは無縁の人生を送るけどね。
「もう一度聞くが...君には記憶というものがあるかね?」
実際、何も分からないのが事実だ。分かる事といえば、この世界は乙女ゲームの世界で、私は何かのキャラに転生したということだけ。身元が分からないし、ファラミリアの家にお世話?になっているし.....一体私、どうなんだろう...。だから、エスカルドさんの質問にはちゃんと答えられる。
「いいえ。記憶はありません」
「..........。」
「だから、私の質問にも答えられなかったのね。通りで自分の名前も、言わないし鏡で自分の姿を顔したのですわね」
そう。私には記憶がないのだ。死んだという事さえも覚えてないし前世の時の名前も、覚えていないのだ。ただ覚えているのは私は前世、この乙女ゲーム「花イケ」に熱中していたという事。そして、女子高校生だったということ、あとは、ゲームの内容だけだ。
「......記憶喪失か」
「そうなりますね.......」
「...貴方、これからどうするおつもりでいるのかしら?」
「それは...........」
そんなこと分からない。分かるはずない。せめて、もう少し記憶があれば...私が、何のキャラに転生したのか分かれば良かったのに。ある意味、ヒャッホーイって言ってる場合じゃなかったね。
「とりあえず、私が最善を尽くして君の身元を......」
その時、ファラミリアさん←さん要らないね。は、何か思いついたように顔を輝かせた。
......どうした?何か嫌な予感しかしないんですけど。
「お父様っ!!私、良いことを思いつきましたわ!」
「ん?なんだい?何か分かったのか?我が娘よ」
あー...........嫌な予感しかしない......。
「この娘を、私達の養子として迎え入れ私の従者となるのはどうかしら?」
はい。オワタ。
やっぱり短いね。何で短くなるんだろう?