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沙耶、改名する

やっと王子の名前が出てきます~

長かった~!

とうとう21って言ってやった!

さぁ、3人の反応は…!?


ポカーン…としていた。

うん、大丈夫予想通り。

…しかし

「冗談言っちゃダメよ~」っておばさんが笑い出した。

他の2人もつられて笑う。

…この反応だって、想像してたもん!泣かないもん!!

「ずっと私に対する態度を見ていて、かなり年下に見られてる事は重々承知です。でも私、本当に21なんです。」

成人してます。(もとの世界では)

しかし3人は口々に「あり得ない」「それじゃ娘と同い年だ」「ラル坊より3つも年上だ」とか言っている。

はいっ、聞き捨てならない言葉が出た!

王子は18歳です!!未成年です!!

ずっと私は年下に慰められ、子供扱いされていました…。

あぁぁ!恥ずかしいやら情けないやらで涙が…!

穴があったら入りたい!!

「うそ……じゃない……です!」

辛うじて出た声は、若干涙まじりの声になっていた。

恥ずかしさからだったが、3人には子供がぐずってるように見えたのだろう。

優しく笑いながら「あぁ、ごめんね。別にあんたを信用していないわけじゃないんだよ?あんたはきっと保護者の人にそう教えられたんだろうね。何かそう言わなければいけない事情があんたにはあったのかもしれない。でもね、ここではそんなこと関係ないんだよ。この村にいる間は年相応に生きて良いんだ。あんたはどんなに多く見積もっても、15歳の女の子なんだからさ…」

…はい、爆弾が投下されました。

おばさんが良い感じに慰めてくれていますが、15ですか!

そこまでしたと思われていたとは……。

…しかし、そんな私の心に塩をぬるように「いやぁ、12~13ってとこだろうよ」とさらにショックなことを言い放つ。

「なに言ってんだい!この子の発育は14~15だろうよ!女のあたしには分かるよ!それにねぇ、自分では21って思ってるんだ、少しくらい尊重してあげなくちゃ可哀想だろ?」

尊重と言いつつ、一番ひどいのはおばさん、貴女です…!

発育が15ってさ…!!

ここまで黙っている王子に「…貴方はいくつだと思いますか…?」と涙目で問いかける。

いきなり自分に話題がふられたことに驚いたのか目を見張り、少し考えてから「…………15かな?」と視線をそらしながら答えた。

かなり間がありましたよ?

目もそらしましたね…

明らかに違うよね、王子?

今までの態度は15に対する態度じゃないもんね??

そんな気持ちを込めて、じっと王子を見つめていると観念したのか小さな声で

「10歳…」と答えた。

11も年下に見られてたのかよっ!!

明らかにムリだろ!!!

そんな私の心の雄叫びを知らないおじさんとおばさんは「まぁ、見ようによっては10でも有りだよなぁ」とか「顔だけみたら10歳でもいけるわよねぇ」とか言ってるし!!!

……もう泣いてもいいですかね?

「どう頑張っても15以上には見てくれないんですね」と不貞腐れた声で私は呟く。

するとおばさんは「そうだよ、15歳だ。まだまだ保護を必要とされる年齢。だから、あんたがどこから来たのか分かるまであたし達に面倒をみさせておくれ。えーと…ミズハラサシャ?」

良い感じに話をまとめようとしたおばさんだったが、名前が言えない……

「…サヤです。」

「サシャ」ヤが言えないらしい

「サーヤ」今度は伸ばしてみる。

「サーシャ」………もう何でもいいや(諦めたとも言う)

「そうです、サーシャです」

これから私はこの世界でサーシャ(15)として生きていく、そう決意した瞬間だった(遠い目)

「頭についてたミズハラは何なの?」王子が不思議そうに尋ねる。

しかし私は遠い目をしたまま

「…何でもないです。忘れてください。私はサーシャ(15)です。」

もうここではすべてを捨てよう。(というか説明することを放棄した。)

「そう…。じゃあよろしくね…サーシャ」

そう王子は笑う。

ゆるりと瞳を細め、ハチミツの溶けたような甘い声色で私の名前を呼ぶ。

……恥ずかしい……!

イケメンのそのスマイルとボイスは卑怯すぎる!

顔が熱い…!!

「俺はラルフレイドル。ラルって呼んで。」

おぉ…やっと王子の名前が聞けた。

ラルフレイドル…舌噛みそうな名前だな。

「あたしは、フィリスマリア。パン屋のマリアさんて、この辺じゃ呼ばれてるよ。」

「俺はダルダレイス。ダイの親父って呼ばれてる。まぁ好きなように呼んでくれ!」

続いて2人も名前を名乗ってくれた。

「えっと…マリアさんとダイさんと…ラルさんですか?」

私がラルさんと呼ぶと、ダイさんが大笑いをはじめた。

「ラルさん!ラルさんって!!あのラル坊がラルさんって!!!」

ゲラゲラと笑い続ける。

…どうやら呼び方がツボに入ったらしい。

「ダメですかね?」と王子(もといラルさん)本人を見る。

ラルさんは困った顔をし、「俺は別にそれでも良いんだけど…」と言葉を区切り、ちらっとダイさんを見る。

うん、ダイさんこのままだと笑い死にしそう……。

…ではと、意を決し「じ、じゃあ、ラル君って呼んでも良いですか?」と聞いてみる。

いや、別に私21だし?

年下を君付けしていようと、本来は何も問題ないんだけどさ。

ここでは私、サーシャ(15)だし。

年下(しかもラルさんにとっては10歳だと思ってた子供)にそう呼ばれるのは嫌かなって思って、気を使ってあえて言わなかったのだがこの状態では仕方ない。

思いきって聞いてみた。

そうしたら「うん、いいよ」と特に気にするでもなく頷いてくれた。

……良かった、気にしてないみたいだ!

これがダメだったら、呼び捨てしかなかったよ…

イケメン呼び捨てってハードル高いわぁ…

それじゃあ話もまとまったところで、次のお話に移ろう。

…まだダイさんは笑っているけれど…ね


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