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墓守骸骨  作者: 孤高のぼっち
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プロローグ

気付けば私は骸骨だった。

何を言っているか意味不明だと思うが私自身にも理解が追いつかなかった。

霧の濃い森の中で私は肉の無い骨だけしかない背を木にかけ、座り込んだ。

目の前には大きな湖があり、冷気を発している。

おそらく霧の原因はこの湖だろう。

あたりは静かで、聞こえるとすればほんの少しの風が木の葉をざわめかせる程度だ。

自分の身に起きたことが理解できずに、ただひらすらに、そうやってただ黄昏ていただけだった。


それなのに今の私は何をしているんだろう。

ザクザクと土を掘り返し、人が一人丁度入るくらいまで掘り返す。

そして私は、横に倒れているもう冷たくなった人間を、その中へゆっくりと寝かしつけた。

私が見つけた頃には既に冷たくなっており、目を見開いたまま苦痛に歪んだ表情で倒れていたのだ。

彼の持っていた装備をはずし、胸や腹にそっと置く。

彼が愛用していたであろう剣は手にしっかりと握らせておく。

見開いた目を閉じさせ、歪んだ表情を若干無理矢理ではあるが、直す。

今手元には遺体を包むような布もなければ棺桶なんてものがあるはずもないので、掘り返した土をそのまま戻し、埋める。

全て手作業ではあったが、土はそこまで固くない上に痛みはなかった。

素の骨そのままだから痛みを感じないのか、もしくはもう死んでいるからなのか。

それだったら何故動いているのかが分からないけども。


全ての作業を終え、私は近くにあった適当な太い木の枝を、差し込んだ。

墓にしてはあまりに不恰好だが、死んだ後の姿をそこらに晒すよりか全然マシだろう。

私はその墓を見て、ただ立っていた。

何故こんなことをしているのか分からなかったからだ。

まるで墓を作ってやるのが当然とでも言うかのように、自然に、ただ身体が勝手に動いていた。

見つかりそうもない答えをひたすら考えていると、曇っていた空からついに雨が降り始める。

墓は少し開けた場所に作ったために、雨が全身に降りかかる。

といっても全身ただの骸骨、寒さも何も感じない。

雨なんかより今の私には墓を作った理由だけが気がかりだった。

そこで私は一つの策を講じた。

またさっきと同じように墓を作り続ければ、何か見えるんじゃないか、と。

その日から私は、最初の墓を中心にひたすら墓を作り続ける事を始めた。

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