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沙耶、世界を知る

しかし、ここで大きな問題にぶつかる。

私はこの世界について何も知らない。

ということは、この世界で生きていけないということだ。

…この世界を知らなくては。

帰れるにしても、帰れないにしても、今の私にはこの世界の知識が必要なのだ。

お腹もいっぱいになった。

この世界に対する覚悟も決まった。

あとは、生きていく道を進むだけ。

「あの、お話させていただいてもいいですか?」

私の真剣な声で、3人も居住まいを正す。

「あぁ、何でも聞いとくれ。答えれることは全部答えるよ。何せ、世界地図も分からないような箱入りの魔力持ちの娘ちゃんだもんね」とおばさんが、苦笑いしながら答える。

「まず、魔力持ちってなんですか?」

異世界トリップなんてファンタジーがあるくらいだから、魔法もあるのだろう。

だが、私にはそんなの分からない。

何故、私が魔力持ちと呼ばれているのか気になるのだ。

私の問いに3人は驚いた表情をする。

「すいません。私、本当にこの世界のこと何も知りません。面倒だとは思いますが、お付き合いお願い致します。」

私は、深々とお辞儀をする。

そうしているとおじさんが「こんな小さな子に、そんなことも教えていないなんて!!育てたやつは何をしてるんだ!!」と顔を覆いながら呟やく。するとおばさんが「それだけ大切に育てられてきたのよ…。まさか、こんなことになるなんて思わなくて…。本当に可哀想に…」と、涙ぐみながらおじさんの肩をたたく。

…小さな子とかその辺は今は置いておこう。

まずは、基礎知識!!

今までの会話で私が年相応に見られてないことは、分かっている。

というか、かなり年下に見られているのだろう。

しかし、そんなのは後でどうにでもなる…!!(と、私は信じている)

そこから、私はこの世界についての大まかな説明を受けた。

まずは、私がいる場所。

ここは、エディルガルド王国が治める南の大陸。その南部に位置するシーガ村というところ。

この村は、麦栽培を主な仕事としていること。

大陸は大きなものが4つ。あとは、その周りに小さな小国の大陸が数十大陸存在すること。

どの大陸も国王が治める王政であること。

小国の小競り合いが度々起こるが、4大陸は争いもなく、今は平和であること。

…そして、魔力持ちのこと。

魔力持ちとは、髪や瞳の色に黒色が入ってる人のことを指すらしい。

この国では普通は黒色は生まれてこない。

しかし、ごく稀に黒色を持つ者が生まれる。

その黒色を持つ人間は一様に不思議な力を使うことができるという。

すなわち、魔力。

なので、そういう容姿を持った人間が生まれたら、基本的に生まれてすぐ王国直属の機関に保護され、その才能を生かすことになるのだ。

しかし、稀に国の保護を拒否し、自分たちで大切に育てる者もいるという。

私は、その後者だと思われている。


どこかの家庭が大切に育ててきた魔力持ち。

大切にするあまり、常識も知識も何一つ与えられてこなかった、無知な魔力持ち。

しかも、貴重な魔力持ちの中でも、黒髪黒眼というのは貴重中の貴重らしい。

だから、王子は私を保護してくれたんだ。

貴重なもの、珍しいものは格好の見世物になる。

…もし、私を最初に見つけたのが王子じゃなかったら…

考えただけでゾッとする。

「きっと保護者の人も、さぞ心配してるだろうねぇ。大丈夫だよ、見つかるまでちゃんと面倒みてあげるよ!」と、おばさんは優しい眼差しで私を見つめ、手を握ってくれる。

優しい言葉が胸に沁みる。

でも…迎えは来ないことを私は知っている。

しかし、ここで私が異世界から来たので迎えは来ないと言っても、信じてもらえないだろう。

彼らには私は、常識のない無知な子供としてしか映っていない。

そんな状況で何を言っても信じてもらえないだろう。

だったら、その設定に沿って、私はこの世界で生きて行くための私を作らなくてはいけない。

「ありがとうごさいます。私みたいな得たいの知れない人間の面倒を見てくれるといってくださって…。」

と、また深々と頭を下げる。

「なに言ってんだ!あんたみたいな子ほっとける訳ないだろ!ここであったのも何かの縁だ。最後まで面倒をみるのは当然だろ?」

とおじさんが、ガシガシと少し乱暴に頭を撫でる。

「そうだよ。子供は黙って、大人に甘えてれば良いのさ」

とおばさんは笑う。

…そろそろ言うべきだろうか。

「皆さん、本当に親切にしていただいてありがとうごさいます。まだ自己紹介をしていませんでした。水原沙耶、21歳です。分からないことだらけですが、よろしくお願いします。」

…とうとう言ってやった…!


やっと名乗りましたね~

次回は王子の名前が分かります。

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