表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦闘市長ジャステッカー  作者: 自由言論社
第4部 ビギニング! 戦士の誕生
51/65

第17話 ラベンダー


ラベンダーの匂いだろうか?

さわやかな花の匂いに鼻孔をくすぐられて光太郎は目覚めた。


「あっ、気がついたんですね」


ベッドから半身を起こすと、光太郎は意外な人物が傍らに立っているのに気づいた。


「美由紀……ちゃん?」


高校時代に付き合っていた恋人、北条美織の妹の美由紀であった。

最後に別れたのは彼女が中1のころだろうか、いまではおとなの女性としての佇まいをみせてはいるが、面影は残っている。


「そうです。美由紀です!」


美由紀がはずんだ声をだした。


「ぼくはどうして……ここに?」


「道端に倒れていたのを偶然発見して。最初は光太郎さんだと思いませんでした」


光太郎は身につけている服をみた。ピンク色のパジャマだ。


「着ていた服はその……汚かったので洗濯機に」


美由紀が遠慮がちにいった。汚いのは当然で、3年間も着の身着のままで酷使されてきたのだ。


「やっぱり……あそこにいたんですか?」


噂として市民の耳に入っていたのだろう、“人権侵害者”の烙印を押されたものが、龍国総領事館で強制労働に就かされていることを。


光太郎は多くを語らず、こくりとうなずいた。

美由紀は面を伏せ、まぶたを押さえた。


「ひどい……」


「ここは美由紀ちゃんの……」


部屋のなかをぐるりと見回して光太郎はきいた。

白とピンクに囲まれた女性らしい内装の部屋で、机の上にはラベンダーの鉢植えがあった。


「そうです。一瞬、病院に運ぼうと思ったのですが……」


「ぼくが脱走してきた可能性もある……」


「そうです。だからタクシーの運転手さんに協力してもらい、あたしの部屋まで運びました」


「脱走じゃないよ。突然、釈放――釈放という言い方はおかしいな。つまり解放されて外へ放りだされたんだ」


「あそこへ入ったひとは二度とでてこられないと聞きました」


「なにかの力が働いたのかもしれない。それがなにかはぼくにもわからない」


光太郎は美由紀がいれてくれた紅茶を飲んだ。


「うまい……。紅茶がこんなにうまいなんて……」


光太郎は素直に感動した。固い石みたいなパンと粗末な芋粥だけで3年間を過ごしてきた光太郎にとって、砂糖とレモンの入った一杯の紅茶はこのうえない滋味に思えた。


「ゆっくりしていってください」


「ありがとう。……ところで」


光太郎はそこでいったん言葉をきった。なぜか聞くのをためらう自分がいた。


「姉なら忘れてください」


乾いた声で美由紀がいった。


「美由紀ちゃん?」


穏やかで優しい美由紀の表情が一変している。

つづけた美由紀の言葉は光太郎を驚愕させた。


「姉はいま、人権監視委員会の幹部なんです」



つづく


祝! 50回突破!…といってもだれもお祝いしてくれないんだよなあ…トホホ(-_-;)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ