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8 解析

2017.5.25 一部修正

 俺が二杯目のコーヒーを飲み終わるとちょうど、解析結果が画面に溢れ出した。ふむふむ、こんなものかなあ。遺伝情報の解析に結構予算を掛けているなあ、しかも人だけでなく、人と他の動物を掛け合わせたときの仮想新生物のシミュレーション解析も半端ない予算規模でやっているなあ。

 あと、実験結果で顕著なのは最近治験者に記憶力の向上、身体能力の向上、治癒能力の向上が見られることとか、頻繁に他社の遺伝情報解析データをハッキングしていた形跡があったり怪しさ満点だった。

 

 「ああ、お仕事中貴重なお時間を頂いて、恐縮です。早速ですがここの研究員だった北条由紀さんの研究はどういった内容だったのでしょうか?やはり、新薬の開発ですか」俺は、死んだ内海刑事の相棒に変装してXYZ製薬に来て、研究開発課長に対して捜査に協力してもらっているところだ。まあ、揺さぶりを掛けているともいうけどね。

 「いえ、彼女はヒト遺伝子と他の生物の融合による治癒能力の向上をテーマとして仮想のシミュレーション実験を行っていました」

 白衣を着た南条結城なんじょうゆうき課長は、資料を該当箇所までスクロールさせると俺に見せてくれた。そこには指一本欠損したとき、目玉を欠損したときのイモリと融合した場合とプラナリアと融合した場合のそれぞれについての比較が表とグラフで詳細に記述されていた。おお、プラナリアと融合した場合の再生力は半端ねーな。


「しかし、この研究について確かに興味ありますが、たしか遺伝子の融合とか日本では禁止されているのではありませんか?」

「そのとおりです、だからあえてシミュレーションで細々と研究しているのです。今後、必要性等が認められ研究環境が整ったときに、いつでもすぐに実験へ移行できるようにね」結城課長は出来の悪い生徒を諭すように微笑んだ。

「北条由紀さんは、気付いてしまったのではないですか?シミュレーションだけではなく実際に遺伝子の融合実験が行われていることに、その為に殺されたのではないですか?」

「何を証拠に。第一そんな実験を今の段階でできる訳無いじゃありませんか。規制で雁字搦がんじがらめのこの日本で」南条課長は、興奮気味に否定すると、このあとミーティングがあると言って俺に退去を求めた。

「じゃ、次は証拠を持ってお伺いしますよ。では、失礼」俺は、XYZ製薬を出ると駅のトイレで通行人Aに変装すると電車を三本ほど乗換えて尾行を巻いた。



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