White town
冬になると降ってくる雪。
親元を離れ、一人で旅に出る雪の子供たち。
人とは違うのに、どこか同じところを感じる。
これは、僕のある友人から聞いた話である。
ひゅう、ひゅう
サラサラ
ごおおおおっ
冬の町にはたくさんの音が鳴っている
サンタがやって来る待ち遠しい日ももうすぐだ。
カラフルに彩られた商店街
人は少ないはずなのに、夜のほうがキラキラしている
ーーーそんな街を僕は空から見てきた。
いよいよ僕も地上に降りる年が来てしまった。
こんな景色ともお別れなのか。
あのキラキラした街に降りることができるのになんだか寂しい。
母さんも行っておいでと言っている。
何だろうこの気持ち。
これから僕には何が待っているのだろう。
旅立ちの日はもうすぐ。
覚悟を決めていかなくっちゃ。
ーー旅立ちの夜
母さん雲は、僕に最後のお別れをした。
僕のほかにも同じぐらいの年の子がたくさんいた
「僕らどうなっちゃうんだろう」
なんだか心配で心配で近くにいた女の子に聞いてみた。
「私にもわからないわ。でもね、そんな怖いことはないと思うわ。だって、私たちにはお星さまがついているんだもの。これからの生活だって楽しくやっていけるわ。」
「...そうだね、大丈夫だ!ぼくたちには幸運のお星さまがついているんだもん」
なんだか勇気をもらった。
古くからぼくたちを見ているといわれているお星さま。
僕ははっきり見たことはないけど、いることは確かだ。
誰かに見守られているって、こんなにあったかい気持ちなんだ。
ーーいよいよ時間がやってきた。
僕らは地上に降りるために、きれいな服をまとった。
これは全部母さんが作ってくれたものだ。
家であった雲のふちまで来ると、さっきの女の子がいた。
女の子もさっきはあんなことを言っていたけど、少しおびえていた。
僕は、女の子の手を握った。
怖くなんかない。
むしろ、楽しみだ。
女の子と目が合った。二人でぎゅっと手を握って雲を離れた。
ひゅう、ひゅうと風が顔に当たり、
体がサラサラになる。
どんどん下に降りるにつれて、ごおおおおおっと音を立てる。
どれも初めての感覚だった。
恐る恐る目を開けると、たくさんのキラキラした‘’お星さま’’
小さいころ絵本で見たのよりずっとキラキラしている。
あの星でも命を燃やしてつないでいる子たちがいるんだ。
そう思えば怖くない。
となりにいる女の子も、怖がっていたけど流れていく星たちに目を輝かせていた。
「お星さまたちは、本当だったんだ!」
「うん、僕ら会えたね!見ててくれたんだね!」
二人で笑った。
君たちには聞こえないかもしれないけど、あったかい笑顔で、かわいい声で。
楽しい時間はあっという間。
僕たちは空から見ていた町の家の屋根に舞い降りた。
空にはたくさんの筋を描く流れ星。
また違う姿を見ることができた。
お空には僕たちの過ごしたおうちと、母さんがいる。
僕たちの旅はまだ始まったばかり。
これからどんなことがあろうと、お星さまが守ってくれているから大丈夫。
さあ、いこう。
ーーしんしんと降り積もる雪たちは今日も親元を離れて長い長い旅に出てゆくのであった。
これはある友達から聞いたはなし。
この後彼らがどうなったかは、また別のお話。
お読みいただきありがとうございました。
今回が初投稿の作品でまだ慣れない部分もありますが、少しでも僕の作品が皆さんに届いたら嬉しいです( ﹡・ᴗ・ )
雪の降る村から、お送りしました。