9 メッセージ
「玲子ちゃん、来客とか仕事の依頼は無かったかい?」
奥の席に着くと俺は秘書に尋ねた。
「さあね、もうこのやり取り飽きたから。いらっしゃいませ、ご注文はお決まりでしょうか?刑事さんがあなたのことを聞きに来たけどね。別に犯人とかの背景調査みたいなものであなたに用があるとは言ってなかったわ」
なるほど、容疑者の確認に来たが、俺には用がないと内海刑事の相棒さんかな?。
「じゃ、ミルフィーユとコーヒーね」
「かしこまりました」ウェートレスモードの玲子ちゃんが戻っていった。
「はい、コーヒーとミルフィーユね。さっき言い忘れていたけど、これ」
渡された真黒な封筒を開けると中には、写真と便箋が一枚。
「きゃ、う、なによこれ!」写真を覗き込んだ玲子ちゃんが悲鳴を飲み込む。写真には台所に並ぶ二つの生首、北条姉弟のものだ。便箋には一言『好奇心は身を滅ぼす』とあった。
「これは、どうしたの?」
「ええ、いつの間にかレジに置いてあって。探偵さんへって書いてあったから」
「はは、ドッキリ写真だよ、ほら合成、此のあたり影が複数映っているだろう、ね。いたずら好きの依頼者がいてね。困ったもんだね」俺は、写真を仕舞うとへらへら笑った。
「なーんだ、変なもの見せないでね」来店者が来たのを機に、玲子ちゃんは対応に向かった。
さて、揺さぶりに乗って来たか、このタイミングなら間違いないだろう。一応指紋とか撮影時間の特定とかやってみるか。これで、XYZ製薬がますます怪しくなったぞ。
俺は、ミルフィーユを堪能しながらスマフォを使って写真解析を開始した。うん、美味い、思わず笑みが零れた。