刀剣巫女の正義の刃 ~伝説の巫女の子孫は先祖が造った刀を手に、正義の為に戦います!~
正義感の強い小学生、華宮 勇香は、ある日、ご先祖の霊から不思議な力をもつ剣を手に入れました。
彼女は、その力を使って悪を討つ!
「ちょっと、そこのあなた!会計まだしてないでしょ!」
「はぁ!なんだテメエは」
一人の少女が、スーパーから逃げるように出てくる男の手を掴んだ。
男は怒鳴りながら少女の手を振りほどこうとしているが、彼女は手を離さない。
「このガキが!手を離せ!」
「離さない!!」
少女と男がもみ合ってって数分後。
「お客様、どうされましたか?」
やって来たのは騒動を聞きつけたスーパーの店員だ。
「あぁん!このガキが手を離さねぇんだよ」
「店員さん!この人万引き犯です!!」
「なんだって!」
少女の言葉を聞くと、店員もまた男の手を掴んだ。
「てめぇ、何しやがる!」
「とりあえず、事務所でお話を」
「は?冤罪だったらわかってんだろうな!」
「ええ。あなたの言葉より、彼女の言葉を信じられますから」
「ふ、ふざけんじゃねぇ!!」
そう言い合いながら、店員と男は事務所の方へ歩いて行った。
もちろん少女もついて行く。
数分後……
「いつもありがとう。おかげで万引き犯を捕まえられたよ」
「いえ、当たり前のことですから」
そう言って少女は店員は握手をし、そのまま家に向かって歩き出した。
少女、華宮 勇香は小学四年生の十歳。
ショートカットでボーイッシュな彼女は、正義感が強いため、万引きのような犯罪は見過ごせない。
実際に今まで万引き犯や窃盗犯を捕まえたり警察に通報したのは一度や二度ではないのだから。
「うん。今日もいい事したなー」
そう言いながら彼女は鼻歌交じりに家へ歩き出した。
バッグに入っている刀の柄の形のお守りとお札を触りながら。
勇香がこのお守りを見つけたのは、遡る事二か月前の事だ。
離婚した母、喜久枝に付いてきた彼女は、母の実家で、祖父の隆源が神主を務める華宮神社に引っ越してきた。
その翌日の事だ。
「あーあ、暇だなー」
母親も祖父も忙しいため、勇香は境内で遊んでいた。
引っ越してきたばかりなので、当然友人もいない。
さらに、親から遠くに行かないでと言われていたので、一人で神社の境内を探検していた。
「にしてもこの神社、ほんっとーにボロボロだよね」
そう、華宮神社は歴史こそ長いが、小さく、ボロボロの神社なのだ。
「でも、とってもいい神社なのにね。もっとお客さん来てくればいいのに。おじいちゃん生活大丈夫かなー?」
そんな事を想いながら、歩いていると……
【巫女よ……巫女よ…………】
(!?)
頭の中に謎の女の声が流れて来た。
「誰?誰なの!?」
【こちらへ……】
謎の声。
その声に導かれるように、境内の裏の林を歩いていく。
そして、
「何、これ」
そこにあったのは地面にある扉だった。
【さぁ、開けて】
「う、うん」
扉を開けると、そこには地下へ向かう階段があった。
先は真っ暗になって見えない。
【恐れないで。さぁ、この先へ】
「う、うん(何処に繋がってるんだろう?)」
おっかなびっくり階段を降りる。
その先には、大きな扉があった。
【目的の場所はこの先です】
「これって、隠し部屋なのかな?」
扉を開けると、そのには広い部屋があった。
「ほ、本当に隠し部屋だ……」
中に入ると、急に部屋が光に包まれた。
「な、何?」
【よく来ましたね。、巫女よ】
「み、巫女?というか、あんた誰よ!」
【ふふっ。そうね。私の名前は桜。華宮桜】
「は、華宮?」
【そう、私はあなたの先祖よ】
「先祖!?」
思わず素っ頓狂な声を上げてしまう。
【ええ、私は特殊な能力を持っていて、今あなたの脳内に直接語り掛けているの】
「嘘でしょ……」
【ふふっ。今こうしてあなたに話しかけているのが何よりの証拠では】
「確かに……」
脳内に語り掛けられるだけでもはや普通の人間ではない。
「で、私に何の用なの?」
【単刀直入に言うと、妖魔団を倒してほしいの】
「なに?それ」
【簡単に言うと、悪党集団ね。私も仲間と一緒に戦っているんだけどだから、あなたが生きる時代に妖魔団が残っていたら、そいつらを倒してほしいの】
「それってどんな悪党なの?」
【あー、ごめん。もう力の限界】
「え、ちょ」
【私が使っている武器とかお札とか用意しておくから使ってね。じゃあ、お元気で】
「ま、待って!」
【あ、そうそう。この事は他の人に言ったら駄目だからね】
「ちょっとー!!」
声むなしく、ご先祖様が応える事は無かった。
その代わりに、
ドスドスン!
そんな大きな音と共に、大きな葛籠がいくつか落ちて来た。
「えっと……この中にご先祖様が言っていた武器とかが入ってるのかな?」
葛籠を開けると、中には刀の柄と、お札、そして本があった。
「えーっと。この本の中に説明があるのかな?」
そして、本を開くと……
中身は白紙だった。
だが……
「え、何……」
頭の中に刀とお札の使い方が入って来た。
「へぇー。こう使うんだ」
こうして、勇香は刀と札を手に入れたのだった。
「おじいちゃん。ただいまー………………あれ?おじいちゃんいないのー」
勇香が家に帰ると今いるであろう祖父にただいまを言ったのだが、いつもはすぐお帰りと言ってくれる祖父が反応しないので誰もいない事に気付いた。
まぁ、母は仕事だし、祖父も買い物などに出かけていないという事は時々ある。
気にする事でもない。
そう思って自分の部屋へ行こうとすると、急に後ろからパーカーの後ろを掴まれた。
「な、何!?」
後ろを振り向く。
そこには……
「よう、久しぶりだな」
「パ、パパ」
そこにいたのは、彼女の父、浩二だった。
「ど、どうしてここに?」
「はぁ!?あのくそアバズレが何時まで経っても復縁しようとしねぇからこうやってきてやったんだろうが!」
「ふざけないで!お母さんはあんたなんかと復縁しないんだから!!」
「このクソアマ!」
そう言うと、浩二は勇香を思いっきりグーで殴った。
勇香は殴られた勢いで、思いっきり壁に背中を叩きつけられる。
「お、お母さんは、あんたの……暴力が嫌だから……離婚したんだ」
そう、勇香の母、喜久枝が離婚に踏み切ったのは、父、浩二のDVから逃げる為だ。
浩二は毎日働かず、酒を飲んでは暴力を振るった。
喜久枝は朝から晩まで働いていたが、浩二が娘の勇香に対してまで暴力を振るった事実を知り、ついに離婚を決意。
ブチ切れた浩二は何度も喜久枝を殴ったが、何度も何度も土下座する彼女を見た彼はついに離婚届に判を押し、離婚が成立。
DVから解放された彼女は、娘と一緒に実家である華宮神社に帰って来たのだ。
もっとも、浩二的にはどうせすぐ泣いて謝って帰って来ると思っていたのだが。
一方で、喜久枝と勇香も浩二が復縁を求めて神社まで来る事を恐れていたのだが、一方でそれは無いだろう、と思っていな。
なぜなら、浩二は喜久枝の父の隆源が怖いからだ。
隆源は柔道の黒帯でオリンピック優勝経験もある実力者。
しかもいままで病気になった事が無いと言う健康体。
それに比べて浩二はしょせん自分より弱い相手しか喧嘩を売らない、柔道場どころかスポーツクラブにすら言った事も無いチキン野郎。
そんな男が自分より強い男が待っている場所に行けるわけがなかった。
そう思って、安心しきっていた。
だが、やって来た。
彼のちんけなプライドは自分より劣る存在である自身の妻が自分のやさしさ(離婚してやった事)に感謝せず何時まで経っても謝りに来ない事に耐えられなかったのだ。
そして、たまたま祖父がいない時にやって来ると言う幸運も彼に味方してしまった。
かくして、勇香と浩二は二人っきりで会う事になったのだ。
「おい、喜久枝の奴はどこに行ったんだ!」
「だ、誰が言……」
ゲシッ
勇香の顔に、浩二の情け容赦ない蹴りが入った。
「ガキが!育ててやった恩を忘れやがって!!」
何度も、何度も勇香は蹴られた。
「いいか。てめぇらは黙って俺の奴隷やってりゃいいんだよ!」
そして、勇香は数分間蹴られ続けた。
体力が切れたのだ。
浩二の蹴りは一般的な大人よりはるかに弱い。
さらに言えば、一般人より体力は無いから、暴力は続けられないのだ。
とは言え、小学生の勇香にしてみたら十分に痛い。
痛みに蹲っていると……
「ふん。まぁいい。とりあえずあのアバズレが帰るまで待つからな」
そう言って浩二は家の奥の方に入っていこうとした。
その時、勇香はバッグに入っている刀の柄を掴んだ。
「聖なる刀よ!我が意思に従い力を示せ!!」
その瞬間、柄から白い刃が現れた。
「な、なんだよ、それ!!」
浩二は悲鳴を上げたが、無視して彼の胴を横一文字に切り裂いた。
「うががががががが!」
彼は痺れ、そのまま気を失って倒れた。
もちろん胴体が本当に切られているわけではない。
相手を切らずに倒す。
それがこの刀の力なのだ。
「は、早くお母さんと警察に電話しないと!」
こうして、DVクズ男である浩二は、警察に連れていかれたのだった。
「よかった。上手く使えて」
一件落着した後、勇香は自分の部屋でそう呟いた。
浩二がなんで倒れているのか警察に聞かれた時、足を滑らせたと言っておいた。
そして、勇香が刀を使った事がばれる事はない。
なぜなら、あの刀で着られると気絶し、刀に関する記憶が消えるからだ。
「そうだ、この力があれば……悪い奴をやっつける事が出来る!」
こうして、勇香と悪との戦いが始まったのだ。
お楽しみいただけましたでしょうか?
一応、長編に出来ないかなーと思って書いたんですけど、
内容的に面白く出来なかったので、止めました。
面白い長編書いている人は尊敬出来ます。
私には多分無理。
一応長編に向けて考えていた設定。
★華宮 勇香
小学四年生末期に転校→本編開始時は五年生
①性格
とっても元気な美少女。
ボーイッシュ
正義感が強く、弱者を助ける事にためらいが無い
→父親に暴力を振るわれていた母親を助けたいと言う思いから来ている
未だにサンタやコウノトリを信じている。
②能力
頭、運動神経は並み以上だが、優秀ではない
クラスの男子からの人気も高い。
③外見
ショートカット
スパッツを履いている
ジャケット、パーカーをよく来ている。
身長は一般的な五年生と同じ。
よく男子に間違われる
④経歴
父親からDVを受けていたが、母親と一緒に母の実家・華宮神社に逃げて来た。
祖父は武術の達人で、父親からも恐れられている。
⑤家族
母親 喜久枝
父親 浩二
祖母 故人
祖父 隆源 柔道黒帯
先祖 桜
⑥武器
聖なる刀
普段は柄しかない。
しかし、力を解放すると、白い刃が生じ、
それで着ると相手を一撃で気絶させる事が出来る。
それによって持ち主と刀に関する記憶が消去される。
★仲間1
伝説の弓を武器にする。
武家の末裔
6年生の生徒会長
同年代に比べて背が高い。ポニーテール
男装の麗人という言葉がよく合う。
実は可愛い物、フリフリの衣装が大好き。
★仲間2
主人公と同じクラスの小学五年生
現役アイドル
金儲けの為にアイドルをやっている。
ロングヘア―で同年代よりかなり幼い。
先祖代々続く発明家。
興味を持つことには頭がいいが、それ以外はポンコツ。
自分の目的の為なら、自分含め何でも犠牲にする。
運動神経ゼロ。
伝説の銃を自己流で改造し、スナイパーライフルのようにしている。