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『悪の秘密結社』戦闘員タケシの憂鬱  作者: 双鶴


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4/10

3話

午前8時、田園都市線。

満員電車の中、俺は痣を隠しながら吊り革にしがみつく。

スーツ姿の戦闘員。

正体を隠すための仮の姿。今日も駒沢公園へ向かう。

任務は「ベンチの支配」。

だが、俺の心は、別の場所に向かっていた。彼女がいる。

保育士らしい。

子どもたちと一緒に落ち葉を拾っている。

その笑顔が、やけに眩しい。俺は任務開始と同時にコスチュームに着替える。

フルフェイスのヘルメット、通気性ゼロ。

だが今日は、健診明けで頭皮が蒸れている。

ハゲが進行している気がする。ベンチに座る俺を、彼女が見つけた。

「こんにちは」と声をかけられる。俺は咄嗟に敬礼してしまった。

「あ…すみません、職業病で」彼女は笑った。

「面白い人ですね」その瞬間、胸がざわついた。彼女の顔——どこかで見たことがある。

いや、見たことがある気がする。サンシャインピンク。

戦隊ヒーローの女性隊員。

変身前の姿に、似ている。まさか。

いや、そんな偶然あるか?でも、もしそうだったら——

俺は、敵に恋していることになる。その日から、俺は毎朝、駒沢公園に出勤する。

任務は「世界征服」だが、心は「彼女の正体の観察」。ある日、子どもが俺の痣に気づいた。

「おじさん、顔どうしたの?」俺は答える。

「ちょっと、ヒーローに…いや、転んだだけだよ」彼女が言う。

「無理しないでくださいね」その言葉が、妙に沁みた。俺は、戦闘員番号D-1023。

世界征服の夢と、恋心と、疑念の狭間で、今日もベンチに座る。彼女の笑顔は、俺の世界の一部になりつつある。

だが、もし彼女がヒーローだったら——俺の任務は、どこへ向かうのだろう。


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