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沙耶、死にかける

今回も短いです

青ざめている私に構わずにアルさんは「じゃあ、行くぞ」と掛け声をかける。

行きたくない!!と瞬時に想った私の体は宙に浮いた。

!!?

驚いたが、すぐに理解した。

アルさんが私を抱きかかえたのだ。

急に視界が変わり、戸惑う私。

というか2メートル近い男の人に抱っこされるとか恐怖以外ない!!

高い!怖い!!足ついてない!!!

アルさんの腕に座らされる形で抱かれ、必然的に私の腕はアルさんの頭を掴んで支える事になる。

いつもは座ってないと近くに見えないアルさんの顔が、私の顔の少し下にある。

…しかも至近距離で…

そう、近いのだ。いつもよりずっと。

「お、おろしてください!!」

近すぎて照れる!!

美形の顔が近いんだよ!

美形に慣れたって言っても、アルさんの顔はまだ慣れないの!!!

アルさんの腕の中でジタバタと暴れるが、アルさんは堪えた様子もなく楽しそうに笑うだけ。

放してくれる気はないようだ…。

それどころか「じゃあ、これからサービスで大技見せてやるからな!」とまったく気にしてない様に話を進める。

この体勢は恥ずかしいし、大技は嫌な予感しかしないしで私の顔は赤くなったり青くなったりで忙しいことだろう。

そんな様子を楽しげにアルさんは見つめながら、一歩一歩崖に向かう。

…そんな、まさか…と考えないようにしていたことが起きそうな予感で、私の目は恐怖に見開かれる。

そしてアルさんがニヤリとあの人の悪そうな顔で笑い「舌、噛むなよ?」と囁くように一言言った瞬間、トンっと軽やかに崖を降りた。…いや、落ちた。

「ぎゃあぁぁぁぁ!!」

…やっぱりね!

崖に上った時から、そんな気はしてたけどさ!

そうだと思いたくなかったよ!!

凄まじいスピードで落ちる私達に痛いくらいの風が体全体を駆け抜ける。

悲鳴を上げながら、アルさんの頭を必死に掴む。

…怖い!つーか死ぬ!!

あの、この世界に来た時のような落下する恐怖をもう一度味わうなんてね!!

そして、地面が近づき反射的に私は目をぎゅっと閉じ、衝撃を待つ。

…が、いくら経ってもその衝撃はこない。

「目、開けてみな」というアルさんの声でそろそろと目を開ける。

すると、地面ギリギリのところで停止しているアルさん姿が目に映る。

「どうだった?崖から落ちた感想は?」と意地悪そうな面白がるような声色で、アルさんは囁く。

もちろん私は「死ぬかと思いました」と怒気を孕んだ声で呟いた。


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