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たった一つの道

 遠く。

 人が人形程度の大きさに映るほど遠くで、白い粉塵が噴火するように噴き上がった。

 甘寧将軍が落馬した。

 叩き落された。

 殺された――?


「おい、そこの! 何やってんだ! 戻れ!」


 がむしゃらだった。

 時折耳に入る叱責の声を置き去りに、白く渦巻くもやの中をひたすら進む。大地を踏みしめ、雪を蹴り上げ、ひたすらに走る。

 心臓が破裂しそうだ。


「くたばれェ!」


 無我夢中だった。

 時折迫る馬上からの一撃を躱して、地面を転がり、立ち上がって、また走る。

 口の中は泥の味がした。


 飛将軍は――呂布は馬から降りて、将軍が落馬したであろう雪の煙が立ち昇る地点へと近づいていた。

 とどめを刺す気か。

 首を取る気か――?


 もくもくと舞い上がる雪は晴れず、ここからでは将軍の生死はわからない。確認できなかった。

 しかしこちらの事情なんかまるでお構いなしに、呂布は戟を振り上げた。滑らかな曲線の刃は将軍が叩き落された地点へと向いていた。


 俺はがむしゃらに、無我夢中で大地を蹴った。

 戟が重力の働きに乗った現実を目に留めながらの、最後の跳躍。

 その突撃の熱量を軸足に込めて、倒れ伏す甘寧将軍の頭上、今まさに振り下ろされようかという巨大なげきに向かって、何の変哲もない鉄の剣を振り上げた。


「……なに?」


 抑揚のない子供じみた声が先だっただろうか。

 刃と刃とが火花を上げ、つんざくような金属音に腕が痺れる。瞬間の激突に肺から空気が漏れそうになる――が。


「――ぅ……おおぉッ!」


 それら全てを気合いに込めて、衝撃ごと両腕を振りぬいてみせた。

 場に留まっていた騒音が弾け飛び、目を見開いた女性はあっという間に後ろに飛び退いた。


 そこはもうお互いの間合いではない。


 ちかちかする視界。痺れる頭。

 脳内にぐにゃぐにゃした形のない色が混ざり合うさなか、頭に浮かんだ言葉はたった一つ。


 ――間に合った。



「…………なに?」


 さっきと同様に小さくつぶやかれたはずの女性の言葉。

 戦いの雑踏が渦巻く中にあってやけにはっきり聞こえたそれに、理由も無く渦巻いていた想念がぶっとんでいった。

 

「俺かァ!?」


 面白いわけでも、楽しいわけでもないのに、どういうわけか口元が吊り上がり。

 

「俺は黄寛隊所属!」 


 怖いのに、苦しいのに、どういうわけか胸には長丁場の作業を終えた時の、あの急激に熱されたような気分の高まりが血管を駆けまわり。

 

「張豊班、一般兵の……」 


 握りしめた愛剣の冷たさが心地よく感じられて。


「太史慈だあぁぁぁ!」


 怖いものも悩ましい思いも一緒くたに、俺はその切っ先を呂布へと突きつけた。




第三十六話 たった一つの道




 顔が、身体が、胸が燃えるように熱い。

   

「ふぅ……」


 全力で駆け抜けてきたから。呂布の戟を受け止めたから。敵軍の真っただ中だから。――生きているから。

 理由はいくらでも考えつく。

 けれど、一番の理由は俺の背後にあった。


「将軍」


 呼びかけに反応は無い。

 呂布への警戒は解かずに、半身になって甘寧将軍へと目をやる。

 投石によって抉られたかのような地面。その両脇に寄せられた雪には血痕らしきものが点在していたが、地べたに這いつくばる甘寧将軍の背は上下に動いていた。

 それが示す結論に心が羽のように軽くなる。


 ――甘寧将軍は生きていた。


 俺の行動は無駄じゃなかった。

 このまま安堵の息を漏らしてしまいたかったが、そうもいかないのが現実である。

 甘寧将軍の呼吸の拍子は、全力疾走後の息切れのように荒い。変に折れ曲がった肢体はないけど傷の具合が心配だ。

 呂布だって退けたわけじゃないし、周囲をうろつく騎馬隊だっている。今襲い掛かってこないのは一騎打ちに決着がついていないからだろうか。

 なんにしても、まず目の前の敵をどうにかしなければならない。


「ふぅ」


 風はなく、薄暗いながらも視界は晴れていた。周囲一里ほどの視野が確保できるだけであったが、目の前の敵と戦うにはそれだけあれば問題はない。


 赤い髪の女性こと、飛将軍――呂布。

 見た所大した怖さは感じないが、その力はさっき実感した。万修よりも、あの将軍よりも重く響く一撃であった。

 

「――」


 呂布が何かを呟き、目と目が合った気がした。前髪が長く、その目元は影になっていたが目が合っている感覚は確実にある。

 来るか。

 全身に力を巡らせて身構えるが、呂布は子供じみた仕草で首を傾げて「…………子供……?」と呟いただけで。


「違う!」


 俺は飛び出しそうになる体を咄嗟に抑え込む。

 無策に飛び出していたら殺されてしまう。冷静に、慎重にならなければ勝ち目なんてない。挑発には乗るな。

 高まる気分に落ち着きを促しはしたけど。

  

「子供は、帰れ」


 呂布の挑発はやまない。


「子供じゃあない!!」


 怒鳴り返してやったが、相手にならないとでもいうのか呂布の声はそれっきりない。

 ――格下。

 そう思われているのは明らかだった。

 

「俺だって兵士だぞ……」


 口の中に不快な軋音あつおんが響く。奥歯が擦れる音だった。

 いつのまにか足は前に向かっていた。けれど進みだしたそれを止めたのは「何故……」と細く震える女性の声だった。後ろからだ。


「何故、ここにいる……!」


 その震えはか細いながらも強迫的だった。


「将軍、具合はどうッスか?」


 将軍は気がついたようだ。

 ここに至って無礼も糞もないが、甘寧将軍へと言葉だけをかける。

 

「私に構うな……逃げろ……!」


 けれど返答は血を吐くような苦々しいものだった。

 続いて泥を踏みしめたようなぬかるんだ音が弾けた。立ち上がろうとしているのか。


「強がらなくてもいいッスよ」

「私は、まだ戦える」

「……冗談は言えるんスね」


 その後すぐ耳に入ったのは水面を叩いたような一際大きい音と、将軍の苦悶する嗚咽のようなもの。


 将軍の怪我は立ち上がれないほどのもの、か。

 落馬で死に至ることは珍しくない。加えて将軍は呂布の一撃を受けているのだ。それで平気な方が変だと少し安心した。全く笑えないけど。


「大人しく寝ててくださいよ」


 声だけでも無理をしているのはわかるが、腕や脚にも力が入らないとなると。


「……俺が呂布を倒します」


 これ以外にはない。俺がやるしかない。俺以外にいない。


 深呼吸を一つして、止まりかけた足を一歩進める。 

 背後から悲鳴とも怒号ともとれないか弱い叱責が耳に入るが、気にしないことにした。気にしていられなかった。

 

「俺が相手だ!」 


 声を出したのは、強がりからだった。


「注意はした……」

 

 呂布は既に身構えていた。武器を構えてはいないが、肌を打つ空気、口の渇き、鼓動の震えがその気迫を教えてくれている。

 不思議と頭は冷静だった。

 

「……行ける」 


 しかも気分は昂っていた。

 

 呂布は間合いを測るように、一歩一歩、慎重気味に足を進めてくる。その意識は疑う余地も無くこっちに向いていた。


 ひりつく感覚は心や覚悟ではなく、本能に突き刺さる氷柱のような気迫に感じられる。

 人が発する感覚ではなかった。獣の縄張りに迷い込んだ時の、あの四方八方から爪を突き立てられている感覚に近いものだった、が――。


 それは、ほんの瞬きの間に彼方へと消え去った。




 

泉山せんざん湖仲こちゅう班! 投擲ぃ!!」


 後方から飛来した野太い号令と十の棒。――剣の鞘が俺を追い越し、呂布へと一直線に飛んでいった。

 しかしながらそんな物が天下の飛将軍に通用するはずもなく、呂布は戟を巧みに操り弾いていく。

 

「全員、集合! その身を将軍の盾とせぃ!」


 その隙にとでもいうのか、数えきれないほどの足音が俺と将軍の周囲に展開していく。俺と全く同じ装備の奴らだった。

 俺の目の前には巨大な背中がそびえたつ。

 肩幅から腰回りに至るまで、山男のように太い巨人の背。俺の脚ほどの太さを誇る腕には“隊長”の腕章。そして、特徴的なつるっとした頭部。


「隊長!?」

「おう! 五体満足でなによりだわぃ!」


 それは我らが黄寛隊長の大きな背中だった。


「馬鹿野郎が!」


 続けて背後から万修の決まり文句が拳になって飛んできた。なんというか、もう見なくてもわかってしまった。

 俺が身をかがめて避けると万修は「避けるな!」と怒鳴り散らしてきた。


「誰が痛いのを嬉しがるか!」


 そこには無理やりの強がりは見当たらない。短気っぽく生意気な、いつもの万修だった。

 

「もー。ここまで来るので精一杯なんだなー」

「ふぅー……。つーか生きて戻れないんだなー」

「いきなり悲観的だな……」


 文句を垂れながら隣りに来たのは李尋と李和だった。

 ぜぇぜぇと酷い息切れだがその身にはかすり傷一つない。敵の騎馬隊が攻め込んできていたのに……。


「お前らよく走れたな」


 李尋と李和に騎馬隊の間をすり抜けて、なんて器用なマネができるとは思えない。それだけ太っちょな体格なのだ。

 

かけい班とかいろんな人が壁になってくれたからなんだなー」

「男前だったんだなー」


 筧班。同じ黄寛隊の連中だ。

 よくよくあたりを見回すと隊の人数がだいぶ減っていることに気がついた。

 見知った隊の連中だ。誰がいないのかはすぐに分かった。


さんに、邦相ほうそうさん、高玄こうげんさんに――……」


 いない班長を数えただけでも九人。その班員までもがいないとなると、ここには隊全体の半分ほどの人数しかいない。

 

「筧班長もしぶとい人だからなー」

「きっと大丈夫なんだなー」


 李尋らはのんきに見せているが、声にはいつもの張りが足りない。

 騎馬隊への壁。

 槍も戟も持たない歩兵がその役目を負ったのなら、どうなるかは知っている――。

 

「みんな、覚悟の上でやってきたんだ。子義君が悔いることはないよ」

「張さんまで……」

「怪我はないね」


 沈みそうになる気持ちを引き上げてくれたのは、張さんのいつもの微笑みだった。


「見ての通り汚れぐらいしかないッスよ」

「……良かった」


 そのほっと胸を撫でる仕草までもがいつも通りであった。顔色は悪いままだが、なんとなしに気分は和らいだ。


「きたねぇ顔だな! さっさと拭け!」

「良い男が台無しだぜ!」 

「汚い?」


 オッサンどもに言われてみて顔を触れば頬にぬちゃっとした冷たい触感。


「気づかなかった……」


 襟巻で顔についた泥を拭いていると、周囲から控えめな笑い声が入ってきた。

 隊のみんなは陽気に振舞っているが焦燥感というか怯えというか、声にはそういった震えが含まれていた。


「すんませんした。こんな事になっちゃって……」


 胸の内に罪悪感はあった。

 嫌々連れてこられて、敵に囲まれたこんな無謀な戦を強いられている。そう思っている人もいるはずだ。


「馬鹿もここに極まれりだな! ふはは」

「若い時はこんぐらいやんちゃな方がいいってもんよ」


 けれど誰もがそんな不満を表に出さず、オッサンたちは陽気に振舞う。

 そんな気づかいが逆に辛く思えたが、現実を打開するには前を向くしかない。


「……あざす!」


 俺は剣を握りしめる。

 

「黄寛百人長……」


 そんな場に水を差すかのように聞こえた細い声は、怒りに震えていた。

 改めて甘寧将軍に目を向けると、その顔は血にまみれていた。荒い呼吸はそのままに、なけなしの力を振り絞るように腕を立てて、焦点の合っていない瞳を隊長へと光らせた。


「撤退が、命令だったはずだ……」

「そうはおっしゃいましても、ウチの有望株が飛び出してしまいましてなぁ……。隊は一蓮托生――儂は、将軍らの御指導に忠実だっただけです」


 隊長は不敵に口角を上げていた。

 

「隊長……」


 涙腺に込み上げてくるものを寸前で堪える。

 なんだか今日の隊長はめちゃくちゃかっこよく見える。任侠とか漢気とかそういった勇ましい言葉がしっくりくる背中だ。


「全員、気を入れぃ。お出ましだ」


 隊長が発した言葉の後、呂布の背後から馬に跨った男が出てきた。


「不作法者ども! 聞こえるか!」


 そいつは赤い鎧を着こみ、生意気な物言いだった。


「貴殿らは武人の決闘を汚した大罪人である! その自覚は有るか!? 貴殿らに武を貴ぶ精神が欠片でも残っていたらば抵抗するな! 潔く討たれよ!」

「やなこったぁ――って隊長?」


 俺の咄嗟の反論を差し止めたのは隊長のごつごつした手だった。黙ってろってことか……。

 隊長は任せろとでも言うように頷くと、大きく息を吸い込んだ。


「卑劣にも我が陣営に火を落としたのは誰か!? 他ならぬ貴様らであろう! 我らの仲間を“武”とやらの欠片もない、かような物の塊で圧殺した貴様らに払う礼儀など無いッ!」


 鼓膜が破けそうな大声が向こうへ飛んでいく。

 相変わらずとんでもない声だ。赤い鎧の奴なんて馬から落ちそうになってる。ざまーみろ。


「野蛮人どもめ!」


 赤い鎧の顔まで真っ赤になったかと思えば、それが合図であったかのように敵の騎馬隊が周囲に広がっていく。

 どんだけ馬いるんだよ、とか考えているうちに完全に包囲された。流石の機動力……。

 

「将軍! 帰ったらご褒美、期待しちゃいますよ!」


 誰かが笑いながら言ったそれを皮切りに、隊のみんなが便乗するように湧き上がる。


「お、おれ新しい鎧が欲しい! あと女!」

「本音はそれかよ……。あ、私も女で!」

「お願いします! 昇進させてください!」

「僕はご飯がいいんだなー。豪華停の一等料理」


 数えきれないほどの騎馬に囲まれる一方で、こちらは数にしておよそ四十ほどの心もとない歩兵部隊であったが、その心意気は俺に勇気をくれた。

 

「俺も昇進でお願いしますよ、将軍!」


 こうなったら呂布だけじゃなく、あの糞生意気な赤い奴にも一太刀あびせてやる。

 再度気合いを入れ直し、敵の騎兵へと剣を向ける。  

 

 そして赤い鎧のやつが剣を抜いた時であった。


「呂布将軍!」 


 呂布が赤い鎧を押しとどめるように戟で制した。

 仲間割れ――ってわけではないようだ。

 

「いらない。邪魔」


 短く、単純に。こちらでもなんとか拾える声量で呂布が呟くと、赤い鎧の男は何も言わずに引き下がった。


 これは好機だ。

 油断か慢心か、どっちにしても敵は一人に絞られたのだ。

 時間を稼げれば孫策様らが救援を寄越してくれる。それが間に合わずとも、呂布を人質に逃げ延びることもできるかもしれない。


 呂布は、本当に、たった一人で近づいてくる。やる気満々って感じだ。


「戟の間合いに気をつけろ! 班ごとに連携し、取り囲んで突き殺せぃ!」


 それからの隊長の指示は素早かった。


「守りに入るな! 皆、恐れず攻勢に出ろぃ!」

「おおおぉぉぉぉ!」


 前方の十数名が粉雪を巻き上げながら突っ込んでいくのを確認する。

 時間稼ぎをする気はないのかと考えたが、隊長の意図もなんとなく察することができる。


 甘寧将軍に打ち勝った戟の使い手、呂布。

 たったそれだけでも、俺たち一般兵との力量差が歴然であることは即理解できる。


 時間稼ぎなんて消極的な戦い方じゃ、弱者は強者を退けることはできない。

 野生の世界がそうだ。追いつめられた鹿の反撃が虎をも退けることだってある。気持ちで負けていたら、敗北しか道は無いのだから。

 戟の間合いと歴然たる実力差を埋めるには、前に出るしかない。

 死中に活――命を懸けてこそ道を開ける時もある。

 

「行こう!」


 張さんに続いて後衛の俺たちも行動を開始する。

 前衛の奴らの動きによって、俺たちが後ろに回り込むか否かが決まる。決断するのが班長の役目とはいえ、俺も見逃さないようにしなければ。

 

 前衛の動きを観察する。

 低く漂う粉雪が足元を掻き消していたが、方向転換をするような動きは無い。正面からかち合うつもりのようだ。

 無謀な事だと怒鳴りつけてやりたかったが、前衛の行動は呂布の後ろを取れという無言の合図であった。


「張さん」

「うん。私たちは右を――――」


 しかし前衛が呂布に辿りついたころだろうか。

 呂布の方向から流れ出ていたひりつく感覚が、心臓を刺す痛みに変わった。


 突如、前方から爆音が轟き、水面に岩を投げ入れたかのような水柱ならぬ雪柱が立ち昇った。


「なんだ!?」


 万修の驚きの声が届く中、見上げてみれば五人の隊員が宙を待っていた。風も吹いていないのに空高く、人形を高く放り投げたように、その肢体の動きは無造作であった。

 地上には戟を振り下ろした呂布の姿。


「呂布の攻撃……?」


 流れるような動作で戟を引きもどした呂布は、続いて戟を横に振りきる。

 また五人――ひとつの班が吹き飛ばされた。


「嘘ォ!?」


 人間の筋力では到底不可能な、熊が道具を使っているとでも思いたくなる馬鹿げた光景だった。

 吹き飛ばされたせい班、湖泉こせん班、紫央しおう班。みんなの体が白いもやの中へ消えていき、更なる雪を巻き上げた。


 呂布の攻勢は終わらない。

 あれだけの事をしでかしたのに呂布には疲れも息切れ見えない。

 消耗なんて微塵もない呂布。その矛先が後衛である俺たちへと向くのに瞬きほどの時間もかからなかった。


「来るぞぃ!」


 隊長の声の直後、呂布の足元が爆発したかのように煙幕を巻き上げた。


「儂が抑える! 奴を包囲せぃッ!!」


 隊長はげん班、将儀しょうぎ班を背後に残し、俺たちの前方で仁王立ちの構えを見せた。

 おそらく黄寛隊長が受け止めている間に、後ろの二班を展開させるのだろう。


「――子義君」


 神妙な声調。隣りを走る張さんからだ。

 

「もう一度、呂布将軍の攻撃を受け止められるかい?」


 張さんは青い顔でどこか辛そうに言った。まるで頷いて欲しくないように。


 呂布の一撃を受け止める、か。

 目の前の光景を見ればそんな事できっこないし、不可能だとでも張さんは考えているのだろう。

 でも俺はその一撃を受け止めて押し返せたんだ。そりゃ甘寧将軍への一撃は本気じゃなかったのかもしれないけど、俺にはできたんだ。

 

「やってみせますよ」


 不安を見せないように強気を顔に張り付けると、張さんは心を決めたように固く頷いた。


「隊長が失敗したら子義君が戟を受け止めて、私たちと蔡建さいけん班とで突撃する。無茶をさせてしまうけど……」

「無茶なんかじゃないッスよ。さっきはできたんスから、任せてください」


 腕の痺れはほとんど残っていない。手の冷たさは息を吹きかければなんとかなる。

 ――怖くはない。   


 前方で金属音が破裂し、剣の破片が輝きを放つ。

 同時に、黄寛隊長の巨体が浮き上がる。呂布による横薙ぎのせいだ。

 しかし希望はあった。呂布といえど隊長を吹き飛ばすには至らなかったようで、戟の勢いがそこで止まったのだ。


「行けぇぇぇぃ!!」


 戟の柄を受け止めた隊長の、その怒号が隊員らを動かす――が、間に合わない。

 隊長の腕で止まっていた戟がその防御ごと押し潰すように急発進した。

 不動からの急加速に、隊長の上体がひしゃげた。


「隊長おぉぉぉッ!!」


 元班長の裏返りかけた絶叫が事の深刻さを物語る。

 隊長は車輪のように回転しながらもやの向こうへと吹き飛ばされた。地面の雪と土とが深く、豪快にえぐり取られ、泥に混じって赤い水が巻き上がる。


 黄寛隊長の、真っ赤な血しぶき。




 ――心臓の熱が冷めきっていくのを実感する。




 呂布を取り囲もうと行動していた隊員らは硬直していた。呂布は動きを止めない。

 そこから先を、情けないことに俺は目を伏せてしまった。


「――――――」


 途端の、心を凍り付かせる呪いのような絶叫。

 本気の、心の底からの悲鳴であった。耳を塞いでも否応なく心臓を揺さぶるそれ。


 ――――怖くないのに。


 これまでいくつも戦いを経験してきたはずなのに。

 赤いそれを数えきれない程見てきたはずなのに、隊長の、同じ飯を食ってきた隊員のそれはまるで別物に見えた。


 悲鳴が消え、前方に目を向ければ、赤い流星のように向かって来る呂布の姿。


「子義君ッ、頼むよ!」

 

 その指示が止まりかけた足を無理にでも進めさせた。

 愛剣を握りしめる手は冷たい。心臓が凍傷にでもかかったように冷たく消沈していた。  


「はぁ……。はぁ……!」


 吐き出す息も冷たく感じられた。 


 激突は目前。

 呂布は、既に戟を振りかぶっていた。隊長を吹き飛ばしたのと同じ、横薙ぎに来るであろう一振り。


 走っているはずなのに脚の感覚が無い。剣を持っているのに腕の感覚が無い。風の音も、泥や血の臭いもまるでしない。

 けれど視覚だけが捉える情報は、その攻撃の威力を嫌でも教えてくれていた。

 ――受け止めないと、俺が死ぬ。


「――――――ァァァ!」


 声が出ていたことを、喉から伝わる振動で知った。

 視界には迫りくる刃と、それに向かって振り切った俺の剣。その向こうから覗く水晶を思わせる恐ろしく無機質な瞳には、大小さまざまに輝く光の粒が映っている。


 俺の剣は砕け散っていた。

  

「――なんでッ!?」

 

 破片が水しぶきのように跳ねる。

 指の感覚はまるで無く、手首やひじが砕けるような激痛が走る。腕どころか体の全部を持って行かれそうな衝突。


 全体重をのせた一振りは戟の勢いを僅かに削ぎ、直撃を免れただけに留まる。呂布の突進にはなんら影響しなかった。

 呂布は間合いを詰めてくる。


「うッ、ぷ」


 突如込み上げてきた嘔吐物。呂布の平手――手刀か――が腹部へと食い込んできた。

 その強烈な不快感に上乗せするように、後頭部を割るかのような鈍痛が脳を揺さぶった。


「おぉぅ、ッええぇぇ!」  


 堪らず嘔吐。  

 膝が力を失ってしまい、眼の前に真っ黄色の面が近づく。揺れ動く脳が捉えたそれは胃液に染まった雪の面であった。

 ――止まれば殺される。 

 残った力を腹から膝へと振り絞り、そのまま後ろに目一杯飛ぶ。


 揺れる視界。不快な酸味。蜃気楼のように世界が回る。

 内臓が零れ落ちたかのような気持ち悪さが着地の衝撃だと気づけたのは、雪が再び変色した後だった。


「うえぇ……うぅ、ッく」


 口、鼻に蔓延する嫌な酸味を吐き出していた。

 逆流してくる嘔吐物に息ができない。


「うぅ、えぇぇ……」


 止めようのない溢れ出る涙。ぐしゃぐしゃになった視界には黄色く濁った雪の面。

 だけど、このままうずくまっているわけにはいかなかった。

 唾液と胃液とが混ざり合うそれを吐き捨て、言うことのきかない首をなんとか上げる。


「……こんな、事」


 今、最後の隊員が赤い血しぶきを上げて倒れた。

 歪んだ視界をもやが覆っていたが、少なくともそいつが最後に立っていた隊員だということはわかる。


 鮮明になっていく視界にそれが現実のものであると思い知らされる。

 白いはずの地面にはそこら中に赤い染みができていて、立っている隊員は誰一人いない。四方八方に転がるみんなが――生きているかもわからなかった。


「いや……!」


 耳に入ったのは呻き声。しかも一人や二人じゃない、いくつものそれ。

 低く漂うもやのせいで姿は見えないけど、まだ生きているやつがいる。まだ助かる可能性がある。

 

 身体は動く。

 骨も折れていない。吐き気もなんとか収まった。後頭部はへこんでいるかもしれなかったが問題にはならない。

 

「まだ」


 俺は戦える。

 

 俺がいなくなれば、甘寧将軍を守れる人はいない。

 俺がやられたら、生きている人を連れて帰ることもできない。


「俺がやるしか……ない」


 酸味を吐き出す。鉄の味も混じっていた。


「借りるぞ」

 

 近場に落ちていた剣を手に取る。

 “握り”に多少の違和感はあれど、俺が使っていたのと感覚は似ていた。しっくりくる。


 息を吹きだす。

 痛みも恐怖も全て吐き出すつもりで、長く、強く吐き出して、大きく吸い込む。

 

「ふんっ」 

 

 大地を踏みしめて、勢い任せに立ち上がる。

 脳の血流が下がっていく立ち眩みの感覚を振り切り、視界は一気に晴れた。


 呂布の視線がこちらを捉えた。

 その気質は攻撃的であったが、怖さはあまり感じなかった。今度は本当だ。


「俺が相手だ」


 腰を落とす。膝の柔軟性はばっちりだ。

 肩の力を抜く。無駄な力みは無い。

 剣の柄へと力を込めた。腕は痺れていたがなんとかなる。


「まだ……やる?」


 呂布はまるで理解できないと言った風に首を傾げ、戟についていた血を払った。

 それはそうか。ぼこぼこにしたはずの相手がまた挑もうとしているのだ。理解できるはずがない。


「やってやる……」


 呂布に届かないよう小さく呟いたのは気後れからではない。

 覚悟を決めたからだ。





 呂布の戟。

 剣の三倍はあるその間合いの差は覆せない。

 しかも槍のような先端の刃を見るに、最も遠い間合いへと届く“突き”の攻撃を主とするだろう。が、突きを避けたとしても側面についた二つ目の刃による“薙ぎ”の攻撃が待っている。


「厄介だ……」


 けれど弱点があるとしたらそこ――戟の間合いの内側にある。

 刃がついているのは先端のみ。そこから呂布の手元までには殺傷能力は備わっていない。たかが棒だ、真っ二つに切り落としてやる。


 刃の材質は鉄。

 見た目が重量に比例しているとしたら、その重さも俺の剣とは比べ物にならないのは明白だ。呂布が戟を振り切った後、それを手元に引き戻す際に隙ができるはず――その隙を狙う。


「――よし!」


 そのための絶対条件は俺が生き残ること。

 体力を残し、足を動かし、傷を負わず、呂布の隙を引き出す。

 

「行くぞォ!」


 気合いと共に大地を蹴る。

 

 防戦じゃ駄目だ。呂布の怪力相手じゃ、逃げや守りはじり貧でもいい方。

 勝つためには、隙を作りだす為には待っているだけでは駄目だ。攻めなきゃ勝てない。 


「…………無駄」


 立ち止まる呂布の間合いに片足を踏み込んだ矢先、突進にも似た戟の一突きが襲い掛かってきた。

 直進する戟の狙いは胴。

 

「見えてるぞ!」


 空を裂く一撃を横っ飛びで躱す。

 すると案の定、呂布は横薙ぎの一振りに切り替えてきた。その動きは斜め下へ――足払いか。


 それも見えている。


 呂布の刃は既に追い越し、背中側にあった。迫りくるのは戟の柄である棒の部分――そこなら切り落とせる。

 迫る戟の、その柄の部分へ、俺は剣を振り上げた。

 ――もらった。

 

「いッ!」


 けれど、手に響く感触は鋼鉄の揺るぎない硬さ。剣が真っ二つに折れてしまった。 

 咄嗟に両足で地面を蹴って飛び上がる。

 突風を纏いながら通過した戟が煙幕を巻き上げる。それに紛れて、後方へ再び跳躍。


「鉄製かよ!?」


 普通なら振り回しやすいように鉄よりも軽い木か、しなりやすい竹を使うのに、感触からして、戟の柄は鉄でできていた。

 そうなると戟の重さは見当もつかない。だのに、呂布は軽々と振り回していた。重量を感じさせないなんて、どんな筋力してんだ。


 着地の後、手元に残った柄を投げ捨てたが、それは誤りだった。

 煙幕を突き破って呂布が追撃してきた。巨大な刃が迫る。


「あッ、ぶッ!」

 

 その突きを横に躱すと、再度横薙ぎの連撃が襲い掛かってきた――今度のは胴狙いだ。

 すかさず地べたに這いつくばる。頭上を豪快な風切り音が吹き抜け、手には雪の冷たさ。武器がないんじゃ反撃もできない。

 躱した際、地べたについた手で雪ごと泥を握り込み、そのまま横に転がって立ち上がるが――。

 

「やべ――」


 刃のついていない側、柄の部分による振り払いが髪の毛を掠める。が、それで終わりではない。

 棒術のように、連続した軽やかな突きが無数に繰り出された。

 刃がついていない分、素早く手数のあるそれ。打点を見極めれば後退しながらでも避けられるが、息つく暇もない。


 その雨のような連打に呼吸が荒くなっていくのを実感。このままじゃ体力が切れた所を狙われてしまう。


「――こッ、の! ボケェッ!!」 

 

 掴んでいた泥を呂布に向かって投げつけるが、軽く躱されてしまった。

 けれど、攻撃は止んだ。その一瞬の隙に出来うる限り距離を取り、呼吸を整える。


 目潰しに使いたかったんだけどなぁ……。

 機会を見計らってはいたものの、そんな隙はまるで見せない呂布。油断はまるでないようだ。

 兎にも角にも武器が必要だった。後退しながら周囲を見回す。


「――あった」

 

 雪の窪みに剣が落ちていた。それも二本。

 着地と同時に、それらを両手に持つ。

 

「二刀流だぜ!」


 と、かっこつけている内に呂布の姿が迫る。いかんいかん。集中だ。


 今度は初撃から横薙ぎ。

 その長い間合いを生かした攻撃さえ払えれば懐まで一気に踏み込める。

 

「オラぁ!」


 戟に向かって右腕を振り切る。

 真横から来るそれをはね退ける為の、切り上げの一振り。


「イッてぇ!」


 それはまたしても剣を折られるに終わった。いくつもの破片が飛んでくる。

 けれど軌道は逸らせた。呂布は戟を振り切った体勢。


 ――――踏み込める。

 身をかがめてふくらはぎを爆発させる。


 瞬間的な最高速度の視界。風が全身を打つ中で見たのは、呂布が戟の勢いのまま一回転する姿。

 距離にして目前。間合いにして遥かに遠くで行われたそれは、疑うまでもなく俺より速い――。


 身の毛がよだつ。足の指で地面を掴むように急停止を試みたが、雪の地面が邪魔をする――――間に合わない。

 呂布の狙いは、足元。いやらしい奴め。

 身体は慣性にのっていた。飛び上がれない。避けられない。

 

「くッそぉぉぉ!!」


 手に残っていた剣を地面に突き刺す。方向は前方、両足の間。

 腕の血管がはち切れても構わないと、勢いを腕で受け止め、剣を支点に勢いのまま飛び上がる。

 直後、呂布の戟が剣をへし折ったのを、空中から視認する。


「――っとおぉぉ!」


 呂布の後方に着地できた。

 腕から伝わるのは断裂を想像させる燃えるような痛み。だが、まだ充分に動く。

 そのまま呂布から遠ざかる。新しい武器を探さなきゃ……。


「流れだッ!」


 そんな折に聞えたのは、かすれ気味の悲鳴に似た叫び。

 場所はわからないが、その女性っぽい高音は甘寧将軍の声だ。それ以外考えられない。


「力の流れを見ろ! なッ、流れにザガらうな……! 与えてやれ、ば――」


 言葉を途絶えさせたのは荒い咳。やはり怪我の状態は悪いようだ。

 将軍の、言葉――。


「流れ……。与える?」

 

 付近に落ちていた剣を拾い上げると、呂布は煙幕を舞い上げながら急接近してきた。

 ここは既に攻撃の間合い――眼前で、呂布は戟を振りかぶる。


 舞い上がる雪を切り裂く戟の、その力の流れ。即ち軌道。

 呂布を中心にこちらに伸びてくる戟の軌道。即ち円。


「円の、軌道」


 上体を逸らしながら後退する。

 伸びてくる刃が鉢巻はちまきを切り裂き、額から暖かいものが流れ出る。


「勢いに逆らわず――」


 与えてやる。

 流れを、与える。

 躱すでも迎撃でもなく、流れを与える。加えてやる。


「いッ……!」


 降り注ぐ刺突の雨に、頬から流れ出る熱い液体。

 一つ一つ“縦”の軌道を見ていれば躱せる。ここは耐えるしかない。

 突きの軌道は“縦”。呂布から一直線に伸びてくるそれを狙ったとしても、大きな隙は作りだせない。


 十かそこらの突きを躱したところで、呂布は痺れを切らしたのか戟を引く。

 そして腕を大きく後ろに反らした。


 ――――ここ、なのか……?


 そこから繰り出す薙ぎの攻撃。円の軌道。

 俺の肩口から胴を両断する袈裟切りの軌道――その出所に合わせる。


「ふっ!」

 

 戟の勢い、その側面に刃の腹を押し当てる。

 力の流れに寄り添うように、りきみなく――氾濫はんらんする川に、新たな水路を加えるように。戟の軌道に、新たな流れの場を与えてやる。


 押し当てた剣で流れに傾斜を与えて、戟の軌道をに滑らせる。 


 ――――出来た。これか!

 

 軌道をくぐり抜け、体を前に進める。戟は空を切り、呂布の無防備な懐へと飛び込めた。

 呂布に、戟を引きもどす暇はない。

 体を守る盾はない。

 勝負を決める最大の好機――――。


「――ォぉおおぉぉぉ!」


 自然と声が溢れる。

 そしてあろうことか呂布の胴目掛けて、俺は剣を振りかぶってしまった。

 

「遅い」


 耳を撫でたのは呂布の声だったと思う。

 呂布が一歩後退すると、その胸元には柄が――戟の柄が戻っていた。


 ――速い!

 あり得ない速度の“引き”の疑問を解消する間もなく、俺の刃はそこへと吸い込まれてしまった。

 直に手首に伝わったのは先ほどと同じ硬質な感触。 


「――どうなってんだよおぉぉぉ!」


挿絵(By みてみん)


 いくら押し込んでもびくともしない。

 全体重をのせているつもりなのに、鉄の塊を相手にしているように揺らぎもしない。呂布の表情筋すらまったく動いていない。


 これ以上は俺の腕が持たなかった。

 すぐさま重心を足に移動し、後方へ飛ぶ。その際、呂布の一振りが飛んできたが、威嚇のようで俺にはかすりもしなかった。


「くそッ! なんで……!」


 思いっきり振りかぶり、呂布に“引き”の間を与えてしまったのは俺のせいだ。けど、それにしたって早すぎる。

 まさか、指先だけで戟を操ったなんてことは――並外れた筋力を持つ呂布ならありえるか。

 恐ろしい奴。

 

 呂布の追撃は無かった。今のうちに休めるだけの距離を稼いでおく。


 手元に残ったのは刃の欠けた剣が一本。

 剣が一本だけでは今のようにはいかない。距離を取りつつ剣を探すと。


「あった」


 変わった形状の刃が埋もれていた。

 反りを持った両刃もろはの湾刀――将軍の剣だ。

 手に取って見れば、異常なほど手に吸い付く“握り”に、荒さのない曲線の刃。素人目でも分かるほどの名剣だった。


 呂布はまだ動かない。


「さて……」


 ようやく一息つけたと大きく深呼吸をする。冷たい空気が肺に染みわたる。

 

 将軍の助言はおそらく俗にいう“受け流す”ための技術。土壇場での一回こっきりだったが、手ごたえは掴んだ。

 これならもう一度飛び込める。呂布の懐へ、次はもっと上手く踏み込んでみせる。


「ふぅ……――」

 

 最後の休息に空を見上げる。

 暗雲が埋め尽くす空には、切れ目が入りそうだった。

 

 背中には風を感じた。

 

 今回読み辛いかもしれません。

 すみません、私の描写力不足です。


 次回も早めにできるといいなぁ、と考えております。宜しくお願いします。


 ここまで、呂布の武器を檄を飛ばすの“檄”と誤っていたので、“げき”へ訂正しました。すみませんでした。

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