20.ショッピングセンター
待っている人もいたので、撮影が終えたことを聞かされた俺たちは足早に看板から立ち去った。撮影し終わった直後に何やら電話していたのでジェームズを呼んだのだろう。
「さて、車降りたとこまで戻りマスよ。とは言っても目の前の道デスけどネ」
ミゲルに着いていき、すぐそこの道路のところで車を待つことにした。だが、期待を裏切らない速さで車は現れた。道路脇に着いたのと同タイミングで車は颯爽と現れた。3人で口をあんぐりとさせた。看板からここまでは本当にすぐそばなのだ。1分もかからない。
つまり、電話をしてから1分以内にジェームズは到着したのだ。本日最速なのではないだろうか。凄いという言葉を通り越して怖い。あまりにも早いのでジェームズの車なのかどうかしっかりと確認したが、合っていた。驚いた顔のまま俺たちは乗車し、車は発進した。
昼ごはんが遅かったこともあり、時刻は昼と呼ぶには遅いという時間になってきた。
「では、次行きマスよ」
さて、次はどこにいくのだろうか。相変わらず誰も場所を聞かないという奇行をしているが、どこかには連れて行ってもらうので構わない。だが、今回俺は満を持して聞いてみることにする。
「ねえミゲル。次はどこなの?」
今まで一切聞かれていなかったのに、今回は急に聞かれて驚いた顔をしているが一瞬驚いただけで、直ぐに答えてくれた。
「ショッピングセンターデス」
「え?」
「ん?ショッピングモールと言えばOKデスか?」
「え、あ、そういうことじゃなくて」
「ん?」
「観光スポットじゃなくて?」
「Yes!!」
これまた予想外なことを言われた。ずっと観光スポットに行っていたため、てっきり次もどこかしらの観光スポットに行くと勘違いしていた。まさかショッピングセンターとは予想もしていなかった。やはり二人もその発言が気になったようだ。服部さんは理由を聞いた。
「なんでショッピングセンターなの?」
「もうこの時間だと観光スポットノ営業時間が終わってくるんデスよ」
「あ、なるほど」
「今帰るには早いノデ、夜までやってるところに行くんデス」
「そこってでかいの?」
「クソデカいデス」
クソデカいなんて日本語を使ってきて衝撃を受けた。そんな日本語も使えるなんて思っていなかったからだ。
さて、行先も決まりあとはゆっくり車に揺られるだけである。幸い眠くはないため、再び目的地で寝起きの悪さを披露することもなさそうだ。安心できる。
「Yeah!!着きましたヨ!」
ミゲルよ。それは人を起こす時の声量だ。残念ながら誰も寝ていないのだよ。着いたとはいえ、まだ車の中。目的地が見えてきたのだろう。
「え、デカッ!」
俺は正直な感想を述べた。
「めっちゃデカい・・」
「良くも悪くもセブ島らしさがないくらい綺麗だしデカいな」
2人も似たような感想だった。日本のショッピングセンターと変わらない見た目をしていて、先ほどまでの観光スポットとは打って変わり、現代を強くかんじるものとなっている。
駐車場はとても広いし、とことん整備されている。イトー〇ーカドーと言われても遜色ない。それほどまでに日本人が抱くショッピングセンター観そのままの見た目なのだ。
意外な状況に慌てふためく我々だが、ショッピングセンター入り口で日本とは違う様相を目撃した。
「ここも警備員いるのか」
そう。かなり体格のいい怖い警備員が入り口に常駐している。不審者を入れないための対策であり、警備員が入り口にいるこの光景は泊まるホテルでも見られた。だけれども、もちろんそんな簡単に見慣れるものでもない。日常で屈強な警備員が見張っている場所なんてものは、日本で見かけることは極端に少ない。日本の治安がいいというのを実感する。
「いやぁぁ普通に立派なショッピングセンターだなぁ」
服部さんは辺りを見渡している。
「かなり有名な店もあるっぽいな。日本のショッピングセンターにいるのと変わらない感覚だ」
「え?隼人。有名な店って?」
「ん?あれだ。服部」
「おぉ!ノース〇ェイス!」
俺もそちらを見たがそこには確かにあの超有名なアウトドアブランドが店を構えていた。日本でもおなじみのブランドなので、日本に戻ってきたのではと錯覚さえ起こさせる。
重大なことを忘れていた。ミゲルがここに連れてきた理由を聞いていなかった。ジェームズも下車しているが、ここで一体何をするのだろうか。
「では、皆サーーン!ここでは自由行動デス」
「え?」
「2時間後にここへ戻ってきてくだサイネ」
「あーーなるほどー」
ショッピングセンターで何をするのかと思えば、何をするのでもなく自由に買い物をしていい時間にするらしい。ツアー旅行ではよくあるフリータイムと呼ぶ時間だ。
「私達も自由に動きマス」
「あ、うん。了解」
「それと、1階にスーパーマーケットあるノデ、買い出ししておいテくださいネ」
そう言い残すと二人はこの場から離れていった。




