第十一話 好きの理由
めっちゃサボってました。
ボーリングの投げる順番的には、くるみさん→美緒さん→俺→桜→紫苑の順番で投げていく。
「じゃあ最初は私からやるね!」
「くるみ、頑張ってください!」
くるみさんのポーズのさまはなかなかに決まっていた…結構やってたりするのかな?
「とーう」
くるみさんの投げたボールは勢い良く真っ直ぐに……ガーターへと落ちていった。
「あれ?おかしーな?」
「ま、まあ…くるみさん2投あるし次決めれば…ね?」
「そ、そうだよね?えーい!」
2投目はなんとか3ピン倒して終わった、くるみさんでも苦手なものがあるんだなぁと思った。
「うぅ…全然ダメだ…」
「大丈夫ですよ、くるみ…私も下手なので気に病むことは無いですよ…」
少し涙目になりながら言っているくるみさんに、美緒さんがなぐさめている。なんかシュールだ…
「さぁ次は私です。くるみの仇は私がとります!」
おぉ!美緒さんがやる気だ…でも初めてなんだよな…ボールの重さで手が震えているし。
「えーい!」
そうして放たれたボールはよろよろと右に行ったり、左に行ったりして、これはガーターだろ…
そして勢いの弱いボールは真ん中のピンに当たり……ストライクだ。
「やったーくるみ!ストライクです!」
「すごーい!美緒てんさーい!」
くるみさんと美緒さんが手を繋いでピョンピョン跳ねて喜んでいるのを俺達男は口を開けて驚いていた。
「す、すごいな美緒さん…あれでストライクって」
「そ、そうですね…すごいですね星空さん」
桜がそう言うと、美緒さんは目を光らせ近づいてきた。
「どうですか?桜くん楽しめてますか?」
「あ、はい…星空さんすごいですねストライクなんて…」
「いえいえ、運が良かっただけですよ」
そうして話し終わると美緒さんが俺のところに来た。
「駿さん駿さん!桜くんに名前呼んでもらっちゃいました!!」
「ああ、うん…良かったね」
ええー、こんなので喜んでたら付き合ったらどうするんだよ…まぁ好きな人から名前で呼んでもらうのは嬉しいことだけど。
「おい、駿次はお前の番だぞ」
「あ、おう」
そして次は俺の番だ。
ボーリングは別に苦手じゃないけど、最下位は阻止したいな、くるみさんも見てるしかっこいいとこを…
そして俺の一投目……
「ガ、ガーター…」
「駿先輩ドンマイです」
「駿!ちゃんと真っ直ぐだったぞ」
「駿くんレーン乗ってたらストライクだったよ(笑)」
「う、うるさいよ!」
ヤジを飛ばしてくる、くっ…くるみさんの前で恥ずかしい…
そして俺の二投目は……4ピンしか倒せなかった。
「あはは、駿くん私と同じくらいだね」
「い、いやーもちょっとイケると思ったんだけどなー」
めっちゃ恥ずかしいー何が最下位は阻止したいだよ…もろ最下位争いにいるやん!
すると俺の前を産まれたての小鹿のように足がプルプル震えてる桜が通った。
「おい桜、大丈夫か?」
「だ、大丈夫です…ボールが重くって」
「じゃあもうちょい軽いのを…」
「いや、これが一番軽いやつなんです…」
お前…女の子みたいだけど、一応男だろ…
そしてレーンの前に立ち、めっちゃ足をプルプルさせていた。
「桜くん頑張ってください!」
「桜ー頑張れ」
そして桜の第一投は…ガーターまぁ予想はできてたけども…
「桜気にすんなー」
「は、はい!」
そして二投目もガーターだった…なんて可愛そうなやつなんだ。
「ううぅ…先輩…」
「ああぁ、よしよし、ドンマイドンm……はっ」
泣きそうな桜をなだめようとすると後ろから二つの殺気を感じ、後ろを振り向くと…美緒さんと紫苑が睨んでいた。
「桜くんに近づいてんじゃないですよ」
「俺の駿に色目使ってんなや…」
2人とも小声でめっちゃ怖いこと言っていた……聞かなかったことにしよう。
「あ、次紫苑くんだよ」
「おい、紫苑次お前だって」
「おう」
なんかイケメンがボーリングやってると何故か上手そうに見えるのはなんでなんだろう。
まぁこれでガーターでも出したら笑ってやr…
「おい!駿見たか!ストライクだ!」
くそーー
そして、なんやかんやあって…最終ゲーム、初心者の美緒さんとホモの紫苑が上位争いをし、未だにスコア二桁の最下位争いをする俺とくるみさんと桜が接戦の最下位争いをしている。
そして俺の番になった…くるみさんとは8ピン差、9ピン倒せば俺は最下位にならくていいけど…くるみさんに罰ゲームやらせるのもなあ…
「じゃあ、駿行きまーす」
俺は4本倒して、俺が最下位になった…まぁ桜やくるみさんに罰ゲームやらせるわけにもいかないしな。
「じゃあ駿くんが最下位ってことで!ジュース奢りありがとうございます!」
「「「ありがとうございます!」」」
「じゃあ行ってくるよ、みんな何がいい?」
「私安いやつでいいよ」
「俺もそういうやつで」
「桜と美緒さんは?…ってあれ?2人は?」
「あれ?さっきまで居たのに、どこ行ったんだろうね?」
「ちょっと探してくるよ」
俺は2人を探しにボーリング場を探し回っていると非常階段の扉の前で2人がいた。俺はすぐに隠れられるとこに隠れた。
「ごめんなさい桜くん、こんな所に連れてきてしまって」
「いえ、星空さん…それで話って」
「あ、あの桜くん…わ、私と付き合ってくれませんか?」
……………………
「え…あの…ごめんなさい、僕、駿先輩と付き合っているんです」
「やっぱりダメですか…ごめんなさい桜くん変な事言ってしまって」
「いえ、あ、あの…やっぱり男の人と付き合うって言うのは変な事なのでしょうか……」
桜そんな事考えてたのか…
「いいえ、愛は人それぞれです。その愛を自分の想うようにする事は大切な事ですよ」
「あ、ありがとうございます」
「さあ戻りましょう、先に戻っててください。あ、今の事は忘れてください。変な距離を作るのは好きじゃないので」
「は、はい…」
そうして桜は紫苑達がいるとこに戻って行った。
「で…駿さん何やってるんですか」
「ご…ごめん盗み聞きするつもりは無かったんなだけど」
「説得力ないですよ…まったく…」
美緒さんは呆れたのかため息を吐く。
「ねぇ…美緒さん、何で桜を好きになったの?」
「そうですね…昔好きだった男の子に似てたからもしれませんね。その子は優しくて、芯のある男の子でその男の子が好きだったため、似ている桜くんに一目惚れしたのかもしれませんね」
「そっか…」
「さあ私達も戻りましょう。くるみが待ってます。」
「うん…あ、ジュース買ってくる…」
「ふふ、早く行ってきてください」
その時の美緒さんの顔は何か吹っ切れたかのように晴れ晴れした笑みだった。
コロナ消え去れ