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『悪の秘密結社』戦闘員タケシの憂鬱  作者: 双鶴


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10/10

9話

翌朝、世田谷区役所。


「あの、秘密結社の解散届を出したいんですが」

窓口の職員が眉をひそめる。


「…秘密結社?」

「はい。ダークネス団です」

「法人格は…?」

「ないです」

「では、提出義務も、受理義務も、ございません」

「…」


D-1027が小声で言う。

「これが、真の敗北ってやつか…」

D-1031が言う。

「いや、これは“自由”だよ」


その日の夜。テレビで、握手会の様子が報道された。

『元・悪の秘密結社、駒沢で涙のファンミーティング』

SNSでは「#ダークネス団ごっこ」がトレンド入り。

子どもたちが、ベンチに集まり、

「世界征服〜!」「ベンチに逃げろ〜!」と叫んでいた。


D-1027は、Uber Eatsの配達中に子どもに囲まれ、

「サインください!」とヘルメットに落書きされた。

D-1031は、犬の散歩代行を始めたが、「犬に噛まれて欠勤」の再発が心配されている。


そして、ひと月後。

駒沢公園の昼下がり。

タクシーの運転席に座る俺。昼休み、ベンチに車を停めて弁当を開ける。

中には、卵焼きとウインナーと、ハート型のミニトマト。

小さな手紙が添えられていた。「今日も気をつけて。ピンクより」


俺は、戦闘員番号D-1023——だった男。今は、誰かを運ぶ人間になった。

世界征服はできなかったけど、

誰かの昼休みを、ちょっとだけ幸せにできる気がする。


子どもたちの笑い声が、公園に響いていた。俺は、少しだけ、微笑んだ。


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