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墓守骸骨  作者: 孤高のぼっち
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2.噂骸骨

私の情報源は人間ではなく怪物、モンスターだ。

私もモンスターだからな。


ここは魔女の森。

人間にもモンスターにもそれなりに名の知れた危険な森だ。

そんな森だからこそ行ってみようという命知らずが人間にいて、モンスターにいないわけが無い。

時々だが、話の通じる相手がこの森にひょっこりと現れたりするのだ。

一番最近なのは、男の姿に化けれる狼だ。狼男ってヤツだろう。

私がそいつに会ったときは、墓の目印にと中心に置いたでっかい石にもたれ掛かっているときだ。

そいつは狼の姿で私の近くへゆっくりと歩み寄り、突然人の言葉で話し始めたのだ。


「よう、言葉分かるかアンタ」


私はその言葉にこくりと頷き反応を示す。

それを見た狼は目を少し見開き、驚きの表情を見せる。


「そうかい、人間の骸なもんだから人間の言葉で声かけたんだが、正解だったな」


敵意は無い、と狼は言い、そちらは?と問いかけて来る。

敵意があるかどうか相手方に聞くのはどうかと思ったりはするが、勿論ないと両手をあげる仕草を見せる。


「ああ、そうか。そりゃ骸じゃ喋れねぇよな。まあ聞くだけでいいから話に付き合ってくれよ」


狼はかなり察しが良いようで、私が仕草で返しただけでこちらの現状を理解し、ゆっくりとこちらに歩み寄った後、私と同じように石に背を預けるようにして寝転がった。


「ったく、人の世も大変だぜ。あんな面倒な暮らしはよぉ」


早速愚痴を始めた。


「俺は人に化けることが出来てんだ。そんでちょっくら人間の町にもぐってみたんだが・・・。人には通貨ってのがあってな、それを使って物々交換すんのよ。たったちっぽけなこれが一日の飯に変わるんだぜ?すごくねぇか?けどな、これ一枚手に入れるにもすっげぇ面倒なんだ」


ペッ、と口の中に入れていたのか、銀貨らしきものを吐き出す。

いや口の中に入れるのはどうかと思うが。


「一応人間生活では冒険者ってヤツやってたんだが、ああ、冒険者ってのはいっつも武器もって襲ってくる奴等の事な。その冒険者ってのが案外大変でよ、俺はてっきり俺たち魔族を襲う仕事しかねーと思ってたのさ」


ふむ、モンスターは自分たちのことを魔族というのか、じゃあ私も魔族だ。


「それがまさかの、薬草採集だの荷物運びだの子守だの畑仕事だのそりゃもう何でもさ!冒険者ってのは体のいい何でも屋だね」


そのことを知ってるっていうのはまさかやったのか?子守とか畑仕事とかを。


「全く本当疲れたぜ。俺にはあんなトコじゃなくて岩山が合ってる。じゃ、俺はそろそろ行く事にする、銀貨は聞いてくれた礼だ」


そう言うと狼は立ち上がり、伸び?らしきことをする。

ああ、そうだ。と狼は走り出す前にこちらを向き最後に一言。


「中々有名だったぜ。墓守骸骨ってな。アンタの事だろ?」


それだけ言って去ってゆく狼。


いや待て、知らない。知らないぞ!

何気に一年以上その場に留まり続けています。

何故そこまで人が来ないのかというと、人が来るにはあまりに危険な場所であり、中々奥地にあるからです。

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