9話 主人公、墓穴を掘る。
遅れてすみません。
ファラミリアの屋敷っていつでも見てもデカイよね。ここどこだろう。デカすぎてどこかも分からないんですけど。
ファラミリアとルイランスは私の前で楽しそうにお喋りしてるし、相変わらずルイランスは顔がひきつっていらっしゃるようだね。....何か本性を知っている私から見て結構怖いな。相手は5歳、私は精神年齢二十超えしてるのに自分で言ってて悲しくなってきたよ。
「ねえ、サラさん」
「は、はい?」
攻略対象がファラミリアを無視して私に話しかけて来たんですけどっ!?
「サラさんって何か他の人と違うよね。何でだろう?」
「........え?」
な、何急にその笑顔怖いんですけど。
「ううん、やっぱ何でもないよ」
「そ、そうですか」
そう言い残しルイランスはファラミリアの元に行き私は......。
バレたとか?いや何をバレた?私はファラミリアの養子でファラミリアの従者で...それはルイランスもさっき話したから知っているはずだ。じゃあ、私が転生者だということ?さすがにそれはないよね。
「.........あれ?二人はどこに?」
周りを見渡したら二人の姿がない。まさか置いてきぼりですか?
マジかよ。ここがどこかも分かんないのに置いていかれるとは不幸とかしか言い様がない。....ファラミリアさん、ルイランスと一緒で浮かれ過ぎて従者を忘れるなんて酷いよ。あの性格のファラミリアだから仕方ないか。...仕方なくないよね?
「どうすりゃ良いのよ.....とりあえず」
外に行こう。
「庭デカ過ぎだろう.........」
私は今家にある薔薇園の影にいる。
叫びたいけど叫ぶ気力さえない。きっと二人は私を探してるんだろうな。探さなくて良いんですけど。このまま見つからず、私がこの家を抜け出して...お!そうすれば私がこのゲームに関わらなくて済むじゃないか!うんうん最初からそうしておけば良かったんだ。
元々興味なかったし、ファラミリアがどうなろうと知ったことじゃないしね。じゃあ、早速........
「何してるの?こんな所で」
「.........ヘ?」
見つかっちゃたよ攻略対象に。
「ファラミリア探してたよ。まさかこんな所にいるなんて驚いたよさ、ファラミリアの元に帰ろ....と言いたいんだけど」
な、何?急に笑顔から真顔に変わって恐怖で足がすくむ...
「サラさん、いやサラ、君ってファラミリアの何?」
「え?何って従者ですけど」
.....怖すぎだ。
「僕にはそうは思えない。本当はファラミリアの従者なんてやりたくないと思ってるんじゃない?」
「い、いや私は」
「証拠に今屋敷を抜け出そうとしてるでしょ?」
「うぐっ!?」
何故バレたっ!?
「.....やっぱりね、そうかと思った。でも分かるよその気持ち。もし僕があの女の従者だったら即刻この屋敷から抜け出すね。あいつの事僕嫌いなんだ。出会った頃からね」
...ファラミリアドンマイ。そうだと思ったよ。
「で、話は変わるけど君って他の子と違うよね。初めて見た時から思ったけど」
「いえ、私はただの従者です」
「そうかな?僕はこの世界の人間じゃないような気がするんだけど」
「うえぇっ!?」
「その反応、図星だね」
......ヤバい確実にヤバいぞ。私が転生者だということがバレたらこの悪魔に弱味を握られる事になる。私がこの世界の人間じゃないって良く分かったよね。まさかこんなに鋭いなんて......ここでバレる訳にはいかない。ましては攻略対象なんかに。
「この世界の人間じゃない?まさか、そんな訳ないでしょう。この私が転生したなんてそんな馬鹿な.....あ」
............
「転生?何だろうそれ?面白い事聞いちゃった」
「いやー私はそのですね.....」
墓穴掘っちゃったぁぁぁぁーー!!
「さて、君は一体何者だい?勿論この僕に教えないなんて事はしないよね?」
「っ.............」
「まだファラミリアにも言ってないようだね。その反応だと」
...................
「あー、実に愉快だね。こんなつまらない所に来て面白い子に出会うなんてね」
............ブラックリスト行きだ。
「さあ、早く言ってよ、サラ・ドリウスさん」
大ピンチです。誰か助けて下さい。
まだまだ続きます。次はルイランス視点でも出そうかなと思います。