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赤茶




これは夏の日、俺に起こった奇妙な話


ノドが渇いていた俺は一杯分のお湯を沸かして麦茶を淹れた

それをガラスのコップに入れて飲もうとしたところ、ある事に気づいた

お茶の色が真っ赤になっていたのだ

まるで血を水に垂らしたような赤


少し不思議に思った俺は、ヤカンの底に張り付いてたお茶の葉が入った袋を菜箸で取り出して、まな板の上に乗せて確認した

市販のティーパックの中に、なんだか生肉の塊みたいな物が入っていた


異物混入かよっ! と思って

商品のパッケージに書かれていた会社に電話して

「こうれこれこういうものが入っていたんですけど」ってクレームを入れた


そしたらティーパックの大きさを聞かれて、測ってみたら商品の物と大きさがまったく違っていた

肉の入っていた袋は3mmほど小さかった

それを伝えたら

「それは我が社の商品ではありません。どこからか混入したものでは?」

って言われて購入した店の名前を聞かれた


そこで俺は文句を言う気持ちがしぼんでしまった

確かにお茶の袋なんて適当に置いているし、家族の誰かが何か別の用途のものを混ぜてしまった可能性はないとは言えない

そう思った俺は電話対応の人に謝罪して電話を切った


それで、生肉みたいなのが入っていた袋を確認しようとしたんだけど

まな板の上に置いてあったはずなのにない

床を這って探したけれど床には落ちていない

部屋中探しても見つからない


代わりに見つけたのは流し台の上にある換気扇に繋がる赤い筋

壁に残っていたその筋を触ってみた

ナメクジが出すような粘つく液体だった

まるで何か赤い汁を出す生物が這ったような跡

俺は置いてあるガラスのコップに入った真っ赤な液体をトイレに流して捨てた


もし、あの時に気づかず赤いお茶を飲んでいたらと思うと

……ゾッとする


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