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縄張り争い


これはクラスメイトが田舎の爺ちゃんから聞いた話

その爺ちゃんをGとする

方言とかよく分からなくてうろ覚えなので標準語で書く


Gは若い頃森林の伐採をしていた

木材を確保する仕事だ


Gが仕事をしていた山には祀られている山神様がいて

同僚のFもその神様を信仰していた

信仰と言っても神社の清掃とか神棚に木札を飾るとか一般的なものだ


そんなFがある日こんな事を言い始めた


「どこからか笛の音がする」


いくら耳を澄ましてもGにはそんな音は聞こえてこない


「気のせいだろ」


たまに作業中に大きな笑い声や木が倒れる音を聞いたという話を聞く

大体が空耳だったで済む話なのだが

Fの場合は違った


「笛の音が気に障って集中できない。探してくる」


そう言って山の奥に向かったらしい


Gは慌てて持っていた道具を置いて後を追ったのだが

数歩ぐらいしか差がなかったのに姿を見失ってしまった


夜になってもFは帰ってこなかった

翌日、警察の捜査にGも加わって山を捜索することになった

だが、それでも見つからなかった


Fの遺体が3日後に山頂で発見された

死因は溺死だった

肺を満たしていたのは海水だった

そう警察から知らされてGは肝を冷やした


Fが山に姿を消す前の日に


「上から言われて山奥にある石像を壊す」


そうFが言っていたのだ

“上”というのは神様のことだろう

石像とは、大昔から山に存在している名前も知られていない祠に鎮座している、あの地蔵のような大きさの石像のことだろう

Gが慌てて石像の様子を見に行くと

そこには石像の破片しか残っていなかった


クラスメイトがGに頼んで描いて貰った石像の絵はクジラに似ていたそうだ


その山の近くにある崖下の地面からは岩塩が取れることがあるそうで

大昔にはGが作業していた山以外の場所は海だったのかもしれない


この話を聞いた時に「クジラの鳴き声が笛の音に聞こえるわけが無い」と

突っ込みを入れたのを覚えている


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