2話
健康診断。
一般企業なら、年に一度の福利厚生の象徴。
だが、ダークネス団においては違う。
それは「戦闘力測定」と呼ばれ、健康とは無関係の儀式である。朝6時。田園都市線の満員電車に揺られながら、俺は痣を隠す。
昨日の戦闘でサンシャインレッドに蹴られた脇腹が、まだ痛む。
スーツの下に湿布を貼っているが、満員の圧力で効力はゼロ。秘密基地に着くと、隊長が叫ぶ。
「本日、戦闘力測定を行う!数値が低いやつは再教育だ!」測定器は、昭和のゲームセンターにありそうなパンチマシン。
叩くと「ピロリロリーン」と鳴る。
俺はそっと拳を当てる。
痛む。測定結果:戦闘力38。
隊長の眉がピクリと動く。
「タケシ、貴様…最近サボってるな?」違う。俺は昨日、ヒーローに吹っ飛ばされたばかりだ。
それでも言い訳は許されない。その後、なぜか「普通の健康診断」も始まった。
団の方針で、今年から「人間らしさの向上」がテーマらしい。胃の検査。
「最近、胃の調子はどうだ?」と医療班の戦闘員に聞かれ、
「ストレスで胃がキリキリします」と答えたら、
「それは甘えだ」と言われた。採血。
俺は注射が苦手だ。
ヒーローに殴られるのは慣れてるが、針は怖い。
看護師役の戦闘員が言う。
「タケシ、戦闘員が針を怖がるな。敵のレーザーの方が痛いぞ」聴力検査。
昨日の爆発のせいで、まだ耳がジンジンしている。
「ピー音が聞こえたらボタンを押して」と言われたが、
爆発音の残響で、ピー音が全部爆発に聞こえる。
結果:聴力不明。今日は健診のため、全員ヘルメットを外している。
基地内に、戦闘員たちの素顔が並ぶ。
そして、気づく。
ヘルメットの蒸れで、ハゲが多い。隊長が言う。
「これは戦闘の勲章だ。誇れ」俺は思う。
「それ、ただの通気性の問題じゃないか…」血圧測定。
なぜか、ヒーローに殴られた直後に測るのが団の流儀。
「戦闘直後の数値が真の健康状態だ」と隊長は言う。結果:上180、下120。
「うむ、戦闘員らしい数値だ」午後、診断結果が貼り出される。
「タケシ:戦闘力不足、胃炎疑い、注射恐怖症、聴力不明、頭皮要観察、要再教育」俺は、戦闘員番号D-1023。
健康とは何かを考えながら、今日も湿布を貼る。世界征服の夢と、血圧180の現実の狭間で、俺は生きてい




