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『悪の秘密結社』戦闘員タケシの憂鬱  作者: 双鶴


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5/10

4話

午前6時、田園都市線。

満員電車の中、俺は痣を隠しながら吊り革にしがみつく。

隣に立つのは、同期のカズオ。

戦闘員番号D-1022。俺の一つ前の番号だ。カズオは最近、妙に元気だ。

ヒーローに吹っ飛ばされても、翌日にはケロッとしている。

しかも、戦闘中に妙な動きをする。

ヒーローの攻撃を、避ける。

いや、避けるだけならいい。

その後、ヒーローと目配せしてるように見える。俺は思う。

「まさか、スパイ…?」秘密基地に着くと、隊長が叫ぶ。

「本日、駒沢公園の東側を制圧せよ!」カズオは先頭に立つ。

だが、ヒーローが現れると、なぜか一番に逃げる。

俺たちが吹っ飛ばされる中、カズオだけが無傷。戦闘後、俺の靴下に穴が空いていた。

ヒーローのキックが直撃したらしい。

仕方なく、駒沢大学駅前のユニクロで靴下を買う。

3足990円。世界征服の夢は、現実の出費に弱い。ついでにキャンドゥで絆創膏も買う。

脇腹の擦り傷が、スーツに染みてきたからだ。

店員に「運動されてるんですか?」と聞かれ、

「まあ、ちょっと…公園で」と答える。その夜、カズオとサイゼリアへ。

駒沢大学駅前、戦闘員たちの憩いの場。

赤提灯は予算オーバーなので、ミラノ風ドリアが定番だ。「最近、ヒーローの動き、読めるんだよな」とカズオ。

「訓練の成果かもな」俺は言う。

「それ、訓練じゃなくて…情報共有とかじゃないよな?」カズオは笑う。

「何言ってんだよ、タケシ。俺たちは仲間だろ?」その笑顔が、妙にヒーローっぽかった。翌日、戦闘中。

ヒーローが俺に言った。

「君の同期、優秀だよね」俺は、戦闘員番号D-1023。

世界征服の夢と、疑念と靴下の穴の狭間で、今日もベンチに座る。カズオの背中が、少しずつ遠くなっていく。

それが、裏切りなのか、希望なのか——

俺には、まだわからない。

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