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窓から見える庭で


ちょっとしたことで片足を骨折した。

折れた面も奇麗だということで、入院せずに自宅療養となった。

仕事も休みになるし、家族に迷惑がかかるし、でも動けないし、大変で。

1日中家の中にいるなんて、滅多にあることじゃなかったから、結構退屈。

家の中で、ベッドに横になってスマホで動画見たりTVを見たりして

時間を潰す毎日。


俺の家は2階建てで庭があるんだけど、俺の部屋は2階にあって、窓からは庭の様子が見えるんだ。窓を開けていると裏の家の物音とか、隣の家の会話とかがなんとなく聞こえてくる。

その日も窓を開けていたから、その音が聞こえてきたんだと思う。


誰かが庭を歩いている。

だけれど、普通の靴で歩く音とは違う。

枝を地面に刺す音、複数の細い木が擦れる音。

それが聞こえてくる。

それで、上半身を起こして、窓から庭の方向を見た。

枝で組まれた、枝人間が歩いていた。


ウィッカーマンって知ってるかな?

ドルイド信仰で使われる生贄を中に入れて燃やす、柳とかで編み込まれた人形。

それにそっくりだった。


本当は大きいんだけれど、庭にいたのは身長は180センチぐらい。

中には犬や猫が入っているらしく、鳴き声が聞こえている。

顔には木を彫って作られたらしい、仮面をつけていた。


目の錯覚かと思って、本棚とか掴んで立ち上がった。

骨折した足が痛んだけれど、そんなものが庭にいたら確認するだろ?


それで、窓からちょっと身を乗り出して、庭を徘徊している枝人間を観察した。

枝人間は関節がないらしく、体ごと左右を交互に出して移動していた。

子供が人形を手に持って、歩かせる様な動き。


一歩足が前に出る度に、ギシギシと体を構成している枝が音を立てて、足が地面に接触する度に、ザクザクと枝が土に刺さる音がしている。

組まれた枝の中に入っている犬や猫は、枝人間が動く度に揺れて鳴いていた。


俺は嫁を呼ぼうとして、買い物に出かけている事を思い出して、骨折しているから動けないし、どうしたものかと思案。


そしたら、枝人間が庭から垣根かきねを突っ切って隣の家に移動して、見えている範囲から出て行ってしまった。

変なもの見たな……とか思いながら、その日はベッドに戻ったんだけれど。


翌日に知ったのだが、その日に隣町で火事があったんだって。

出火は俺が枝人間を見た3時間後だったらしい。

火の気のないところでいきなり出火して、そこに住んでいた人は亡くなったって。

そこに住んでいた人はペットを飼っていなかったのに、現場には何故か犬と猫の焼死体があったと聞いている。


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