第92話 反省
私は二人が本心から謝っているのは分かったが私の中で簡単に許せなかった。
そんな私を見ながら悲しそうにマインは言った
「私は貴女に対する対応も間違え、バーストに対する教育も間違えた。ここで一番悪いのは私です。ですからバーストだけは生きる許可を頂きたいのです」
「では貴女はどうするの?」
「死刑が良いならここで執行してください。強制労働が良いなら無条件で働きます」
「そう。それでバーストはどうなるの?貴女は教育を放棄するの?」
「放棄……したくは有りませんが、するしか私には方法が思いつきません」
「そう。少し手を見せて貰っても良い?」
マインは自分の手を見てから発言した
「私の手はお見せできるようなものでは無く……」
「少し見るだけよ……見せられないの?」
マインは近付いて手を見せた。
「汚くてごめんなさい」
「……そうね、貴女の手は昔綺麗だった。何回か叩かれたから覚えてるわ。腕も細くなって傷が沢山……今の自分を見てどう思う?」
「これは自分の行いに対する罰です」
「そうかな?……苦労したのは手を見たらわかるわ。だから許すとは言わない……けど今の貴女となら最低限の約束は出来そう。私から罰を与えても良い?」
「何でも言ってください」
「では、私の領内での労働を命じる。バーストも立派に育てなさい。これは貴女達が他人の領地に迷惑をかけない為です。それともう一度手を見せて」
「はい……」
マインは手を差し出したので私は魔法で傷の手当てをした。マインは驚いている
「なにか?」
「あの、なぜ私の治療を?」
「何故って……これから働くのに怪我が有ったら効率下が下がるからよ……それにね、私にはもう母は居ない。でもバーストには居る。だからこれからも頑張ってバーストを教育して……今日の事私に後悔させないで」
「ありがとう……ございます」
マインは泣いていた。
マインの次はバーストとも話した。
「バースト瘦せたわね」
「そうですね。今ならお姉……ツバキ様より細くなるかもしれません」
「無理しなくていいのよ。今日は普通に話しましょ」
「はい。わかった」
「生活はどう?」
「食べ物が最悪……でも食べられるだけましって知った」
「そう。運動はしてるのかな?」
「毎日農作業とかしてたわ。体痛いし最悪だった……でも体が軽くなって来た」
「ちょっとこっち来て」
「なに?」
バーストが近付いて来たので魔法で健康状態を見てみた……初めてやってみたけど何となくわかった。
「貴女はもう少し働いた方が長生き出来そうよ」
「もう貴族じゃないし長生きしても……」
「貴族の生活してたらもう病気になっていたかもね。今は良くなってきているわ……貴女も傷多いのね……はい治ったよ」
「あれだけ馬鹿にしていた私まで助けてくれるの?」
「許しては無いけどね。これからを見せてもらうわ。何か困っている事無い?」
バーストは顔を赤くして下を向いた。
「言ってくれないと分からないことも有るのよ」
「あの……下着とか服とかが……」
「そうか、体形も変わったし……そうね……少しは準備するから後は自分達で買って。労働に対して給料は払うから……多くは無いけどね」
「ありがとう」
「他には?」
「私、将来お姉……ツバキ様の手伝いがしたい」
「勉強が必要だけどいいの?」
「それは当然する。でも私にも出来るかな?」
「それは努力次第ね」
「いやあの……立場的に……絶対貴族の座とか欲しいとかではないよ……と言うか最近貴族が怖い」
「怖いの?」
「立場が変わったら皆の態度の変化が怖かった」
「そう……まあなんとなく分かるかも」
「ごめんなさい」
「何を謝っているの?」
「私貴族でもなくなってたのにツバキ様に……」
「もういいわ。黒歴史なんて誰にでもあるし。勘違いしてたって事で」
「黒歴史?」
「気にしなくていいわ」
「そう、わかった……」
「他に何か有る?」
「あのサザンカさん……昔うちに居た使用人見習いだよね?ツバキ様の妹になってくれてありがとうございます。私にできなかった事をしてもらって……」
「私はお姉様の妹になれたのは幸運だったのでお礼を言われる事では……」
「でも私が迷惑かけた事には変わりないから」
「……成長したね」
「お姉様なんで泣いてるの?」
「あのバーストが人に礼を言えるようになったなんて……」
「お姉様、それは失礼過ぎかと」
その会話を見ていたマインは安心した顔をしていた。
「何か話し終わったみたいだし、今日はお疲れ様と言う事で焼肉しましょうか?」
「焼肉?」
「そうよ。この辺りで何か有ったらよくやるのよ。今日はこれからみんな頑張ろうって事で。未成年の飲酒は絶対禁止だけどね」
「お酒なんて飲んだこと無い」
「成人した者限定よ。私は飲まないけどね」
その後は皆で焼肉して楽しんだ。
翌日、マイン達に聞かれた
「あの監視は?」
「要るの?逃げたい?」
「こんな好条件どこにも無いと思うけど」
「そうね。基本の衣食住保障してるからね」
「本当にありがとう。そしてごめんなさい」
「今はここまでしか出来ないけど、私に信用させて欲しい」
「分かりました。子鹿領の1人として労働し貢献します」
「無理はしないでね、バーストの教育も有るし。病気とかにも気を付けて」
「はい。ありがとうございます」
「勘違いしないでね。私が治療するの面倒だからよ……」




