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沙耶、教わる

なんちゃって知識で今回の事は書いてありますので、温かい目で読んでください。


「あっ」と私はラル君に抱きつきながら声を上げる。

「どうしたの?」とラル君が声をかける。

「あのね、アルさん髪の色が赤だったの。私、珍しいですねって言ったら、赤は珍しくないって言われたの!この村ラル君以外ほとんど紫だし、街でも青とかしか見ないから私びっくりして」

と私が話すと、ラル君が納得したように「あぁ」と言った後「サーシャは色の優劣、知らないんだもんね」と笑って言った。

「色の優劣?」とコトンと首を傾げる私にラル君が説明をしてくれる。

この世界には色の優劣性が存在する。

銀→青→紫→赤→茶の順に髪や瞳の色が出やすいのだ。

これは遺伝子に組み込まれているらしい。

一番劣勢の銀を第1劣性種。青が第2劣性種。紫が中性種。赤が第2優性種。茶色が第1優性種。となるらしい。

「じゃあ、なんでこの村の人はほとんど全員紫なの?」

素朴な疑問だ。

3番目とはいえ、全員がその色になるような優性の色ではないだろう。

「俺はこの村の人間じゃないから詳しくは知らないけど、小さな村だし、昔から紫の遺伝子がほぼすべてを占めてるんじゃないかな。それか、この近隣の街を見てるから知ってると思うけど、紫より劣勢の青がほとんどの人だから、その人と結婚しても優性の紫が出るのかもね。」

…なるほど。

ん?

気になる言葉が…

「ラル君ってこの村の人じゃないの?」

「うん、俺は王都で生まれて、小さい頃は王都で育ったんだよ。」

初耳だ。

「じゃあ、王都にはやっぱり優性の髪の色の人が多いの?」

「そうだね、やっぱり赤とか茶色が多いね。でも、優性同士でも遺伝子の中にどちらも劣勢の遺伝子…たとえば青の遺伝子を互いに持っていれば、青の子が生まれる事もあるから、やっぱり王都はこの辺の村や町より色んな色に溢れてるかな。」

ラル君の説明を聞いて、何となく血液型の話を私は思い出してた。

(あれもAとAでも互いにO遺伝子が入ってたらO型が生まれたりするもんね~)

「じゃあ、王都に行ったらラル君みたいな綺麗な銀髪もいるんだね」

と私は笑顔で言った。

ラル君の話では、銀は一番劣性ぽいけど、きっと王都にはいるんだろうな。

そう思って言ったのだが、ラル君は少し困ったように笑った。

「う~ん、可能性的にはいるにはいるんだろうね。でも、俺も会ったことないなぁ。」

「何で?」

「一番劣性の銀遺伝子は、他の色に混ざりやすいんだ。ちょっとでも違う遺伝子が入っているとその色が反映されてしまう。だから王都でも青までの第2劣性は見ても第1劣性はなかなか生まれないんだよ。この村みたいに、ずっとその遺伝子だけを残してる村があればいるんだろうけどね」

そう笑うラル君にすごく初歩的な疑問が浮かぶ。

「…じゃあ何でラル君は銀色なの?」

ラル君はますます困った顔をして

「…可能性的に低い確率に引っかかったんだろうね。両親とも青髪だったから、劣性遺伝子が強かったのかな?」

と苦笑いを浮かべた。

それを聞いて「すごいね!!」と私は興奮してラル君にいう。

それを見たラル君は驚いたように「え?」と声を上げる。

「だって、なかなか生まれないって事はラル君貴重ってことだよね!すごいよ!!」

「貴重って…。そんなこと言ったら魔力持ちのサーシャの方が貴重だよ。黒は遺伝子とは関係のない色だからね」

と興奮する私をなだめるように、髪を撫でる。

それでも、私は「私の事は今は置いておくの!すごいなぁ、なかなか生まれない銀色かぁ~。そんなラル君に会えた私はラッキーだね!!」と笑う。

そうしたら、ラル君はすごく驚いた顔をする。

「…どうしたの?ラル君?」

そんなラル君の変化に戸惑う私。

…私、変なこと言った!?

「ううん…なんでもない。…俺ね、昔はこの髪色、嫌いだったんだ。誰とも交われない色。交ったら消えてしまう色。自分と同じ色の髪が王都のどこを探してもいなくて…浮いてしまう自分が嫌だった。心ない言葉を言う人もいたしね、子供心に傷つくこともあった。…でも、サーシャみたいに言ってくれる人もいる。そう思ったら、心が軽くなったのを思い出しただけ」

と穏やかに笑う。

そこで私は思った。

きっと、そう言ってくれたのはフィンちゃんや、マリアさん、ダイさん…この村の人たちだったんだろう。

ラル君は自分の容姿にコンプレックスがあったけど、ここの人たちに会えて変わっていたんだろう。

昔の頃のラル君の辛さは私には分からない。

どれだけ、この村の人に救われたかも分からない。

…でも「私、ラル君の髪の色大好きだよ。綺麗な碧色も…。最初会った時、物語に出てくる王子様かと思ったもん。」と明るく言う。

私のこの言葉が、今のラル君にとってもっともっと自分を好きになってくれる要因の一部になってくれればと思って言葉を紡ぐ。

劣性だから劣ってる訳じゃない。それが貴重な存在だと。自分の誇っていい個性だと…そう思ってもらえるように。

私の言葉の意図を理解したのか、ラル君は優しく優しく微笑み「ありがとう」と呟いた。

そして今度はおかしそうに「俺が王子様ね…。麦畑の真ん中で鎌と軍手した王子様って…」と笑いだす。

つられて私も笑いながら、ラル君に抱きつく。

「いいの、庶民的な王子様でしょ?抱きつくとお日さまの匂いがして気持ちいい王子様!」

それから、しばらく2人でじゃれ合った。「俺が王子なら、サーシャは黒い天使だね」とか「天使なんて柄じゃないよ!」という、他愛のないやり取りをしながら。

優しくて穏やかで温かいラル君との時間。


こんな優しい人は、優しい人と暮らしてほしい。

ゆっくりと穏やかに…

でも、その時が来るまでは、もう少し私と一緒にいてほしい。

彼の優しさに甘えながら、そう私は思った。

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