24.お揃いサングラス
歩き始めて数分だろうか。以上にまで白く光っているこの区画。これは電気屋だろう。いかにも電気屋の見た目だから間違えない。眩しい程の白い蛍光灯の光に、ガヤガヤとナレーションやら人の声が入り交じるあの光景。日本でもお馴染みのその光景が今このフィリピンのショッピングモールで繰り広げられている。理解があまり追いつかない。散々日本っぽいとは言ってきたが、ここまで日本の光景に似てるともう日本だろ。
「洗濯機…スマホ…電気屋だ…」
俺はまたもや本音を吐いたところ、服部さんはすかさずボケてきた。
「なんか買う?」
「いらんわ」
「洗濯機とか」
「ダントツでいらないんよ」
「日本の大手メーカーだよ?」
「メーカー関係ないわ。観光で来てる我々に使い道ないんだよこれ!」
「お土産…」
「あぁぁ…ならありか」
ツッコミの適任者である隼人がツッコミを入れてくれた。
「ありじゃねえよ!邪魔になるわ!買うな!」
「はいぃ…」
電気屋にいる現地民の店員にガン見されながら、俺達は電気屋を通り過ぎた。不思議な事なのだけども、俺は電気屋がとても苦手だ。理由はわからないが、長時間いると体調を悪くする。あの煌々と輝きすぎるあの白い店内灯が原因なのか、それとも単純に合わないのか。本当によく分からないけども電気屋は苦手だ。もし、電気屋でアルバイトしようものなら1週間で辞めてしまう。
「hey!men!」
「ん?」
電気屋を通り過ぎて間もなく、誰かに声をかけられた。その声は壁際のテナントから聞こえるにはあまりにも鮮明。そんな客引きはしてこないはず。はて、どこからだろうか。
「sunglasses!」
サングラスとハッキリ聞こえた。壁際のテナントではなく、廊下等に店を構える路面店の店員からの声。普段は近寄らないのだけども、この太陽の光が強いセブ島ではサングラスが必需品なのかもしれない。なので、寄りたい。
「なぁちょっと見ないか」
俺は2人に声をかけた。
「え、いいけど」
「珍しいな。こういう店に寄るなんて」
各々反応してくれた。
「日差し強いからサングラスあった方がいいかもしれないだろ?」
2人は頷き賛成してくれた。近寄っていったため、店員にすぐ絡まれるかと思ったが、路面店には1人の店員のみ。俺らが近づく直前に他の客に呼ばれたらしく、絡まれることがなかった。ラッキーだった。ゆっくりサングラスを見れる。サングラス店なだけあって路面店にしては品揃えが
豊富。形も様々。
「それぞれいいサングラス見つけるか」
俺がそう言ったため各々がサングラスを探し始めた。
俺は最初一般的な黒いサングラスを手にしたが、どうもおじさんっぽい。そして、わざわざ旅行先に来たのに普通のものを買うのもなんか違う。いや、絶対違う。変わったものを買うべきだ。
(お…これはまたかなり大きいサングラス)
試着してみた。
(絶望的に似合わん)
外国人サイズであり、尚且つ大きいともなれば日本人の俺にとってそれはサイズの見当違いな訳だ。サングラスに目線の全てを持って行かれる。
「お前らちょっと来てくれ!」
隼人に呼ばれたので、そちらに向かった。服部さんも呼ばれたため集まっていた。
「なんだいなんだい?呼んで」
服部さんが隼人にそう問うと指をさしてこう言った。
「これお揃いで買おうぜ」
隼人の指さす先には、形は同じでレンズの色が違うサングラスがかなりの数置かれていた。
「色違いのサングラスを形はお揃いで。そうすれば写真とか撮る時映えるだろ」
とてもいい提案だと思った。この提案に拒否する気は全くない。むしろ大賛成だ。
「いいね!それやろう!」
俺はノリノリで答えた。
「隼人もなかなかいい提案をするね〜賛成だよ」
服部さんも賛成ということで、色を決めることにした。色を決めるような時は大体その人の個性が出る。
やはり何個か試したが俺は元々色を決めていたので、緑との2択で悩んだけども青にした。その緑は隼人が選んだ。彼っぽい色だ。服部さんはまさかだったが紫を選んだ。1番ピンと来た色とのこと。
「よし、買うぞ」
隼人を先頭にレジへ向かった。値段は日本円で2000円ほど。まぁこんなものだろう。高くもない。買ったところで全員装着した。鏡を見るとまるでお笑い芸人の宣材写真のよう。俺はそれを彼らに言った。
「カッコイイけど…お笑いトリオかな?」
「カラーグラスだからちょっと慣れないだけだと思うんだけどなぁ」
服部さんは言った。それはあるだろう。果たして慣れたらかっこよく見えるのか。あとで3人での写真を撮った時に確認しよう。室内だから違和感があるだけかもしれない。とりあえずその場を後にした。




