エピローグ・枯れ行く秋の終わる頃~冴ゆる意識の結ばれた~
終 章 エピローグ
枯れ行く秋の終わる頃~冴ゆる意識の結ばれた~
空気が大分冷たくなってきたな。と。
皇宮にある呪師殿の、呪師長室で書類仕事をしていたキプラは、ふと窓の外に目を止める。
秋は、枯れ行く季節。
そうして、眠る死の季節である冬が来て……
うっそりと、キプラの唇が弧を描き、笑みを形作る。
……春は。再生。女神の季節……
たくさんの『死』と『絶望』の先にある『希望』。
しかし、それは本当に『希望』なのだろうか?
(……暁の女王……公正を司る戦女神……お前は本当に『正しい』のか……?)
心の中で、嘲笑う。
神族は、人の世に殆ど介入することがない。
それは女神が『公正』を司る存在だから。
けれど、その加護を与えられた者は時折生まれる。
この、エスパルダ聖皇国の皇孫皇女であるジャンヌ……ジニア・プローフ・ジャネット皇女がそうであるように。
同時に、加護を与えられたからと言って、女神が直接的に救いの手を差し伸べることも殆どない。
皆無。ではないのは歴史が証明しているが、それが何の『救い』になるというのか……
(……己で定めた決めごとに縛られ、容易には手出しできなくなるのだから、愚かなことだ……)
こんな風に考えているだなんて、敬虔な信者や神殿の者らに知られれば非難の声どころでは済まないだろうな……と頭の片隅で思いながらも、うっそりと笑う唇の弧が深まって、目元も三日月のように細くなっていく。
それにしても……
「……神殿の方は、本当に慎重すぎますね……もう少し、本人たちを信じてあげればいいのに……」
今朝届いた神殿からの書簡を思い出し、つい、愚痴るような呟きが零れる。
アインの退院が二日前。様子を見て、インスの退院が今日。
任務への復帰は二日後以降にすることと、最初はアインの『授業』を行うこと。
そろそろ退院させられないのか?
という問い合わせに対して送られてきた返事を頭の中で復唱する。
そこまで過保護にする必要がどこにあるというのか……
『若い』とはいってもインスは既に皇宮呪師としての任務に就くようになって三年は経っているし……それはまだ学校に在学中から命じられたせいだ……アインも実力だけで言えば既に正式に呪師を名乗れるほどだと聞く……キプラは直接アインの授業を見学したことなどはない……
若く、育てがいのある子らの、その芽を潰すような真似など、なぜできるというのか……
クク……と、キプラの唇から小さく嗤いが漏れて、ああ。いけない。と口元を手で覆う。
「……さあ。早く、戻って来て下さい……二人共……」
口の中で小さく囁くその声を、窓の外で枯れ葉を舞わす風だけが聞いていた。
「姉姫様は魔族を斬りたい!~最愛の弟皇子を救うため、女神の巫女は呪いをかけた魔族を探します~」番外編・聖皇国列伝秘聞・第3弾
皇宮呪師は護りたい!聖皇国列伝秘聞③~重なり合うのは悪意の欠片~(完)
これにて、『皇宮呪師は護りたい!聖皇国列伝秘聞』第3弾「重なり合うのは悪意の欠片」、完結です!
ここまでお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
満身創痍の入院生活を経て、秋の終わりと共に皇宮へ戻るインスとアイン。
そして二人を待ち受ける呪師長キプラの姿を描きました。
女神の「公正」に疑問を抱くキプラの不敵な笑みが、これからの波乱を予感させます。
傷を抱えながらも一歩を踏み出した二人を、これからも見守っていただければ幸いです。
そして明日からは番外編第4弾をお届けします!
明日からも1日2回、昼と夜の公開を予定しております。
引き続きお付き合いいただけますと幸いです!!
【第1部はこちら】
姉姫様は魔族を斬りたい!~最愛の弟皇子を救うため、女神の巫女は呪いをかけた魔族を探します~【第1部・レッド・フレイムの呪い】
(https://ncode.syosetu.com/n1170lj/)
【第2部はこちら】
姉姫様は魔族を斬りたい!~最愛の弟皇子を救うため、女神の巫女は呪いをかけた魔族を探します~【第2部・レッド・フレイムの残照】
(https://ncode.syosetu.com/n5488lq/)
【番外編・第1弾はこちら】
皇宮呪師は護りたい!聖皇国列伝秘聞①~悪夢の海で瞑る翳・代償と贖罪の狭間で望まれる~
(https://ncode.syosetu.com/n5697ln/)
【番外編・第2弾はこちら】
皇宮呪師は護りたい!聖皇国列伝秘聞②~滞留するのは魔力の残滓~
(https://ncode.syosetu.com/n6684lr/)
【今後の連載スケジュールについて】
次回は明日12時から、番外編第4弾の公開を開始します!
今後も毎日昼と夜、1日2話ずつ公開していく予定ですので、どうぞよろしくお願いします!
【ミニコラム掲載中!】
活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!
【読者の皆様へのお願い】
「面白い」「続きが気になる!」と感じていただけたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。
また次回作もどうぞよろしくお願いいたします!
【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】
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ノリト&ミコト




