表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/30

僕の人生を変えた恋人13

2013年12月24日。


今日の夜は、4人で兄のレストランに行くんだけど、店が忙しいので、僕と凛ちゃんは店からレストランに向かう。


舞ちゃんを1人で行かせるわけにはいかないので、慎二と2人で行ってもらうんだけど…


何だろう?


このモヤモヤした気持ちは…?


舞ちゃんの事が心配なのかな…僕…?


慎二が、凛ちゃんに告白するっていうのも、何だかちょっと…


でも、慎二は良い奴だから、彼女達のどちらかがあいつを好きなら、応援しないとね。


あ、もうこんな時間だ。


そろそろ店はスタッフに任せて出掛けるかな。


凛ちゃんは、まだ工房でアクセサリーを作っている。


【工房】


「凛ちゃん。そろそろ上がる時間だよ」


「え?もうですか?夢中で作ってたら時間がわからなかった」


凛ちゃんが着替えて来るまで、僕は、パワーストーンのイヤリングを作って待つ事にした。


冬は、透明感の有る石より、深い色合いの物が良く売れるんだ。


ラピスラズリで作るかな?


ブルーの石に、綺麗な金の出てるやつを選んで作る。


ここを、メガネ留めして繋いだら出来上がりだ。


「オーナー。お待たせしました」


「はーい」


って、え?


凛ちゃんだ。


あ…


「どうしたんですか?」


「え?あ…」


つい、見惚れてしまった。


「何だか、とっても…綺麗だよ」


「え?」


「あ、アクセサリー…そうだ、これプレゼント」


用意していたプレゼントを凛ちゃんに渡した。


「後で渡そうと思ってたんだけど、せっかくオシャレしたのに、アクセが無いとね」


凛ちゃんは、プレゼントを開けている。


「うわあ…」


「そのワンピースに合うと思うよ」


プレゼントを見て固まっているけど…


気に入らなかったのかな?


あんなに言ってたのに?


「ありがとう、すっごく嬉しい」


アゲートのクリスマスカラーのブレスとネックレス。


喜んでくれて良かった。


早速つけている。


やっぱり、よく似合っているな。


さて、そろそろ行かないと。


店を出て、駅に向かう。


【吉祥寺駅】


井の頭線の急行に乗った。


始発だから座れた。


久我山で、お年寄りが乗り込んで来た。


僕達は、席を立ってドアの所に行った。



「ありがとうございます」


「いえいえ」


1人のお婆さんが、わざわざお礼を言いに来てくれた。


「「どうぞ」って言えば良いのに、黙っ行っちゃうんだから」


「お礼を言われるのが恥ずかしいから、いつも黙って動くんだけど…」


「変な人ね。それでわざわざお礼を言いに来てもらったら、かえって悪いじゃない」


「そうだね」


「でも、優しいのね」


「普通でしょ?」


下北沢で大勢乗り込んで来て、押し潰されそうだ。


ドアの所で、凛ちゃんを守るように立っている。


何だか…ちょっと、くっつき過ぎだけど、満員電車だから仕方ないよね。


ああ、そんな事考えてたら、ドキドキしてきた。


電車が揺れる。


押されて彼女の顔が、僕の胸にくっついている。


心臓の鼓動が聞かれちゃいそうだ。


渋谷までもう少しだから、平常心、平常心。


え?


凛ちゃんが、ドキドキしてる?


いや…


考えるのは、よそう。


そう、そうしてくれると助かる。


凛ちゃんは、窮屈な中何とか動いて、自分の胸の所に手を持って行った。


ホッ…


もう少しで渋谷だ。


渋谷で降りて、銀座線に乗り換える。


【渋谷駅】


「東京の電車って、こんなに混むのね」


乗り換えルートもいつもながら凄い人の流れだ。


凛ちゃんは、少し戸惑っているみたいだね。


そういうところが可愛いんだよな。


仕方ないから、彼女の腕を掴んで移動するか。


「あ…」


「こうしないと、流されちゃうからね」


【銀座線】


「2つ目の駅だから」


「うん」


「一駅が近いのね」


「そう?」


そうか、地方の電車は一駅が長いんだな。


外苑前で降りると、246を表参道に向かって、南青山3丁目の交差点を右に曲がった所に兄のレストランが有る。


【レストラン】


「いらっしゃいませ。菱様、お連れ様がお待ちでございます」


慎二と舞ちゃんの待つ席に案内された。


「ありがとう」


「お前がこっちに座ってどうすんだよ」


僕は、慎二に言われるまま、舞ちゃんの隣に座った。


「ご注文は、いかがなさいますか?」


「お任せでお願いします」


「ワインはどちらになさいますか?」


「ソムリエにお任せで」


「ボルドーがお好きでしたね?」


「はい」



凛ちゃんがプレゼントを渡してくれた。


「そうだ、俺も」


「私も」


凛ちゃんの、ハンドメイドのペンダントヘッドだ。


馬のリアルなやつだね。


「これって、この前隠したやつ?」


「アハ、見られてた?」


「ぶーニャンを、ゆる~くデザインしたのも可愛いよね」


「そっちが良かった?」


「今度社割で買う~」


舞ちゃんのは…


「うわぁ…」


満月の夜、星の中に居るユキ達を描いた油絵だ。


「部屋に飾ろうかな…店に飾って皆んなに見てもらった方が良いかな?」


僕からは、シュシュとイヤリング。


「ステキ、星空みたい…綺麗なブルーね」


「フェルメールブルー」


「天空の破片?」


「そう。幸運を呼ぶ石、ラピスラズリ」


「これがラピスラズリなのね。本瑠璃の絵の具は、中々手に入らないのよ」


「ラピスは水に弱いから、気をつけて」


「何だ、みんな手作りとかだな。ブランドのバッグとかじゃないのか?」


「そういうのが良かったのかな?」


「そんな事ないよ。好きなブランドとか無いもん」


「私も無いわ」


ソムリエがワインを運んで来た。


「95年のシャトー・クリネでございます」


テイスティングした。


メルロー80%で、タンニンの穏やかな赤ワインだ。


「大丈夫です」


「菱。春風姉妹の視線を集めてるぞ」


「え?何で?」


「今度は俺がテイスティングする。お前にばっかりカッコつけられちゃかなわんからな」


あ…そういう事ね。


面倒だから、誰かがやってくれた方が僕は楽だよな。


慎二は、今日凛ちゃんに告白するんだ、って言ってたけど…


食事が終わって、凛ちゃんが席を立った。


お化粧を直しに行ったみたいだ。


慎二が後を追ったぞ。


通路で待っているみたいだな。


あ、メールだ。


え?慎二から?


「この後2人ずつになるぞ」って。


え?


慎二の奴、何考えてるんだよ。


「どうするつもり?」と返した。


「そりゃ、朝まで2人だよ( ̄▼ ̄*)」と返って来た。


朝まで、って…


「ダメだよ。2人ともちゃんとうちに連れて帰らないと( ̄^ ̄)ゞ」と送った。



「凛ちゃん」


「本宮さん、何してるんですか?」


出て来た凛ちゃんを捕まえて、何か話しているぞ。


「凛ちゃんを待ってたんだよ」


「???」


「これから2人で呑みに行かないか?」


「どうして2人?何か…やらしい事考えてます?」


「そういう事言う?」


「………」


「凛ちゃんて、付き合ってる人とか居るのか?居ないなら俺と」


「4人でなら、良いですよ」


戻ろとする凛ちゃんの腕を慎二が引っ張った。


「キャ」


「俺と付き合わないか?」


2人は、中々戻って来ない。


「何してるのかしら?」


あ、戻って来た。


「お姉ちゃん達、これからどうするの?」


「おば様に心配かけるといけないから、帰りましょう」


「そうね」


「そりゃないだろ」


【葉月家のリビング】


「あら、お帰りなさい。遅くならなかったわね。良い子良い子」


お姉さんは、母とワインを呑んでいる。


この2人、親子みたいに仲が良いんだよな。


「あなた達も呑む?」


「うん」


何だか、女子会に紛れ込んだみたいになってるぞ。


「どっちがお嫁さんに来てくれるのかね?」


「私は、どっちでも歓迎よ」


「うちは、お嫁さんをいじめないからね」


って、2人とも酔ってる?


何を言い出すんだかなあ…


「良いなあ、仲良くて」


「理想よね」


「男の子2人だからね、娘が欲しかったのよ」


「お姉ちゃん、お嫁に来れば?」


「凛こそ来れば?」


譲り合うかあ?


「2人とも、うちのお嫁さんになっちゃいなさい」


無茶だって。


あ、メールだ…


慎二からだ。


「凛ちゃんにフラれたー(T▽T)」だって。


何て慰めたら良いんだろ?


あ、また来た。


「好きな人が居るみたいだぞ」って、そうなの?


大学で一緒の人かな?


何だか気になるぞ。


「菱ちゃん。もう1本開けて」


「今度は何?」


「何でも良いわ」


「じゃあ…ジャック・セロスにするかな」


シャルドネだけを使用して、ビオディナミ農法で作られたシャンパーニュ。


コユキが生まれた時乾杯したやつだね。


「海老とか蟹とか食べたくなるよな」


「海老と蟹は、アレルギーじゃないの?」


「大丈夫」


「メモメモ」


健康オタクの凛ちゃんが、メモしてる。


「海老蟹は、アレルギーの人多いのよね」


「僕は、大丈夫だよ」


そんな事を言いながら、凛ちゃんはキッチンまでついて来た。



【キッチン】


冷蔵庫に、兄貴が作って寝かせておいたホワイトソースが有るはず。


「クリームコロッケでも作るかな」


気がつくと凛ちゃんが手伝ってくれていた。


「菱さんも、料理するんだね」


「面倒だから、あんまりやりたくないんだけどね」


「料理出来る人と結婚すると、大変だろうな…あ、えっと、早紀さんの事よ。お兄さん、シェフになりたかったぐらいだから」


「うちは、母親とお姉さんが一緒に普通の家庭料理を作ってるよ」


油が跳ねると危ないから、僕がコロッケを揚げる。


凛ちゃんは、海老のサラダを作っている。


「2人で一緒に料理するのも楽しいけど、私が作ったものを美味しそうに食べてくれる人が良いな」


「慎二なら、そうしてくれるのに」


「あ…本宮さんとは、気まずくなりたくないなあ」


「何で断ったの?良い奴なのに」


「何でって…」


好きな人が居るって、断られたんだよな。


「他に誰か居るの?」


聞いちゃった。


「え?」


余計な事は言うな聞くな、っていうのがいつもの僕だけど…気になるんだよな。


「鈍感な人なの…」


「そうか…それは、気づいてもらうのが大変だね」


「本当、鈍感な人!」


まずい事言っちゃったかな?


何だか少し怒ったみたいに、出来た料理を持って行っちゃったぞ。


【リビング】


料理が出来たので持って来たけど…


女子会は、何の話しで盛り上がってるのかと思ったら…


「小ジワが嫌よね」


「お母さんは、シワは無い方よ」


「年をとるのは嫌ね、シワ伸ばししたいわよ」


「プチ整形?」


「コラーゲン飲もうかな?」


「あのね、ワインだって、ワインクーラーで一定の温度を保って呑むより、テーブルの上に出しておいて、時の流れとともに味と香りが変わっていくのを楽しむのも良いでしょう?女性もワインと同じだと思うんだよね」


「あら、女性をワインに例えたわね」


「素敵な話しね」


「僕は、少し時間を置いたワイン、好きだけどな」


「ふーん、大人の女性が好きって事ね」


「でも、お母さんがシワだなんて、許せないわよ」


「シワは、誰だって嫌よね」


そして、美容の話しからファッションの話しと話題は尽きない。


女性の話しはコロコロ変わるから、ついて行けないよ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ