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【ツッコミどころ満載スポーツ小説】空飛ぶ竜巻三四郎

作者: フリードリヒ・ハラヘルム・タダノバカ
掲載日:2026/04/08

「待ていッ!」


 夕陽の落ちる川沿いを歩いていると、突然後ろから呼び止められ、足を止めて少年は振り向いた。


「ぼくに何か用かな?」


「貴様、竜巻三四郎だな?」 


「いかにも」


「齢16にして日本最強の柔道家の名を轟かせる、あの稀代の天才、竜巻三四郎だな?」


「説明的な台詞をありがとう、おじさん。ところであなたは誰ですか?」


 黒い柔道着をだらしなく着た、人相の悪いおじさんだった。どう見ても悪役だ。

 対する竜巻三四郎は白い柔道着に綺麗に身を包み、かわいい顔をした主人公の少年だ。


 おじさんは名乗った。

「俺は大島一家の用心棒、小島一虎」


「大島一家だって?」

 三四郎は読者に説明した。

「大島一家とは無法者の集団だ。戦争の引き揚げ者のマーケットを買収し、娯楽場にしようと企む周辺のギャング団さ。ぼくがいつも懲らしめてやってるから復讐に来たのかな?」(作者注:1956年刊「竜巻三四郎」の登場人物紹介よりコピペしました)


「そうではない」

 小島一虎は柔道着の襟を正した。

「俺もおまえと同じく柔道をやっている。純粋にどちらが強いか試しにやって来た」


「悪いけど対外試合はしないんだ」


「フ……」

 三四郎は鼻で笑われた。

「所詮、貴様の柔道は『スポーツ柔道』ということか。……知っているか? 柔道とは元々暗殺術──相手を壊すために生み出された殺人術よ。その初期衝動を忘れた貴様など──」


「知ってるさ」

 三四郎は涼しい顔で答えた。

「その通り。柔道とは元々スポーツなどではなく、敵を殺すための技だ」


「ほ……、本当にそうだったのか!?」

 口からでまかせを言った一虎がうろたえる。


「柔よく剛を制す」

 三四郎がうなずく。

「その意味は、おっぱいの柔らかい女性だからこそ、剛毛の生え揃った逞しい男を投げ飛ばし、殺し、制圧することができるという──」


「「その通りよ!」」

 声を揃えて現れたのは、着物の胸元をはだけたセクシーなおつたさんと、かわいい女給の真弓だった。


(作者注:この物語は『空飛ぶ竜巻三四郎』というタイトルを思いついたあと、検索してみたら『竜巻三四郎』という小説?が1956年に存在したことにびっくりして、それならばとできるだけ『竜巻三四郎』のキャラを使ってやろうとしたものである。ちなみにオリジナルの刊行後ちょうど70年が経っているので、二次創作にはあたらない……知らんけど)


 ちなみに作者は『竜巻三四郎』を読んだことがないので、お蔦さんと真弓がどういうキャラなのか詳しくは知らない。いやごめんなさいまったく知らない。ゆえに描写できないので二人の登場はなかったことにする。


「この俺と勝負しろ」

 おじさんが大島流柔術の構えをとった。


「フ……。主人公のぼくとやるのかい?」

 三四郎は余裕の笑みを浮かべる。


「ダァーッ!」

 有無を言わせずおじさんが飛びかかった。


 次の瞬間、おじさんは空を飛んでいた。

 投げ飛ばされたのか? そう思ったが、そうではなかった。見ると自分の襟を掴み、三四郎も一緒に飛んでいた。

 下を見ると昭和31年の町が小さくなって見えた。まるでオモチャのようだ。お蔦さんと真弓がこちらに手を振っていたが、それもちっちゃすぎた。まるでゴミのようだ。


 おじさんは三四郎に聞いてみた。

「なぜ……俺たちは空の上にいる?」


 三四郎はクスッと笑うと、答えた。

「これがぼくの必殺技だからだよ」


 おじさんは定番の言葉を漏らした。

「なん……だと……?」


 三四郎は卍解した。

「唸れ! 竜巻落とし!」


 地上120メートルから遥か地上へ、必殺の背負い投げが炸裂した。 

 三四郎もおじさんの背中に抱きついて、一緒に落ちていった。


「これは……! まるでカ厶◯イの使う必殺技──飯綱落とし◯!」


「伏せ字の意味がないよ、おじさん」


 みるみる地面が近づいてくる。

 しかしおじさんもただのやられ役ではなかった。

 懐から刀を取り出すと、自分のみぞおちを深く貫き、背中の三四郎のお腹にも──


「フッ。柔道家たるもの、必殺技を編み出した時には、同時に破られた時のことも想定しておくものだ」

 笑顔でそう言う三四郎のみぞおちに、おじさんの体を貫通した刀が、突き刺さった。

「うわあああっ!?」


 そのまま二人串刺しになったまま、地面に足からスタッと着地した。


「見事な着地よ、三四郎!」

 お蔦さんと真弓が拍手をした。

「これは最高点が出たわね二人とも」


「スポーツ柔道だなどと言ってすまなかった……」

 おじさんが三四郎を振り返る。

「おまえは凄まじいまでの殺人術の使い手だ。恐れ入ったよ」


「おじさんも凄かったですよ」

 三四郎は口から大量の血を吐きながら、笑った。

「争い合ったあとには友情が生まれるものだ。ぜひ、ぼくと友達になってください」


 そして二人は握手をしたまま、帰らぬ人となったのだった。


 嗚呼、スポーツとは清々しいものよ!







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― 新着の感想 ―
むっちゃ面白い(笑) もう意味わからなすぎて逆に面白いです。
お蔦さんと真弓が拍手をした > 居なかったことになったはずなのに、なんか居るしっ!? 竜巻三四郎なんてワタシも知らないわ。 よくも一致したなあ、タイトル。
 しいな ここみさん(フリードリヒ・ハラヘルム・タダノバカさん)、こんにちは。 「【ツッコミどころ満載スポーツ小説】空飛ぶ竜巻三四郎」拝読致しました。  昭和のスポコンものっぽい設定。  野試合はし…
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