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異世界転移

拙いところを暖かく見守ってくれると助かります。多分これから拙いところがなくなっていくことを信じて......。

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 季節は夏。

 みーんみんとセミが忙しくないている。それがまた暑さを加速させているような錯覚にとらわれる。

 学生で言うところの夏休み。

 だが普通科、それも進学校に通う高校生にもなれば大学に向けての勉強をするために補習と課題が満載であり、一概に休みと言われても素直に頷けないだろう。


 後藤 渚こと、ナギサもそんな暑い夏休みの中で高校の補習を受けていた。


 「ここでは分詞構文が〜〜」

 

 黒板の前に立ち、教科書を開きながら小太りの教師がポイントを説明する。


 「ふぁぁ〜、ねむ」


 そう考えているのはナギサだけじゃないだろうが、実際思っただけではどうしようもないのが今の現状といったところ。

 耐えしのぶのが仕事といったところであろうか。


 (もういいや、寝ちゃえ。この授業が終われば今日は帰れるんだ。)

 そう思い、すぐにナギサは眠るために楽な姿勢を模索し始める。これは息がしずらい、これはクビが痛い。などなど。

 勉強以外のことに無駄に頭を働かせてやっとのことで楽な姿勢を見つけた直後にナギサにとっては非情にも、授業の終わりを告げるチャイムがなる。

 (まじかよ..........。まぁこれで今日は終わりだし、別にいいや。)

 一瞬肩を落とすが、首を回して体をほぐしているナギサに教師から声をかけられる。


 「後藤、あとで連絡があるから職員室に来なさい」


 「あ、わかりましたー」


 ほぼ反射的に返事をしたあとにナギサが今度はより深く肩を落としたのは言うまでも無いだろう。

 腹の底から大きなため息をつく。

 教室に残っている生徒は少なかったが、その残っている生徒からクスクスと笑い声が漏れた。


 「そう落ち込むなよナギサ~」


 そう声をかけてきたのは友人のケイゴ。

 傍らにはもう一人友人が立っており、彼女の名前はカノンだ。


 「いやぁ…やっと帰れると思ったからさ….」


 「まぁ、たしかにな。俺とカノンは駐輪場でまってるから早く済ませてこいよ?」


 「このあとはカラオケだからね、ナギサ!」


 今日の補習が終わった後はナギサ、ケイゴ、カノンの親しい三人でカラオケに行く約束をしていたので、呼び出しを喰らったと聞いたナギサに声をかけにきたのである。


 「はいはい、俺はまだ用具片づけてないし、呼び出しもあってまだかかりそうだわ。先にいっててくれ」


 「「りょーかい!」」


 教材をまとめ終わったナギサは教室に誰もいないのを確認し、教室の施錠をしてから職員室に向かうつもりだった。が、

 「ガチャッ」と教室の鍵を施錠した直後だった。

 突然の事だった。

 ナギサの周りの空気、いや空間が歪みだした。

 まわりの景色が水をかきまわしたかのようになり、めまいがするようだった。

 それは0に等しい確率を掻いくぐって起きた様な奇跡としか言えない現象だった。

 ナギサにとってはまったくの突然の出来事で、彼をパニックに陥らせるのには十分なことであった。

 「え?え?なんだよこれ…」

 パニックに陥った思考の中、彼がそう言葉をもらした直後

 渦となった空間の歪みが、綺麗な円となり、真黒な穴が開いた。

 ドォーーーーン!!!

 雷が落ちる様な音と真っ赤な閃光を発し、歪みはナギサを巻き込んでは姿を消した。

 それは、地球がある世界とかすかに繋がる別の世界へのな転移現象であったのだ。

 



 一方そのころナギサを待っていた友人たちは異変にすぐに気付いた。


 「おい、カノン…!」


 いやな汗をかきながら声をかけるケイゴ。


 「あそこって、私たちの教室じゃ….」


 「いくぞ!」


 彼らや、校舎から響いた轟音を調べに来た教師たちが教室に駆け付けたが、そこには鍵穴に刺さったままのカギと、ナギサのリュックサックしか残されていなかった。

 そこからナギサの姿が見つかることはなく、カノンの泣き声とケイゴの悲痛な叫びは教師たちの無力感をより一層加速させたのだった。

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