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墓守骸骨  作者: 孤高のぼっち
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1.墓守骸骨

もう100回以上日が昇るのを見てきたが、結局分からなかった。

分かったことは自分の存在とここがどういう場所なのかという事だけで、一番肝心な理由には全く到達することはなかった。

見事な骨折り損である。

骨だけに。


どうやらこの霧がかかった森は魔女の森と呼ばれているらしく、人が寄り付かないらしい。

通りで人間の姿をあまり見ないと思った。

やってくるのはそれこそ冒険者といった命知らずだという。

冒険者というのは依頼されれば何でもこなす、簡単に言えば何でも屋だ。

冒険者ギルド、というのもあるらしく、そこではたくさんの冒険者がおり、日夜仕事に精を出しているとかいないとか。

おそらく私が埋めてきた人間達もほぼ冒険者と考えて間違いはないだろう。

このように人間が帰ってこない場合でも捜索に現れたヤツ自体は見かけなかったため、身の安全は多少なりとも確保できた。

身はないが。


当たり前、といえば当たり前だが、その冒険者らしき奴等に見つかったときは、何の躊躇もなしに刃を向けてきた。

こちらに応戦する手立てはないし、何より争う気はなかったため、無視して別方向に足を進めたのだが、相手方は後ろからでもお構いなしに剣を振ってきた。

勿論後ろからなどの攻撃に避けるなんてことは出来ないので、モロに喰らったわけなのだが、私の骨はあろうことか剣を弾き返したのだ。

その事実に相手は驚愕、私も斬られることはないだろうと高をくくっていたが、まさか弾き返すとは思っていなかった。

相手方は敵わないと思ったのか、私の去っていく姿を注意深く見ていた、それが私にとっての彼の生きた最後の姿だった。

いつもの俺の墓場は前と違って目印に木の枝を刺す訳でなく、ちゃんとした墓に作り変えており、埋めた部分を切った木で囲い、草花を添えておき、卒塔婆を見よう見真似ではあるが刺しておいてある。

その墓場の掃除と見回りと行った後、再び森を巡回していたときに、先ほどの彼の死体はあった。

体全身が焼け爛れている。

皮膚や肉が焼け焦げているなどではなく、溶けている状態だ。

彼の身に着けているものでかろうじて誰だと断定出来たが、顔はもう原型を留めておらず、ひどい有様だ。


時々、こういう死体が転がっているときがある。

氷漬けや、バラバラの時もある。

化け物でなく、どう見ても魔法が死因であり、なおかつそれだけ強大な魔法が放てるのは限られている、そういう考えの基、ここは魔女の森といわれているのだ。

誰もその姿を見たことはないらしいが。


私はその焼け爛れた死体を担ぎ、自前の墓場へと連れて行く。

例え理由が分からなくとも、死体があれば埋める。

もはや日課となっていた。

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