解体処理
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これはクラスメイトの父親が叔父にあたる猟師から聞いた話。
その父親の叔父をOとしよう。
猟で取られた鹿や猪などは、猟師の手により吊るされ血抜きをされて、皮を剥がされて解体される。この時、直前まで生きていた動物の肉は、神経の反応により反射運動をするらしい。
足が生きている時のように、宙を掻くように動くのだ。
ある日、Oがまだ猟師になりたての頃。
運良く鹿を仕留めた。
首に1発命中させて仕留めたらしい。
Oは弾丸を取り出す為に首を切り取り、解体する為に全身の皮を剥いだ。
しかし、解体を急ぎすぎて手順を飛ばしてしまった。
その直後、皮を剥いだ肉の塊が4本の足を動かし、解体小屋から逃げたのだ。
Oは動き出した鹿肉に驚いて動けなかった。
どこかで倒れているだろうと周囲を探したりもしたが、見つからなかった。
その後になって変な噂が流れた。
山の中で、皮を剥がれた動物が、駆け回っているという噂だ。
Oは逃した鹿肉だと思った。
その噂は現代になっても時々囁かれ、その山では見たという人が今だに出てくる。
鹿だった首のない肉の塊は止まりもせずに、狂ったように永遠に野山を駆け回っているという。




