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沙耶、興味を持つ

次の日、ラル君は約束通り私をアルさんの待っている丘に、送ってくれた。

丘の上で待っていたアルさんに挨拶をすると、笑顔で挨拶を返しそして驚いたようにラル君を見た。

「第1劣性種じゃん。サーシャ、あんただけじゃなくて保護者も珍しかったんだな。驚いた。」

とまじまじラル君を見るアルさんに対して、ラル君は表情が読めない顔で「珍しいといっても、魔力持ちほどではありません。」と淡々と呟いた。

「まぁそうだけどなぁ」と言いながらアルさんは笑う。

それから、2人は自己紹介を始める。

その間も、アルさんは興味深そうにラル君を見つめているし、ラル君は無表情で対応している。

…いつも笑顔のラル君ばかり見ているから、ちょっと怖い。

でもそれだけ、やっぱりラル君にとって銀髪というのはコンプレックスなんだろう。

そんな事を私が考えていると2人の挨拶が終わったらしく「じゃあ、サーシャ。俺仕事に行くから。俺が来るまでここで待っていてね。」と笑って、丘を下りていった。


ラル君が見えなくなるとアルさんが「銀髪と黒持ちの兄妹って目立つだろ~」と笑って言った。

…私達の事兄妹だと思ってるらしい。

まぁ、似たようなものなので特にそこは訂正することなく「いえ、この村の人は普通に接してくれてますよ」と答える。

それを聞いたアルさんが「ふ~ん、これが王都なら多分大変な噂になるのにな。田舎ってすごいわ」と呟いた。

噂…ラル君にもそんな経験があるのだろうか。

多分あったのだろう。

だから、今ラル君はこの村にいるのだ。

耐えられないような事が王都であったのだ。

そんな事を考えていたらアルさんが「でもさ」と声を発したので私は、アルさんの方を見る。

「今日、来てくれてありがとうな。ああいう約束したけどもう会えないかと思ってた」と笑って言った。

私は首をかしげながら「何故ですか?ちゃんとまた会うって約束しましたし」と答える。

「いや、あんたを見送った後に、貴重な黒持ちをそうそう知らない奴のとこになんか普通行かせないよなって思ってさ。あんまり期待してなかったんだ。」

そういうものなのだろうか…でも、確かにラル君も嫌そうな顔をしていた気が…

「確かに、ちょっと渋い顔してましたけど、ちゃんと話したら、いいよって言ってくれましたよ。毎回送り迎えつきですけど…」

とちょっと最後の方の言葉は小さくなる。

だって、毎回送り迎えって…子供じゃないんだからさ。

それを聞いたアルさんは「ちょっと渋い顔しただけで、すぐに了承出すとか!お前の兄ちゃんも面白いな!」とおかしそうに笑いだす。

…何がそこまで面白いんだ?

「話し合いをして、納得してもらえれば普通だと思いますけど?…でも、厳重な送り迎えとかあるので過保護だと思います…」

そう答える私に、アルさんはさっきまでの笑い方とは違うちょっと困ったように笑う。

「…普通に話し合いを設けるって事自体が、未登録の魔力持ちにはあり得ないんだよ。送り迎えくらい、過保護でも何でもない。本当の過保護は、一切魔力持ちを家から出したりはしないし、魔力持ち自体に何かをやらせたりはしない。自主性をすべて禁じて、すべて保護者が魔力持ちの生活を管理する。あんたは、村を自由に歩くことができる。村の人の顔を見る事が出来る自由がある…。それをしてるあんたも、それを許してる保護者の兄ちゃんも、一般的な未登録の魔力持ちを持つ家じゃない。イレギュラーすぎて面白いんだよ」と私の髪を撫でる。

…ずっと家から出られない。ラル君以外の人の顔を見られない。自分の行動が、相手に管理される…。

考えるだけでゾッとした。

それは過保護なんかじゃない。監禁じゃないか。

…狂っている。

今まで魔力持ちというものを甘く考えていたのかもしれない。

私が考えているよりも、この世界の魔力持ち、特に未登録の人たちの生活は、私が体験した事のない世界だと思った。

そうして、改めて思う。

本当に出会ったのがラル君で良かったと。

私に、人並みの生活を与えてくれる、優しい人で良かったと思った。

私の青ざめた顔を見たアルさんは「ちょっと箱入りのサーシャには刺激の強い話だったか?」と困ったように眉を寄せる。

私は、首を横に振り、アルさんのまっすぐに顔を見る。

そして

「アルさん、教えて下さい。私に、この世界の事。色んなことが起こってるこの世界の事。…魔力持ちの事。私は知りたい。今いる私の世界を。この村以外の知識がほしい」

とアルさんに言う。

私の真剣さに、アルさんもさっきまでの表情を消し、「いいぜ、知りたい事に答えてやるよ。会いたいって言ったのは俺だしな。何も知らないあんたに、世界を教えてやるよ。こんな田舎じゃ手に入らない話や、魔力持ちしか分からない話まで…だから」

とそこで一度言葉を区切り、次の時にはいつものような人懐っこい笑顔で

「腹減ったから飯食ってからにしない?」と言った。

さっきまでの空気はどこへやら。

私は笑って、お弁当のふたを開ける。


世界を知る。

魔力持ちを知る。

それが、何故か今とても大切だと思った。

私の中で何かが変わっていく気がする。



今までの、のんびり生活から何かが変わるかもです。

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