雨の日の出来事
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小粒でまばらな雨が降っていた日の出来事
いつものバス停に並んでいた
停留所の表示板の横には
折り畳み傘をさしたサラリーマン
ショルダーバッグを提げた化粧の濃い主婦
キャラクターの描いてある傘をさして、レインコートを着た子供
ヘッドフォンをして、スマホの動画を見ている女子高生
最後に傘をさした俺
その順で列ができていた
バスが来て、傘をさしていた人は傘を畳みながら乗っていく
行列が前に進み、俺の前には子供と女子高生になった
俺は横を向いて、さしていた傘を畳んで水滴を振り払う
女子高生の後を、前を見ないでついていく
そして、顔を乗車口に向けた
バスの入り口でレインコートを着た子供が、手をオイデオイデしていた
片手にはキャラクターが描かれた畳まれた傘
その子供には首から上がなかった
首の傷口からは赤い液体が溢れ出していて、レインコートの表面を流れていた
俺はそこで動けなくなった
バスは少しだけ俺を待っていたけど、直ぐに発車してしまった
子供はバスの中で手を振っていた
その日にしか首のない子供を見かけたことはない
それ以来、傘をさしている人を見ると、顔を確認するようになった
分かりにくいと分かっていても書いてしまう雰囲気系
傘をさしている人の顔が見えていないのと
“俺”以外の人に子供が見えていないのと
女子高生がスマホみてて前の人との間隔を詰めてないこと
それが伝われば成功




