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蒼穹
夢を見ました。
空を飛ぶ夢です。
背中には白い大きな翼があって
身体は羽のように軽いんです。
自由に空を飛びました。
青い
蒼い
あおい
蒼穹の空が何処までも続いていました。
空を飛んでいると
生きるとか
死ぬとか
そんな人間のしがらみ全てが
ちっぽけに思えてきたのです。
ーーふと。
目が醒めました。
なに一つ変わることのない景色が広がっていました。
背中にも翼はなくて
身体も羽のように軽くありませんでした。
もう空を飛べないのだと知りました。
けれど
空への憧れは強くて
ただ空を見上げました。
空は悔しいまでに
何処までも広くて
何処までも蒼くて
何処までも優しくて
そして
何処までも遠かったのです。
涙が一つ零れました。