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29.ボホール島

「服部さん!!!早く!!!!」


俺と隼人はとっとと用を済ませてミゲルの元に戻ったが、個室に入った服部さんは俺らから遅れてミゲルの元にやってきた。彼もかなり焦っているようで走ってこちらに向かっている。


「いやぁぁぁ~待たせたねーーー」


走りながらそう言っているのでめっちゃ声がでかい。


「では、乗り込みマーース!!所要時間は2時間デス」

「はーい」


船着き場に出ると俺らが乗る船が停まっていた。割と大きい。沈没する心配はとりあえず無さそうだ。安心する。多分セブ島本島からボホール島へと行く人は多いのだろう。この船着き場にもかなり人はいるし、中にも沢山乗っている気がする。

船の入り口で乗務員のお兄さんにチケットを見せていざ乗車。


「椅子硬い!!!」


俺らはチケットの通り1階の席へと着席したが、俺の座った開口一番はこれだった。勝手に長旅の船だからクッション性のある席だと思っていた。そしたら普通の木の椅子だった。


「文句言うな樹里」

「あ・・はい。隼人すみません・・」


文句を言ったことを反省した。少々雑談していると船は出発した。

あまり船に乗る機会もないのでテンションは上がる。


「おぉ・・動いた」

「島国の日本でもあまり船乗らないから面白いね」


服部さんもテンションが上がっているようだった。


「いや~樹里。俺は川下りしか船の記憶ないよ!」

「それ京都のやつじゃん」

「あの時の船より大きいね」

「当たり前だ!この大きさの船が川下りできてたまるか!」

「全ての岩場をもろともせず進む川下り」

「はい景観破壊~。れっきとした環境破壊だよ。岩壊しながら進むじゃん」

「それは許されないね!」


黙ってられなかった隼人は一言


「お前ら!また会話の着地点わからずに話しているだろ!」


「ふぅ~助かった~なぁ!服部さん」

「いや本当にまた助かったよ。着地点どうしようかと思ったね」

「お前ら・・いつも通りだ・・」


ミゲルは笑っている。


船内は英語の曲がかかり、乗客は各々自由に過ごしている。なので、俺らも自由に過ごすことにしよう。



「みなさーーーん!おはようございマーース!」

「!!?!?!?!?!?!?!!?」

「おはようございマー――ス!」

「え・・?ふぁ!?」


俺はミゲルの声で起きた。そう起きたのだ。時計を見たら10時。出港した8時からほとんど記憶にない。これが指し示すことは1つ。二時間全部寝ていた。


「てことは!」


俺は残り2人を見た。俺が寝ていたということは大体こいつらも寝ているはず。


「やっぱりかぁぁぁ!」


期待を裏切らない彼らはしっかりと寝ていた。眠い目をこすっている。


「まさか・・寝てしまうとは」


隼人は眠いながらも悔しがっていた。その言葉から察するに彼も相当序盤で寝ていたのだろう。服部さんは言葉も出ないほど眠そうな顔をしている。なんなら眠そうすぎて顔が老けている。


「はい!降りますヨ」

「はーい」


木の椅子だからだろう。腰が痛い。



「おぉこれがボホール島か。景色の違いはあんまりわからんがテンションが上がるな」


新たな土地に降り立つというのはどこであれテンションがあがる。俺は景色の違いはわからないけども何となくセブ島本島との違いは分かる気がする。


「グッ・・・眠い」


服部さんは余程眠いようである。


「どうしたん服部さん。話聞きこか?」

「それ俺に言うな気持ち悪い」

「あ、あぁ失礼。陽キャ大学生になるところだった」

「やめてくれよ。いや眠いのはな?そりゃ体力的に凄い消費したからなんだよ」

「昨日か。だから俺と隼人も眠いのか」

「それに加えてあのホテルよ?ちゃんと寝れるわけないだろ!」

「うわぁ!くそぉ!それが大きな理由か!そりゃ疲れもとれないもんだ」

「移動時間で寝れるかが勝負だよ」


そういえば服部さんは朝早く起きていたし、眠りが浅いとも言っていた。そういうことか。

これが大学生の旅行だ。深い眠りにつかなくても工程は進行していく。俺らの体力がなくなり倒れるか、無事に帰国するか。どちらになるか。

テンションが上がってきたな。

そういえばこの島では誰が運転するんだろうか。ジェームズと一旦お別れをしているわけであり、車もこちらに来ていない。島が小さくて全て歩きで周るという考えもあるかもしれないけど、絶対そんなことは無い気がする。歩いて回るなんて海外ツアーであるはずない。多分。


「なぁミゲル。この島って車で移動するの?それとも歩き?」

「もちろん車デス」


ミゲルはさぞ当たりまえだと言わんばかりの顔をしている。

当たりまえなのか。


「いや、ミゲル。ジェームズいないし誰運転するのかな~って」

「Ohhhhh!そういうことですね!私デース!!運転するのは!」

「えぇ!?ミゲル運転手なの!?」

「そうデース!」


まさかだった。ガイドがミゲルで運転手がジェームズというのに慣れてきてしまって、ミゲルが運転するのがちょっと慣れない。

ここからはガイド券運転手ミゲルということ・・


「ガイドは別で手配してマスよ」


ちがった。全然ガイド兼運転手じゃなかった。運転手専門にジョブチェンジするそうだ。

てか、新しいガイドが来るのか。それも今ここに来て初めてしったものだ。相変わらず俺らは誰もその後の日程を聞かないし、知ろうとしない。そろそろ聞かなさすぎて痛い目を見そうだ。だが、おそらく痛い目を見ても反省しない。


「お!アンドレアいましたヨ!!」

「アンドレア?」

「アンドレア?」

「アンドレア!?」


3人ほとんど同じ反応をした

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