表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/49

43.ゴルゴ

 戻ってすぐに胃薬を服部さんに飲ませた。

 

「苦いな~」

「胃薬は基本苦いから仕方ないよ」

 

 ここからの移動で服部さんの酔いがさめてくれればいいのだが。

 次はかなりハードなことを行うからだ。

 

「服部さん!移動はゆっくりしててくだサイ!次はキャニオニング・・デース!移動しマスヨ」

「はーい」

 

 次はキャニオニングだ。今日最後のイベントであり、恐らく一番体力を使う。

 余った体力全てをここで使う気だ。

 この旅までキャニオニングなんて言葉は知らなかった。身体1つで川を満喫して下流に下るアクティビティ。見ただけで面白そうなのが伝わってきた。

 そのキャニオニングの場所まではここから遠い。移動したら昼過ぎになってしまう。

 最後のイベントが終われば後は帰国するのみだ。

 もう終わるのだ。この旅は。

 

 

「皆サン!お昼ご飯デス!」

 

 移動してどれほど経っただろうか。

 うたた寝を相変わらずしていたので、時間間隔がわからない。

 お昼ご飯の時間らしい。

 

「jolibeeではないデスからね」

「でしょうね!」

 

 見渡す限りは田舎である。ここで何を食べるのだろうか。

 ミゲルに連れていかれたのは他に人がいない小さな砂浜。そこにはポツンと机が置かれて、パラソルが刺さっている。まさかとは思ったがその予感が的中。

 その机に着席をした。

 オーシャンビューという言葉はあるが、オーシャンビューにもほどがある。

 誰もいない砂浜に我々しか座っていない机。目の前には広大な海が広がる。

 

「なにここぉぉぉ!!」

 

 俺は叫んだ。

 明らかに状況はおかしい。

 そんなことを気にもせずミゲルは食事を持って来た。

 

 

「ご飯食べたので行きマーース!」

「はーい」

 

 ミゲルが運んできた食事は肉や米など、若者がいかにも好きそうなカロリーが高い食べ物が並んでいた。場所に違和感は凄かったが、結局楽しんだ。

 今はジェームズが俺たちを全速力でキャニオニングの場所に運んでいる。

 食事中も俺たちはキャニオニングの話をしていた。それくらい楽しみなのだ。

 キャニオニングの話は移動中の今も盛り上がる。

 車内は騒がしいものになっている。

 

 駐車場に着いた。

 俺は早速やる気満々でドアを開けたが、目の前に人がいた。

 

「うぉ!?す、すみません」

 

 伝わらないことは分かってても、反射的に謝る時は日本語になってしまう。

 

「@/??))###」

「ん?」

「〜@?.!」

「ミゲル〜何言ってるか訳して欲しい〜」

 

 現地の言葉は最終日になっても聞き取れない。

 

「任せてくだサーーーイ!」

 

 ミゲルが一通り話を聞いてくれた。

 

「この人達スタッフ。キャニオニング用シューズを履かないといけナイのでサイズ聞いてマス」

「あぁなるほど……キャニオニング用シューズ…?」

「皆さんでサイズ伝えてくだサーイ!」

「あ、はい」

 

 3人ともサイズを伝えた。我々はこぞって全員足が小さい。伝えるのが少々恥ずかしい。

 

「HA…」

 

 絶対笑われた。

 間違いなく小馬鹿にされた。故意では無いかもしれないが明らかに俺たちのサイズを聞いて「小さっ」って感じたのだろう。腹が立つ。

 

「ハイハイ!では!皆さん着替えてくだ…サーイ!」

「はーい」

 

 更衣室で再び水着に着替えた。

 さっきまで海にいたのだ。水着はまだ湿っている。それがちょっと冷たくて気持ち悪い。

 車に戻るとミゲルが注意事項を話し始めた。


「ヘルメットしてくだサイ!ラッシュガード着てくだサイ!ライフジャケット着てくだサイ!キャニオニングシューズ履いてくだサイ!」

 

 命を守る道具がこれでもかと言い放たれた。

 服部さんは唖然としている。

 

「ミゲル…そんな身を守るものないとダメなの…?恐ろしいんだけど」

「服部サン!安全第一デス」

「そ、そうだけどぉ安全のオンパレードだよぉ」

「これなら死にまセン!HA!HA!」

「怖っ!」

 

 スタッフがそそくさと用具を持ってきた。

 ヘルメット、ラッシュガード、ライフジャケット、シューズ。装備品が余りにも多すぎる。

 だが、男の子はこういう危険な遊びが結局好きなのだ。いざ着用すると楽しくなってくる。

 

「バトルロワイヤルゲーム無課金者の装備みたい」

 

 服部さんはなんとも的確な表現を使った。

 下には短パンの水着。上はラッシュガードとライフジャケット。頭にはヘルメット。どう考えてもアンバランスな格好だ。バトルロワイヤルゲームでいそうだ確かに。

 

「服部それは上手い」

「おぉ!隼人に褒められたね!嬉しいなぁ」

「アサルトライフル持てばそのまんまバトロワだよ」

「買ってこようかな」

「アサルトライフル売ってねえわボケ。お土産の木刀感覚か!」

 

 馬鹿なことを言っていると、とある人が目の前に現れた。

 

「渋っ!イカつい」

 

 俺は思ったことを口にしてしまった。

 

「よく言われる。強面なんだろう私は」

「めっちゃ日本語ペラペラだ…」

「ほぼネイティブだと思ってくれ」

「あ、はい」

「ちなみによくゴルゴと言われる」

「あ、似てる…」

 

 某狙撃手漫画の主人公ゴルゴに似ている。

 服部さんはその手の漫画が大好きだ。すぐに反応した。

 

「おぉ!似てますね!」

「えぇ。今日はゴルゴと呼んでくれ」

「いいんですか」

「是非」

 

 彼自身が凄い気に入ってるのだろうか。まさかのゴルゴ呼びの許可が出た。

 ミゲルとジェームズは一旦ここでお別れ。キャニオニングには来ない。

 

「いってらっしゃいデース」

「いってきます」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ