第26話 魔獣の肉
馬車で有間温泉へ戻る間、少しだけ魔獣の解体をしておくことにした。もうかなり慣れてきたが楽しいものでは無い。作業してたら一人近付いて来た。
「俺も少し手伝うよ」
「ありがとうそこの塊を切り取って貰える?」
「了解……ってこれ硬くて切れないぞ」
「熟練者でも難しい?」
「どうやって切ってる?」
「気合?普通に切ってるよ」
「無理だ」
「少し待って……こうやって肉の中の魔力を抜いて……これでどうかな?」
「切れた。何をした?」
「肉の中の魔力を抜いただけよ」
「それって”だけ”ではないよな。凄い事だぞ。やり方は?」
「神に祈るとか……そんな感じ。説明できないのよ」
「そうか、残念だ。もうすぐ着くが報告は俺達がしておく。肉任せてもいいか?」
「お願いするね」
私は肉を沢山切った。私って肉屋で働けるのではないか?って思うほど切っていたらいつの間にか皆が集まって来ていた。
「話は聞いた。他のエリアでも魔獣を倒してたんだな」
「そうね」
「本当に助かった。記念に酒を……飲んでも良い年齢だったよな?」
「成人はしてるけど成長に悪そうだからお酒は要らないわ。それより肉食べよう!」
「この肉何人前だ?」
「近くに居る人皆でいいのでは?魔獣の肉食べたくないって人も居るだろうし」
「値段は?肉は無料……いや一人500円で集まったお金は今回出撃した人で分配しない?成人前の子供は250円で」
「安いな」
「本当は無料が良いのだけどね……参加者に今回の依頼料って出るの?」
「当然出る……が多くはない」
「馬車の方にも肉積んだり迷惑かけたから……」
「分かった。ギルドの人に受け付け頼むか。俺も500円っと」
「貴方は討伐に参加したのだから無料よ」
「そうなのか?でも準備任せっきりだし」
「料理の練習だから良いのよ。先に一つ食べてみる?試食よ」
「では一つ……少し怖いな……これは、美味い……だけではなく力が回復してる?」
「多分ね肉の中に微量の魔力が残ってるのだと思う。それを取り込むことで体力回復したり力が増したりするのかも」
「だからツバキは強いのか?」
「……私初めて食べたの最近なんだけど」
「そうか……残念」
「この肉不思議なんだけど少々食べても肉付かないのよ」
「確かに君は細いな……全体的に」
「女としては少し肉が欲しくも有ったりするのよ。妹なんて胸部に肉増えてるし……最近見た目サザンカの方が年上にみられるのよ」
「それはまあ……今からだろ。まだまだ成長すると思うぞ」
「ありがとう」
話し終わった後、ギルドの方が受付をして魔獣の肉の試食会という名の宴会が始まった。
最初私が食べるまで手を出さない人が多かったが私が食べると皆食べ始め、もう肉の在庫も少なくなってきた。
「これは美味しいな。でも間違っても魔物の肉はそのまま食べられないから皆勘違いするなよ」
「もう終りそうだしお金の話良い?今酔ってるなら明日でも良いけど」
「大丈夫だ。金か……正直受け取る気はない……が、ここを有料にして皆と馬車の分を稼いでくれたのだと聞く。ではここの分だけ配当はいただく。正直俺達は金には困ってない。魔獣の売却で得た金はツバキがすべて受け取ってくれ。それよりツバキと出会えた幸運に感謝する。お前が居なければ死んでたかもしれない」
「本当に良いの?……私もあなた方に出会えて、色々な話を聞けて幸運だと思うわ。では皆さまが困った時に私で役に立つならお手伝いしますね」
「ツバキ……偶に貴族っぽい感じがするな」
「実は貴族の血が流れてますって言ったら信じる?」
「君のような貴族が居るならその領地に住みたいな」
「そうね。仕方なく貴族になったら引っ越してきて」
「そうだ俺にも子供が居てな……この先に進んで北端と言われている地区に居るんだ。もし行くなら様子を見てきてくれないか?多分私達は有間エリアに居るから。ギルド経由で連絡をくれたら助かる。でも無理はしなくていいぞ。もし行くならな。念のため言っておく俺の名前はセアノサス、長男はエルドラド、妹のライラックだ」
「分かったわ。子供だけで住んでるの?」
「妻が亡くなってな……二人とも成人してるから家は心配するなと。近所の人にも協力してもらってるから大丈夫とは思うが」
「と言う事は私より年上なのね」
「話してるとツバキの方が年上だが見た目はな……」
「なんか複雑な気分ね。でも目標無かったから丁度いいわ」
その後北端地区の話を色々聞いてその日は解散し、翌日有間口行の馬車に無料で乗った。
「無料で良いの?」
「君たちが居るだけで安心感が違う。金を払っても良い位だ」
「ではまた昼間に寝るね」
「夜間は頼んだ」
今回は何事も無く有間口まで着いた。ここから未知の場所になる。
「この先に6つの神社がある六社という街が有る。少し遠いが途中1泊すれば歩きでも行けると思う。俺は花の山方面に行くからここでお別れだ」
「今までありがとう。では気を付けて。またどこかで」
「またな」
久々のサザンカとの歩いての旅行だ……がそろそろ一度クアとお爺様に報告に行こうかな……。
「サザンカ……ここの斜面の途中に拠点を作ろうと思うの」
「勝手にですか?」
「簡単に元に戻せるから大丈夫でしょ?」
地下室を作り今度はサザンカも一緒に入った。……では転移
クアの家の拠点に着いた。3人は……在宅みたい。
今後の展開の参考にもなりますので評価、感想など頂けると助かります。
ここまで読んでいただきありがとうございます。




