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僕の不幸は出だしの一歩

 無事に部員勧誘が終わり弓道部の確実な人員確保に貢献した高崎とユーリ、そして柴は昼食を食べるために一度教室に戻ったのが午前のこと。そして昼休みも終わり、午後は通常授業が行われ今は放課後。弓道部の練習風景を少しの間だけ眺め帰宅することにした三人。もちろん右も左も分からないユーリを家まで送るはめになった高崎ではあるが、その帰宅道中少しの合間好意を寄せる柴と帰れるだけでも幸せであった。


 4月8日(木) 18:30


いくら四月と言えど寒いものは寒い。そして日は既に落ち始め道は夜道と変わらぬ薄暗さをかもし出していた。柴と離れた高崎は様々な人成らざるモノを横目に見つつ皆中にもらった札を握り締めユーリとの帰宅を急ぐ。


「いやぁ~寒いね・・・」



 そんな感想を口にするも、無表情のまま人影の少ない木陰へと進むユーリとハグレないように急ぐ高崎。不意に何かに引っ張られる様に前へ突っ込むと不気味な笑みを浮かべたユーリが正面に立っていた。


「はぁ~人間界って疲れるわぁ~・・・肩が凝るって言うか、ドイツもコイツも馬鹿面下げてニヤニヤしちゃって・・・」

「・・・ユーリさん?」

「気安く呼ぶなカス」

「・・・」



 あまりの変わりように少々驚く高崎。彼女の背後にナニカが憑いている訳ではない。とすると、コレが彼女の本性なのだろうと素早く察知した高崎は様子を見るために下手に出ることに決めた。


「それにしても、アンタの学校ってかなり違和感覚えない?」

「な、何のことでしょう?」

「気付いてないわけ無いよね?吸血鬼の血を浴びたり、その双眼には不気味なモノが見えたり・・・」

「まさか・・・吸血鬼さん?」

「んなゲスな一族と一緒にするんじゃないわよ!!」


 完全に失敗したと思った瞬間、腹部に激しい痛みが襲う。前のめりに倒れそうになると、ユーリの胸に顔が当たる。


「なぁ~んだ、やっぱり男って皆性欲に忠実なのね。」


 吐き捨てる様に言い放ち高崎の髪を掴み顔を上げさせる。


「でもダァ~メ、好みじゃないのよアンタ。」

「何なんだよ・・・お前?」

「あたしぃ~?なんだと思う・・・?」


 人を小馬鹿にしたような笑いを見せながら無理矢理上げさせている高崎の頬を撫でる。


「実体があるから幽霊の類じゃないのは分かる。吸血鬼と言われて激怒したって事はそれに近い種族・・・吸血鬼なんて少し前まで信用してなかったけど・・・」


「サキュバス・・・ですよね?」


 不意に掛けられた声に振り返るユーリ、するとそこには伊藤が立っていた。既に私服に帯刀と言う臨戦態勢、さらには柄の部分を握り引き抜く気十分である。


「あら、吸血鬼狩りが本職でしょうに。サキュバスなんかの返り血浴びたら貴女もサキュバスよ?」

「その時は自決するのみ。それから離れなさい」

「俺は物扱いかよ!」

「黙れ人間。で、お嬢ちゃんはあたしに勝つつもり?」

「必要なら、勝ちます。」

「ちょっと待てよ伊藤。知り合ったばかりのお前に助けられる義理はないぜ?アンタも、サキュバスってんなら何で俺の学校に来たんだよ!?」

「ホントにお馬鹿さんね。魔界では今、貴方を賭けた争奪戦が始まろうとしているのよ?先に手を打っておいた方が得策じゃない」

「魔界で俺を奪い合う・・・?」

「そうそう、魔力がある者なら全ての魔界の王:吸血鬼の血を浴びた人間が欲しいのは当然の事よ。」

「俺が、そんな面倒なことに巻き込まれていたなんて・・・不幸だな・・・」

「そして敵は貴方の学園にも最初から存在はしている。」

「それはどういう意味だよ。」

「自分で考える事ね。」


 そこまで言い終わると地面へと浸透し消えていく・・・


「また明日、学校で会いましょう。」

「まだ学校来んのか・・・」

「はぁ~何とか危機は去りましたね。」

「助けてに来てくれたのか?ありがとう伊藤、なんか少し誤解してたよ。」

「何を馬鹿げたことを、大事な撒き餌をちゃんと管理しないと吸血鬼を殺せないでしょう。」

「・・・」


 少しだけ信用した自分の浅はかさに反吐が出そうになる。と言う言い回しが一番しっくり来ると、高崎は思っていた。そして、魔界から来るのは吸血鬼やサキュバスだけじゃないのは確かであり、学園に最初から潜んでいるとも言っていた。その事を重要視していた高崎。そして、神様さえも人間界に降りてくるとは誰も予想していなかった・・・

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