第17話「迫る影」
空は静かに明るさを増していたが、機内の緊張は一層増していた。
悠翔の感覚は、わずかな光の揺れ、計器の微細な異常、耳に届くかすかな囁きを逃さない。
秒単位で変化する状況に、心理の波が重なり合う。
天音はそっと悠翔の肩に手を置き、視線を交わす。
「悠翔さん……何かが迫っています」
その言葉に、彼の心はさらに引き締まる。
「この影を見極めなければ……誰も傷つけさせない」
幼い兄弟は母親にしがみつき、恐怖で顔をこわばらせる。
母親は静かに背中を撫で、小さな勇気を与えようとする。
その微細な勇気の波紋が、周囲の心理をわずかに安定させる。
佐伯(乗務員)は通路を慎重に歩き、乗客の安全を確認する。
微妙な声や手の動作が、心理の揺れを抑え、全体の空気に微かな秩序をもたらす。
窓の外に、影のような光の揺れが再び映る。
計器の針もわずかに赤く点滅する。
悠翔は息を整え、全ての感覚を研ぎ澄ませる。
「この影が何であれ、動く時は今だ」
心理の揺れ、恐怖、信頼、勇気——
全てが一瞬にして交錯し、空間全体が緊迫に満ちる。
天音の手の温もりが、心理の中心で小さな安定を作り出す。
影は静かに、しかし確実に迫っていた。
秒単位で加速する心理戦の中、悠翔は次の行動を決意する。
「守る——今、全員を守るために」
空の上で漂う緊迫の影。
心理戦のクライマックスは、秒単位で迫りくる現実の中で幕を開ける。




