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戦闘市長ジャステッカー  作者: 自由言論社
第2部 日狂組の野望を砕け!
20/65

第5話 巻枝の正体


非常階段から地上にでた巻枝は東棟本庁舎の5階大会議室を見上げた。

窓から黒煙がもうもうと噴き出ている。


「やった。成功だ!」


巻枝は勝利のガッツポーズをあげた。

これで落ちこぼれの生徒ともども忌まわしい市長を爆殺することができた。

あとは優秀な生徒たちを更に洗脳してアカヒ新聞に送り込めばいい。

巻枝は足取りも軽く、街外れの資材置場に向かった。

大小の土管が積み上げられた一角にゆくと、スマホを取り出し、番号をタップする。

数回の呼び出し音で通話相手とつながった。


「置石支部長、巻枝です。見事、成功しました」


「そうか。それはめでたい。よくやった!」


通話相手は宇留川市議会議長の置石であった。前述したとおり、彼は日狂組宇留川支部の支部長も兼務している。

置石はこの度の市長爆殺計画の立案者なのだ。


「これで狂犬臭会も無事、市民ホールで開くことができる。巻枝、この功績を称えておまえを宇留川の副支部長に推薦してやろう」


「わたしを、副支部長に! ははーっ、ありがたき幸せ!」


巻枝はスマホを耳にあてがいながら何度も頭をさげた。


「わたしの右腕としてこれからも洗脳教育に邁進してくれ」


「それはもう、もちろん。戦前の日本の悪を吹いて吹いて吹きまくります」


「期待しておるぞ」


「では、失礼いたします」


もう一度深々と一礼すると、巻枝は通話をきってスマホを懐におさめた。


「ふふふ、このおれが副支部長か。いや、この程度では終わらぬぞ。いずれ中央の執行役員になって選挙に出馬だ。当選したら国民の税金をつかいまくってやる」


「そうはさせぬぞ、日狂組!」


いきなり頭上から声が降ってきた。

独り言にツッコミを入れられ、巻枝が声の方向を振り仰ぐ。


積み上げられた土管の頂上にそいつはいた。

紫紺のマントを翻し、漆黒のラバースーツに身を包んだ深紅の仮面の男。


「おまえはッ?!」


巻枝が驚愕の表情を貼りつけて思わず問う。


「天にきらめく愛の星、絶対正義ジャステッカー!」


ジャステッカーが腕を左右に振り、左腕を前に、右腕を天高く突きあげた。


「おまえが噂のジャステッカー! おのれッ!!」


巻枝の額の中央部がもこもこと盛りあがり、皮膚を突き破ってねじれた一本角があらわれた。

犬のように長い舌をだらりと垂れてその場に四つん這いとなる。

まさに狂犬の格好だ。巻枝は前世魔族のなかでも一際凶暴なオオカミ族の一匹なのだ。


「エレメンタルロッド!」


ジャステッカーが銀色に輝く長棍エレメンタルロッドを構える。


狂犬巻枝が地を蹴り、ジャステッカーに向かって飛びかかった。

ジャステッカーも宙を飛び、巻枝を迎え撃つ!

果たしてジャステッカーは前世魔族の本性をあらわした巻枝に勝てるのだろうか!

頑張れ、我らのジャステッカー!


つづく


「私たちは怒ってます」のジジイたちはなぜ公開討論会をシカトしたのだろう?日本にちゃんとしたジャーナリストはいないのか?

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