47.帰国
時刻はもう夕方。
あとはホテルに戻り、夜に出発するだけだ。
旅は終わる。
車中は旅の振り返りで話題は尽きなかった。ミゲルも会話に参加していた。
長い移動時間があっという間だった。
ホテルに着いてからも慌ただしい。
ホテルと言っても部屋に戻って2時間程で出発するのだ。
ミゲルが再び回収しにくるので、急いでシャワーを浴びて全ての荷物を持っていった。
災難な部屋との別れも惜しかった。うるさいエアコンも小さく聞こえる。
再びミゲルに回収された俺たちは空港入り口で降ろしてもらったのだ。
「皆サン。寂しいデスね。ここでお別れデス」
アンドレアやゴルゴとの別れも悲しかったが、全日程俺達と一緒にいたミゲルとジェームズはここでお別れ。
悲しくなってくる。
「ミゲル、ジェームズ。ありがとう」
「隼人サン・・」
「ミゲルのおかげで色々助かったよ。楽しかった」
「樹里サン・・・」
「ミゲルがガイドで良かったよ!ジェームズの運転も良かった!これで会えなくなるのが寂しいよ」
「服部サン・・・」
俺たちはこの人たちに感謝してもしきれない。
それほどまでにお世話になった。
「私とジェームズも皆サンと一緒で楽しかったデース!日本に戻ってもみんな元気でいるんデスよ!ジェームズもそう言ってマス」
「もちろん!」
空港の入り口で長居するのは迷惑になる。それはミゲルもわかっているので、名残惜しいけども車を出さないといけない。
ミゲル達は車に戻ろうとした。俺はその2人に声をかけた。
「なぁ最後!写真・・・撮ろう!」
2人は立ち止まってこちらに戻ってきた。
「もちろんデー―ス!ジェームズも喜んでマス!」
セブ島旅行を共にした5人の写真はみんな笑顔だった。
夜中だというのに全員顔が晴れている。
これで思い残すことはない。
ミゲル達に本当のお別れを告げて俺たちは空港の中に入っていった。
さらばミゲル、ジェームズ。
俺たちは一生あなた達を忘れない。
「なぁ隼人。今何時だ・・・」
「3時・・・だよ」
「22時間近く今日起きてんのやばいだろ」
「ただ起きてるんじゃない。いいか樹里。アクティビティしまくっての22時間活動だ」
「わかってるよ。だから3人揃って顔が死んでるんじゃないか」
空港では早々に出国手続きを済ませた。出発ロビーの椅子に座っているのだが、この椅子に座ってから、溜まってた疲れがあふれ出してきたのだ。
寝たら飛行機を逃すことはわかっている。だから寝ないようにしているが、そもそも体力が限界を迎えている俺たちの体は睡眠を要求している。
そろそろ脳の処理能力が停止してくる頃だ。
「おい隼人。寝るなよ」
「樹里お前も」
「服部さんは寝てる」
「起こせ」
会話の文章が短すぎる。
お互いに限界状態での会話は酷いものだ。
「なぁ隼人」
「ん?」
「何か食べたいね」
「朝3時に店はやってない」
「水飲みたいね」
「金は使いきっただろ」
「あ、無一文だっけ」
「そうだよ」
空港に着くまでの今日1日でキッチリと両替したお金を全部使い果たした俺たちは、空港で買い物するということを忘れていたので、無一文で残り時間を過ごしている。
「なんで全部使ったかな」
「樹里文句いうな」
「水も買えないのキツイな」
「ホテルで貰った水が最後さ」
「これであと2時間乗り切るのか」
「金のない辛さだ」
「貧乏旅の締めくくりか」
俺たちは互いに励まし合いながら5時まで耐えた。
アナウンスが鳴り、俺たちの飛行機が搭乗できるようになった。
その時にはみんなの目の下にはクマができていた。
寝不足な顔で飛行機へ。
ここまで体力を使い果たす旅もそう多くない。
俺はこいつらとセブ島に来れてよかったと思っている。
こんなに楽しめたのはこいつらのおかげだ。
社会人になればもう自由な海外旅行へは簡単にいけない。この旅行は人生においても大きなイベントとして我々に刻まれる。
大きなイベントにふさわしい程の体験を沢山した。帰ったらまずはみんなにお土産話をしよう。
飛行機の席に座った俺たちはすぐに眠りについた。
窓からは日の出の光が俺たちを照らす。
日本へ帰ろう。
最後は編集後記でも載せて終わりにします。




