第5話 国境の街
王都を出てからも結局は一緒に行動する事となった。
「私達は助かりますが……一緒に行動しても良いの?」
「子供だけを見捨てて行けない……というか正直に言うと俺も小さい時家を飛び出してな。偶然近くに居た冒険者に助けられて、その人が北帝国出身だったからそれも有って今回北帝国に行こうと思ったんだよ。どこに住んでるかまだ生きてるかも分からないがな」
「そうなの?その経験があるから助けてくれたのかな。その冒険者さんに私も感謝しないとね」
「俺達の時はお前みたいに食べ物……特に肉!とか自分達で準備したりは出来なかったがな」
「それは偶然よ。運が良かっただけかな」
「まあその冒険者に言われたんだ……今回の恩を返すなら大きくなってから困ってる奴を助けてやれと。……こんなに早くこうなるとは思ってなかったがな」
「素敵な考えね。やっぱり運が良かったみたい。貴方達みたいな人に出会えて」
「なんだ?悪い物でも食ったか?俺達なんか普通の冒険者だぞ。まあこの業界悪いやつも多いがな。金の為なら何でもするやつとか。お前たちも気を付けろよ」
「普通で居るって思っているより難しくない?私も普通の生活がしたいわ」
「そうだな。幸せなのかもなって、お前何歳だよ」
「10歳よ」
「それにしては成長してないな」
「どこみて言ってるの?」
「全体」
「まあ長い間碌な物食べられなかったからね」
「貴族でなくてよかったな」
「肉の多さは金の多さだったかしら?」
「多分体の大きさは富のなんとかだったと思うぞ。俺も詳しく知らんが」
「そうだったわね。太いのが貴族として良いってどうなの?太るためにたくさん食べて動かないなんて不健康よ」
「その考えだとお前は貴族になれないな」
「なりたくないわ!絶対に」
「まあ普通なれないから大丈夫だ。貴族になる為冒険者してる奴らも居るけどな」
「否定はしないわ。でも貴族なんて……人の命にまで責任持ちたくないし」
「お前偶に難しい事言うのな」
気が付けばそろそろ休憩時間かな
「そろそろいい時間だから何か食糧見付けて来るわ。良かったら短めのナイフとか借りられないかしら?」
「ちょうどさっき言ってた冒険者から貰ったよく切れるやつが有るぞ。無くすなよ」
「お借りしますね」
そんないい物貸してくれるのは信頼されてるって事かな?
今日も美味しそうな物さがそう……。
良い野菜見付かったわ。戻ろうかな……あれは猪?!どうしよう……あれだけ有れば食べても余るよね。
お金はこれから必要だし……なんて考えていたのがダメだったのか猪がこちらに。
仕方ない。そう仕方ないよね。向こうから攻撃してきたのだから。
魔法で壁を出し衝突して弱った所に魔法で足を拘束し止め刺しした。
「ごめんね。でも無駄にせずに食べるからね。苦しまずに一瞬で逝って」
猪を倒した。多分レベルが上がった。体の動きが軽い。とりあえず猪が重くて動かないので皆の所に戻った。
「ねえ手伝って。猪捕まえたけど重くて動かないの」
「子供か?近くに親はいなかったか?無理するなよ。とりあえずすぐ行く」
案内したら驚かれた。
「これ成体じゃないか。良く倒せたな。綺麗に心臓近くに……血抜きするか。あのナイフで良く倒せたな……震えてる?怖かったのか?」
「怖かったよ。勝てる思ってたけど。こんな大きな生き物がこちらに向かってきたのだから。殺したくも無かったし。倒せたって興奮と命を奪った後悔が私の中で喧嘩してるわ」
「お前は難しく考えすぎ!子供だろ?何も食わないと腹が減る。腹が減るから食べる。簡単な話だ。教会の偉い人とかではないのだから細かい事は気にするな。俺達も頂くがそんなこと気にしないぞ。お前には感謝するけどな!」
「そう、ね。ありがとう。私頭悪いから変に考えちゃうの」
「頭悪くて何が悪い?この世界の事なんでも知ってる奴なんか居るか?俺は知らんぞ。まあ俺も頭悪いからかもしれんが」
「私も新しい事が知れたことを喜ぶわ」
「そうそう。その位でいい。嫌な事を一人で背負う必要はないよ」
「なによ、今日は優しいじゃない?」
「俺は優しいぞ」
「自分で言う?ありがとう楽になったわ」
「まあ俺の方が長く生きてるし。通って来た道だよ。でも少し君は駆け足で進み過ぎてる気がする。もう少しゆっくりで良いと思うぞ……急いでも体は育たないぞ」
「一言余分よ。折角恰好いいと思ったのに」
「俺はミラによく思われたらそれだけで良いの」
「そうだ聞いてなかったけど二人の関係は?」
「あ~一応婚約してる。金が溜まったら結婚式したい。今それも有って住む所さがしてる」
「そうなの?いいわね。他人の恋路って大好物だわ」
「そのうちお前も良い男と出会うさ」
「私は……親を見てるから恋とかは不要かなって思うのよ」
「そうか……そうだったな。ごめん変な事言った」
「此方こそごめんなさい。好意で言ってくれたと思うから」
「とりあえず、肉食おうな。美味しい肉で嫌なこと忘れような!」
「そうね」
皆と合流し食事を楽しんだ。その時余った肉の一部を売ってまた宿代にした。
そして本日国境の街に着いた。
話が進まない……




