第28話 正義の鉄槌、悪滅決済!
エレメンタルロッドを振りかざし、振り回し、ジャステッカーは人権警備隊の隊員たちをなぎ倒した。
突かれ、払われ、叩きのめされて20名の隊員たちは残らず地に転がり、突っ伏した。
ジャステッカーは銀の長棍の先を棒立ちになった隊長の美織に向けた。
美織の手にはいつの間にか発射スイッチが握られている。
「こ…これ以上、近づくとスイッチを押すわよ」
美織の声が震えている。突如、出現した異形のものに部下を全員倒されたのだ。その力は絶大にして圧倒的であった。
「美織、もうよせ……」
ジャステッカーが美織に向かって抑えた口調でいった。
「その声は……!」
どうやら声の主に気づいたようだ。美織はガスマスクをはぎとり、深紅の仮面を凝視した。
「白坂…くん……?」
「もうすぐ自金党政権が誕生する。そうすれば民衆党はおまえたちを見放し、罪を被せるだろう。おまえたちは使い捨ての駒に過ぎなくなるんだ」
「それでも構わない。元々わたしは民衆党なんかにはこれっぽっちも期待していない。わたしの理想を実現してくれるのは龍国よ、龍国労産党よ。
龍国労産党と人民弾圧軍の力を借りて、わたしはこの宇留川市を独立させる。
貧困も格差もない、真の平等社会をこの地上に出現させるのよ!」
「きみのいうその平等社会は龍国が統治するのだろう。自由もなにもない、権力者に監視された抑圧社会がきみの理想なのか?!」
「問答無用!」
美織はスイッチを押した。
だが――
6連装ロケットランチャーは沈黙したままだ。
「そんな……」
ロケットランチャーの陰からひとりの男があらわれた。
「城島くん……」
「……美織、久しぶりだな」
城島渡は切断されたコードの端を美織に投げた。
「おまえの負けだ……北条美織」
「まだよ、わたしは――!!」
――と、そのときだ、倒れた人権警備隊の男たち三人が突如、立ちあがった。
ガスマスクをかなぐり捨て、口からよだれを垂らしてうなり声をあげている。
「この男たちは?!」
ジャステッカーが城島渡に向かって質す。
「前世魔族だ」
「前世魔族?」
「こいつらは人間に転生する前、魔界の眷属だったものたちだ。ジャステッカー、カードホルダーからライトニングステッカーをだすんだ」
「これか?」
ジャステッカーが三枚のライトニングステッカーを取り出す。
「それをこの男たちに張り付けろ!」
「ライトニングステッカー!」
「うぐぎぎゃあああーーッ!」
耳骨を軋ませる不快なうめき声を発して、その男たちは真の姿をあらわした。
眼は吊り上がり、口は耳元まで裂け、額の真ん中からは鬼を思わせるねじれた一本角が生えている。
「あああ……!」
これには隊を率いていた美織も驚いたようだ。その場に凝然となって固まっている。
「これが……前世魔族……」
ジャステッカーがエレメンタルロッドを構え直し、つぶやくようにいう。
前世魔族が前のめりの低い姿勢をとって襲いかかってきた。
「ビルドステッカーだ!」
「ビルドステッカー!」
ジャステッカーは宙高く跳躍すると、カードホルダーからビルドステッカーを取り出して三人の前世魔族に向かって放り投げた。
音声入力されたビルドステッカーが5メートル四方の大きさに拡張され、三人の魔族を投網のごとく押し包む。
「ジャッジメントハンマー!」
エレメンタルロッドの先が巨大なハンマーに変化する。
「正義調印! 悪滅決済!」
魔族を包んだビルドステッカーに押される『滅』の文字!
「ずぎゃぎゃぎゃぎゃあああああーーーッ!!!」
紅蓮の炎に焼かれて、前世魔族のものどもは残らず灰となった。
「美織……」
戦いは終わった。振り向くと美織は姿を消していた。
「よくやった。ジャステッカー」
「ありがとう渡。おまえのおかげだ」
光太郎はジャステッカーの仮面をとると、近寄ってきた渡に向かって右手を差し出した。
だが、渡はその手を握ろうとせず、スッと光太郎の前に跪いた。
「渡……!?」
「初勝利、おめでとうございます。光太郎様」
城島渡は光太郎に対し臣下の礼をとった。友達の関係は終わったといわんばかりに……。
つづく
才能…て枯れるものだなあって某長編大河ファンタジー小説を読んでつくづくそう思ふ、今日この頃…(-_-;)




