表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/49

36.チョコレートヒルズ

 車窓では変わらないフィリピン熱帯雨林の景色。自然ばかりで覆われたこの島は、時に時間の進み方を忘れるような瞬間もある。車の移動が2時間だとしても、この環境ではそれが一瞬にも感じるし、とても長く感じることもある。この旅行中は相対性理論に則って時間のズレが生じているのかもしれない。楽しさは我々の時間感覚を狂わすのだろう。このまま本当に時間の進みが遅くなればいいのに。もう3日目。旅行終了も見えてくる。どこまで楽しめるだろうか。

 

 

「チョコレートォ!!デー―ス!」

「いや、チョコレートは少し語弊が・・」

「No!中山サン!チョコレートデェス!」

「あ、はい」

 

 なんでここまでしっかり否定されたんだ俺は。間違ってはないだろ。

 

「お、着いたか。よ~し。二人とも行くぞ」

 

 なんで隼人も俺がおかしなことで否定されたという事実にツッコミいれないのだろう。俺が本当に間違っているのではと錯覚するではないか。

 

「チョコレートどこだ!?」

 

 その反応的に服部さんはチョコレートヒルズを食べ物か何かだと勘違いしているのかもしれない。まさかチョコレートが食べられる丘と解釈をしたのだろうか。本人に聞くのは野暮なので聞かないが、残念ながらチョコレートは食べられなさそうだ。

 

「おい服部・・チョコレートヒルズが食べ物関係だとか思ってないよな」

 

 隼人が代弁してくれた。

 

「まままままままさか!!」

 

 図星であることをはっきりと表現してくれた。

 

「皆様よろしいでしょうか。説明させていただきます」

「はーい」

 

 アンドレの説明が始まった。

 

「ここはチョコレートヒルズを見るための展望台です。この長い階段を上った先が展望台です。そこまでは皆さまで行っていただきます。私とミゲルはここで待っていますので、満足したら戻ってきてください。写真映えが素晴らしいので楽しんできてください」

「はーい」

 

 俺たちは階段を上り始めた。

 

 

「ハァ・・ハァ・・ハァ・・キッツい」

 

 階段を何段登ったか定かではないけども、なんせ傾斜がそこそこあったので非常に登りきるのが大変であった。ミゲルに見送られて歩き始めた時は意気揚々としていた俺たちは階段中腹くらいで雲行きが怪しいことに気が付き、後半は明らかに口数が減った。

 

「いやぁぁぁぁ痩せようかな」

 

 服部さんがまさかの発言をしたことで俺と隼人は目を見開いた。

 

「服部さん何を血迷っているんだい」

「服部のアイデンティティを無に帰すのか」

 

 俺と隼人の言葉は辛辣だ。

 

「ちょいちょい!そこまで言われるような発言だった!?」

「うん」

「勘弁してよ~」

 

 そもそも彼が痩せた姿は想像できないし、肥満ではないので大丈夫だろう。

 そんなことよりチョコレートヒルズだ。

 

「展望台もそこそこ広いね」

 

 隼人はそう言って歩き出した。

 俺たちもそれに着いていき、チョコレートヒルズが見渡せる部分まで進んだ。

 

「お、おぉ!!お?」

 

 いざチョコレートヒルズを見てみると不思議な感覚になった。確かに珍しい光景だし、見ごたえは十分ある。だが、チョコレートには見えない。眼下には数多くの丘が地面から生えている。あえてチョコレートに例えるなら「緑色のアポロチョコレート」が何個も地面から生えていると言えるだろう。山にしては低いし、高い地面とするには高すぎる。まさに丘ではある。

 

「チョコ?か?これ」

 

 服部さんの言葉に隼人は解説を加えた。

 

「どうやら乾季になるとこの緑色の丘が茶色になるらしいんだ。そうするとチョコレートに見えるらしい。なるほどだな」

「うわぁぁぁ納得!!」

 

 色でチョコレートに見えるのなら、俺のアポロチョコレートという表現はあながち遠いものではないかもしれない。もし、このチョコレートヒルズが桜の木で埋め尽くされていたらピンクのチョコレートヒルズができあがる。形は元々アポロチョコレートなのだから、より一層本家アポロチョコレートに近づくのだ。

 2人にこれを言ったら「何言ってんだこいつ」とバッシングを受けてしまうので、心の中にそっとしまっておくとする。

 

「この光景は日本では見ることはできないし、ここの存在を知るまで想像もしない光景だね」

 

 アポロチョコレートのことを言ったら馬鹿にされるので、代わりにそれっぽいことを言ってみた。

 

「俺たちが住んでいるのは関東平野だからな。こういった丘とか山と日常で接していないし。新鮮さが際立つよ」

「あ、あぁそうだな隼人」

 

 ここにはなにか他にあるわけではない。チョコレートヒルズを堪能したらやることはないので、それぞれ満足するまで写真を撮ったので展望台から降りることにした。3人での写真はもちろん撮った。

 

「ハァ・・・ハァ・・・く、くだりもキツイ」

 

 階段を上るほうがキツイのは当たり前ではあるが、俺的に下りは体力の問題でなく筋肉疲労がキツイ原因を生み出していると思う。足の筋肉は下りの方が使うからだ。

 

「お、皆サーーン!おかえりデー―ス!」

 

 ミゲルの熱い歓迎で迎えられた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ